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今年のクリスマスの人気商品は?

by 黒岩留衣
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米ニューヨーク州在住のヘザー・ミュールマン・ジェンキンスさんの6歳の息子リード君は、今年初めてクリスマスに玩具を欲しがりませんでした。

リード君は人気ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の写真をカタログから切り抜き、それをのりで貼りつけた紙を母親に手渡しました。

『もしサンタさんが他に何もくれなかったら、僕はこれが欲しい』と言ったと、企業の広報幹部を務めるヘザーさんは話しています。

 

昨年のクリスマスの「欲しい物リスト」にはハイテク製品は1つもなく、アニメキャラクターの玩具やリモコンカーが並んでいました。

ですが、ここ数カ月、ヘザーさんと夫は暇を持て余した子供たちのために、任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii」を引っ張り出し、リード君や妹のフィービーちゃんを遊ばせていたそうです。

するとある日、リード君はいとこの家でニンテンドースイッチを見て、これが欲しいと心に決めたのだそうです。

 

ハイテク機器やビデオゲームは数十年前から徐々におもちゃを脅かす存在となっていました。

ですが今年、新型コロナウイルスの影響でその流れに歯止めがかかりつつありました。

子供たちをスクリーンから引き離そうとする親たちの努力によって、春にはパズルやボードゲームが爆発的に売れ、その後バービー人形の売り上げが急増しました。

市場調査会社NPDグループによると、3月の学校閉鎖後、おもちゃの売上高全体が増加しました。

自転車の売上高も伸びました。

 

ところがクリスマスが近づくにつれ、スクリーン付き端末やソフトウエアを欲しがる子供の声が新たな水準に達しています。

お小遣い帳アプリ「ルースターマネー」は、同アプリを利用する米国の子供4万7000人が小遣いをためる目標とする品目を調査し、クリスマスの欲しい物リストの上位を予想しています。

それによると、今年の欲しい物上位10品目のうち、端末やビデオゲームが8品目を占めました。

同アプリが調査を始めた2017年には5品目でした。

 

ブロック玩具レゴのセットやバービー人形もランクインしましたが、スマートフォンやゲーム機、ロブロックスやフォートナイトなどの人気ゲームがランキングを独占しました。

注目すべきは今年、本や自転車がランク外に転落したことです。

 

親たちは、学校の勉強で1日中スクリーンをのぞき込むことに子供たちがうんざりし、戸外で喜んで自転車に乗ったり、本を手に取ったりするに違いないと思うかもしれません。

そういう子供もいるにはいるのですが、彼らを見つけ出すのは、サンタが煙突を下りる瞬間を見つけるぐらい難しいことです。

むしろ大抵の場合、親が子供のために買いたい物と子供が実際に欲しい物との間にはズレがあります。

 

「親が願いをかなえてあげたいと思う物が、子供の欲しい物リストに含まれているとは限らない」

NPDの米玩具業界アドバイザー、ジュリー・レネット氏はそう話しています。

「子供たちは衣服をねだらないかもしれないが、ホリデーシーズンの一番人気は衣服です」

 

ハイテク製品が欲しいという子供たちの願いを聞き入れるかどうかを決定することは、低年齢の子供を持つ多くの親たちにとって新たな悩みの種となっています。

コロナ流行前ならば、あと数年は子供がスクリーンに触れることはなかったかもしれないからです。

親たちは、今年すでに多くの犠牲を強いた子供たちに対し、その願いを拒否するのは過去のクリスマスよりも難しいと感じているようです。

 

「私がいま頭を悩ませているのは、この問題にどう折り合いをつけるかです。息子がクリスマスに本当に欲しい物をプレゼントするべきかです」とヘザーさんは話しています。

「もしもスイッチを買い与えるなら、私たちはそれに関するルールを決めなくてはなりません」

 

戸外で多くの時間を過ごす子供たちでさえ、そのためのハイテク製品を求めています。

コネティカット州在住のレイラ・リシュースキーさんの6歳の息子は、自宅近くを家族でハイキングした際、両親がアプリで歩数を追跡していることに気がつきました。

彼は今では自分用に同様のスマートウオッチを欲しがっています。

また、ビデオゲームとそのゲームで遊ぶための端末もねだっています。

 

4人の子供を持つリシュースキーさんは、息子がゲームにどのくらいの時間を費やすのか心配する一方で、良い面もあると考えています。

「子供たちが別々の場所で自分のiPadを操作するのではなく、兄弟が仲良く遊ぶ手段になるかもしれない」

 

The Wall Street Journal

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