英国外相ドミニク・ラーブは、中国をウイグル人に対する「甚だしく悪質な」人権侵害を理由に強く非難し、責任者に対する制裁は『到底、除外できない』と述べた。
強制的な不妊化とイスラム教徒グループへのおぞましいばかりの迫害の報道は「人々が、長い間見られなかった、おぞましい何かを連想させる」と彼は語った。
英国は同盟国と協力して適切な行動をとるだろうと彼は主張した。
これに対し、中国の在英大使である劉暁明は、強制収容所の話は「作り話」だとして一蹴した。
劉暁明はBBCに対し、ウイグル人は中国の他の民族グループと同じ法の下で適切に扱われたと語った。
目隠しされて列車に乗せられたウイグル人を映しているように見える、オーストラリアの警備会社によって認証されたドローン映像を示された時、彼はビデオが何を示しているかは「正確にはわからない」としたものの「どこの国でも囚人の移送くらいはあるだろう」と語って取り合おうとしなかった。
更に「新疆にはそのような強制収容所はない」と彼は付け加え「中国に対する告発の多くは偽物だ」と不満を述べた。
中国は当初、強制収容所の存在自体を否定してきたが、最近になって『悪質な分離主義者のテロ行為』が続発したため、当局は止むを得ず『再教育』のための施設を作らざるを得なかったのだと説明を転換した経緯がある。
ウイグル人に対する扱いが『虐殺』の法的定義を満たしているかどうか尋ねられたラーブ氏は、国際社会はそのような主張をする前に「もっと注意深く」なければならないと述べた。
直後に「ただし」と彼は言葉を続け「法的なラベルがどうであれ、深刻で悪質な人権侵害が起こっていることだけは明らかだ」と付け加えた。
中国は調査結果を受け入れず、代わりに数字を押し付けた。
劉暁明在英中国大使は、新疆ウイグル自治区の人口は40年前には400万人から500万人に過ぎなかったが、現在は1100万人に達していると語った。
「民族浄化などとはとんでもない。人口は倍増している」と彼は付け加えた。
一方で、中国の公式データとメディアの報道を利用した人口統計学的研究は、40年も歴史を遡る必要性を感じさせない。
2005年から2015年の間に新疆地域の人口の増加率が急速に上昇し、その後わずか数年間で驚くほどの急激な減少があったことが示唆されているからだ。
ラーブ外相は「私たちは中国との前向きな関係を望んでいるが、そのような行動を見過ごすことができず、声をあげないわけにはいかない」と述べた。
ウイグル人の迫害の責任者である中国当局に、資産凍結や旅行禁止などの制裁を課すよう英国に求める声が高まっている。
そうした動きを支持する請願書は既に100,000筆以上の署名を集めた。
それはこの問題が議会での議論のために考慮されるべきことを意味する。
BBCのジェイムズ・ランデール外交担当編集委員は「イギリスはアメリカ政府と中国政府の間で板挟みになり、両国から集中砲火を浴びる恐れがある」と語り「人権を擁護する代償として、中国との通商は減るだろう。新型コロナウイルス後の経済の低迷状況では、それは影響が大きいだろう」と解説した。
英国議会における保守派の議員たちは中国の新しい安全保障法の施行を受けて、香港政府の高官に対する訴訟を迫っている。
ラーブ氏は20日に議会に臨み、イギリス政府の対応を説明する予定であり、その場で香港との犯罪人引き渡し条約を破棄するのではないかとの憶測も出ている。
劉暁明在英中国大使は「英国が中国の個人に制裁を課すために、それほどまでに出しゃ張るならば、中国は断固たる対応をするだろう」と述べた。
彼はウイグル人の「民族浄化」の主張を根拠のないものとして却下し、彼らは「他の民族グループとの平和で、且つ調和のとれた共存を心から謳歌している」と述べた。
彼は、ウイグル地域の人口が2015年から2018年の間に84%も急減したことを示唆する数値について問われ「全くのデタラメだ」と述べ、新疆全体のウイグル人の数は過去40年間で「倍増」したと主張した。
彼は「中国政府は、この種の人権侵害に対し、一貫して強く反対しており、過去から現在に至るまで、その姿勢を崩したこともない」と述べた。
(参照:BBC)