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世界は今一度、中国との関係を見つめ直すべきだ

by 黒岩留衣
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世界経済は微妙なバランスの上に成り立っています。

中国は世界の資本主義経済に非常に根深く統合されているため、貿易、紛争地域、国家主権、イデオロギーの問題を問わず、呆れるほどの影響力を持っています。

 

コロナウイルスのパンデミックは、私たちが運転する車、私たちが服用する薬から、使用する携帯電話に至るまで、世界が中国のサプライチェーンにどれほど根深く依存しているかを強調しています。

それはまた、輸出品を消費することへの中国への個々の国々への依存をもたらしました。

このたびの混乱により、資本主義諸国の多くは、サプライチェーンと輸出市場の多様化を検討する必要に迫られていると言えます。

 

中国海軍の船は、南シナ海と東シナ海の海で、他のアジア諸国からの船舶に脅威をもたらしてきました。

米国とオーストラリアへのサイバー攻撃は、これらの国々との関係を悪化させただけでした。

中国当局は、国家がそのようなサイバー攻撃の背後に存在していることを日常的に否定していますが、誰も信じません。

(参照:ブルームバーグ


コロナウイルスに対処するために、過去に前例がないほどに急速な進歩を遂げている米国の製薬会社および研究機関に対する中国の嫌がらせ的なサイバー攻撃の存在は、中国を非難することがいかに厄介なことであるかを示す教科書的な例でした。(参照:ブルームバーグ

中国は世界経済にとって確かに非常に重要であり、中国に批判が投げかけられるときはいつでも、どんな場合でも、自国と中国との貿易関係がいかに重要であるかの認識との間に揺らがざるを得ないでしょう。

 

一連のサイバー攻撃で中国を厳しく非難したFBI長官のクリストファー・レイは、中国は「米国の情報と知的財産権と我々の経済的活動に対する最大の脅威」であると述べました。

「この脅威に直面して、中国人とビジネスをするべきではなく、中国人訪問者を受け入れるべきではない。それは、中国人学生を歓迎したり、世界の舞台で中国と共存すべきではないという意味ではない」と彼は述べました。

「それは中国が私たちの刑法や国際規範に違反する場合、断じてこれを容認するつもりはないことを意味する」(参照:BBC


中国外務省のスポークスマンである趙立堅報道官は、レイ長官の発言は「政治的嘘」に相当すると反論しました。

「レイ長官の発言は事実を無視している。彼の根強い冷戦的思考とイデオロギー的偏見を露呈する政治的欺瞞に満ちている」と。

(参照:中国国際放送日本語版

 

中国との関係がいかに厄介かは、オーストラリアがそのわかりやすい例を提示してくれています。

中国はオーストラリアの最大の貿易相手国です。

 

2018-19年の対中貿易は、オーストラリアの第二位の貿易パートナーである日本の2.5倍以上、実に2,350億米ドルに相当しました。

これは輸出全体の32.5%のシェアです。

しかし、中国がオーストラリアがコロナウイルスの起源と初期対応についての調査の要求を主導した時、中国はオーストラリアからの大麦輸入に驚愕の80.5%の関税を打ち出しました。

(参照:ロイター通信

 

中国は通常、オーストラリアの大麦輸出の約半分を買い入れます。

中国はまた、オーストラリアの牛肉に同様な関税を課し、中国の人々がオーストラリアのワイン、観光、大学留学をボイコットできることを暗に仄かしました。

オーストラリアは中国に地理的に近いため、軍事紛争の脅威は絵空事ではなくなりつつあります。

モリソン首相は最近、国防支出の増強を発表しました。(参照:CNN日本語版

 

すべての国がオーストラリアほど大胆なわけではありません。

EUは香港に対して発令された国家安全保障法への対応を検討している可能性がありますが、足並みは乱れています。

中国に対しては、あのアンゲラ・メルケル首相ですら、正しい言葉を見つけることに苦慮しているようです。

 

彼女は中国に対する貿易関係の急成長で経済界から賞賛されています。

しかし、一方では、中国に対して弱腰が過ぎるとドイツでも批判を浴びています。(参照:ニフティ

 

論難は貿易にとどまらず、例えばカナダで行われたサミットで、トランプ大統領に激しく詰め寄るほどにメルケル首相が力を入れて取り組んでいる地球温暖化対策に対しても、中国の協力が不可欠になります。

中国は世界最大の炭素排出国だからです。(参照:BBC日本語版

 

このように考える時、中国を疎外することは、現実的な選択肢ではありません。

しかし、世界の多くは、中国との関係を進化させるより前に、中国との関係を再構築する決意を示してほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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