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キャプテン・トム、女王陛下からナイトの称号を賜ることに

by 黒岩留衣
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バッキンガム宮殿の声明によると、エリザベス女王陛下が3月にウィンザー城に移住して以来、初めての叙任式にはキャプテン・トムとその家族が出席する。

 

第二次大戦に従軍した経験を持つ退役大尉トム・ムーア(100歳)は、致命的なウイルスと命がけで戦う英国の国民医療サービス(NHS)のために何かできることはないかと考え、同居する娘と相談した結果、自宅の裏庭を100周歩くという目標をたて、チャリティ・チャレンジ・キャンペーンに参加することにした。

 

彼の孫が補助歩行器を使いながら黙々と歩く祖父の姿をビデオ撮影してツイッターに投稿したところ、瞬く間に全国的な反響を呼び、あまりにも寄付が集まりすぎて募金受付サイト「ジャストギビング」のサーバーがダウンするほどだった。

最終的に国内外約98万人の寄付者から4,000万ドル以上を集めたムーア氏は『キャプテン・トム』の愛称で親しまれ一躍国民的有名人となった。

 

彼がチャリティチャレンジに参加する決意を家族に伝えた時、目標として掲げたのは1000ポンド(約13万円)の寄付を集めることだったが、その『途方もない目標』は、彼の孫がツイッターに初めて投稿してから24時間もたたないうちに達成されたと言う。

寄付者の中にはウイリアム王子夫妻をはじめ、多くの著名人が名を連ねた。

 

ムーア氏の挑戦は、英国だけでも約1万3000人の命を奪った新型ウイルスのパンデミックの最中に報じられた稀な明るいニュースとして受け止められ、記念すべき100周目達成の日には、英国陸軍ヨークシャー連隊の若き兵士たちが、偉大なる大先輩のために直立不動で敬礼を捧げ、彼のために花道を飾り、それをテレビ局がライブ放送するという騒ぎになった。

 

BBCは『それはまるで、人々が深い森の中に差し込んだ小さな光にすがるような光景だった』と解説している。

 

ムーア氏は100周達成の喜びを問われ「皆さんの素晴らしい応援に感謝します。忘れられない経験になりました。本当にありがとう」と述べた。

これに対し、英国保健福祉相のマット・ハンコックは「彼は我々全員の心を揺り動かし、勇気を与えてくれた。本当に本当に感謝します」と感謝の意を述べた。

 

また、彼は過去に何度もカバーされている有名な楽曲「You’ll Never Walk Alone(君はもう一人で歩くことはない)」を歌手であり俳優でもあるマイケル・ボールと、医療スタッフの有志によって急遽結成された合唱団「NHS Voices Of Care Choir」との共作としてリリース、関係者によれば99歳での歌手デビューは過去に前例がないと言う。

 

リバプールFCの応援歌としても親しまれているこの歌は、医療従事者へ励ましを送る応援歌として認知され、彼は99歳11ヶ月にして全英ヒットチャートのシングル部門の売上1位の座を獲得した。

これらの売り上げも含めて全てチャリティに寄付された。

 

また、国民請願サイトに『キャプテン・トムにナイトの称号を贈ろう』という請願が立てられ、55万人以上が賛同の意を示した。

これを受け、ダウニングストリート10番街のボリス・ジョンソン首相がバッキンガム宮殿に丁寧な推薦状を送ったと言う。

 

4月30日に100歳の誕生日を迎えた彼のもとには、国内外から14万通以上ものバースデーカードが届けられ、その中にはこの国で最も愛され、親しまれている高貴なる老婦人からの手書きのメッセージも含まれていた。

「あなたこそ、私の真の誇りです。ハッピーバースデイ、トム」

 

キャプテン・トムはもうすぐ、憧れの老婦人と相見える。

サーにとって、来たる金曜日は「最も特別な日」になると語った。

 

(参照:BBC 他複数)

 

 

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