Home 時事ニュース ボルトン元大統領補佐官の暴露本に全米騒然

ボルトン元大統領補佐官の暴露本に全米騒然

by 黒岩留衣
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米国のジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の暴露本の抜粋が17日、メディアに掲載され、ドナルド・トランプ大統領が中国の習近平国家主席に対し、2020年大統領選での自身の再選に力を貸すよう要請したことが明らかにされました。

 

ボルトン氏は来週発売予定となっている著書の中で、トランプ氏がこの時「会話を驚くほどに米大統領選へと向け、進行中の選挙運動に影響を及ぼす中国の経済力に言及し、習氏に自身の勝利を確実にするよう要請した」と指摘したそうです。

ボルトン氏によると、トランプ氏は米農家の重要性と「中国による大豆と小麦の購入量の増加」が米国の選挙結果にどのような影響を及ぼすかについて強調したとのこと。

 

会談の席上、習近平国家主席が農産物についての議論を貿易交渉の優先事項とすることに合意したとき、トランプ大統領は彼を「中国の歴史上における最も偉大な指導者」との賛辞を贈ったと伝えられています。

ワシントンポストは、ボルトン氏の著書が出版されることは、トランプ大統領にとって「我が儘で、恥知らずで、頭の悪い指導者」としての肖像画をプレゼントされることと同義になるだろうと論評しています。

 

著作の抜粋は米紙ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルの3紙全てに一面で掲載された他、英国BBCでもトップで報道されるなど、現役米大統領の政治スキャンダルとして大きな反響が寄せられています。

 

ワシントンポストは「これら一連の疑惑は、トランプ氏がウクライナ大統領に、大統領選挙のライバル、ジョー・バイデンの汚点を掘り起こすよう圧力をかけようとし、結果的に彼に弾劾をもたらした一連の疑惑行動と驚くほどの類似点がある」と指摘しています。

参照:ワシントンポスト


ニューヨーク・タイムズは社説で「トランプ大統領は、習近平国家主席に対し、アメリカの農産物を購入するよう依頼することにより、本来ならば国家の利益を追求するべき貿易交渉を、彼自身の政治的運命に公然と結びつけた」と指摘し、事実であれば「驚くべきスキャンダル」と批判しています。

参照:ニューヨーク・タイムズ


ウォールストリート・ジャーナルは「トランプ政権が法廷闘争に打って出て、ボルトン氏が機密保持契約に違反し、機密情報を公開することによって国家の安全を脅かしたと主張して出版差止め訴訟を起こした」と紹介し「ニューヨーク・タイムズや他のメディアが水曜日に高度なコピーを入手し、これを詳にした」ことにより「トランプ政権の法廷闘争は、結果として何の役にも立たなかった」と報道しています。

参照:ウォールストリート・ジャーナル

 

これに対し、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は17日、上院財政委員会の公聴会で

 

「そんな(支援要請という)とんでもないことがあれば、忘れるはずがない」と強調。

ボルトン氏の主張に「絶対にない。全くばかげている」と強く反論しました。

参照:時事通信

 

ボルトン氏は著書の中で、トランプ大統領は「中国の権威主義的支配者の支持または支援」を要請することで、自身の選挙キャンペーンを優位に進めようと画策し、他方で中国の支配者は「アメリカの現役大統領を政治利用し、操作することを目論んでいた」と述べています。

 

ボルトン氏の問題の暴露本はThe Room Where It Happenedと題され、来週の火曜日に出版される「予定」になっていますが、既に予約だけでアマゾンドットコム(米国)のベストセラーランキングの1位になっています。

 

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