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中国を覆う過去10年で最悪の砂嵐

by 黒岩留衣
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中国の過去10年間で最悪の砂嵐は、月曜日に大規模な混乱を引き起こしました。
国のベルト地帯が濃いオレンジ色の砂埃や、砂のもやに巻き込まれ、当局は何百もの航空便、商店、道路、学校をキャンセルし、野外活動を停止することを余儀なくされました。

 

北京では、住民が霧の中に消えたかのように見える高層ビルの写真を投稿し、不気味なもやがかかった画像を、1982年制作のディストピア映画「ブレードランナー」の1シーンと比較したほどでした。
辺り一面の視界は悪くなり、交通は麻痺しました。

 

中国の首都は、特に春になると砂嵐の影響を受けやすくなる。

 

「それはかなり悪い状況だと言えます」北京に拠点を置くグリーンピース東アジアの上級気候およびエネルギー政策責任者であるリー・シュウは述べています。
北京では400便以上が欠航し、内モンゴル、陝西(せんせい)、新疆(しんきょう)のいくつかの高速道路は閉鎖されました。
寧夏(ねいか)回族自治区では、最も被害が大きかった地域の中の1つであり、住民は警察が交通を誘導しなければならなかったと証言しました。

 

中国北部を襲う前に砂嵐が発生した、近隣国のモンゴルの当局者は、行方不明になった80人以上の遊牧民を捜索しなければなりませんでした。
中国の国家気象センターは、12の州と市町村(約160,000平方マイル)が砂嵐の影響を受けることになると予想していると述べました。

 

国家保健委員会は、人々に屋内にとどまり、窓やドアを密閉し、加湿器と湿った布切れを使用して、ほこりに対処するようにアドバイスしました。
居住者が外に出なければならない場合は、顔を保護するためにマスク、ゴーグル、帽子またはスカーフを着用する必要があります。

 

月曜日:ドライバーは北京の低い視界に勇敢に戦いを挑む

 

「これは間違いなく異常気象です。通常の気象システムではありません」と国家気象センターの責任者であるチャン・ビフイは言いました。
同センターは別の声明で「これは過去10年間に、我が国が遭遇した最も激しい砂嵐であり、また最も広範囲に及んでいる砂嵐である」と述べています。

 

州メディアによると、月曜日に、北京と他の23の都市が大気汚染の「チャート外」レベルを記録しました。
北京では、砂嵐に関連することが多い、空気中の小さな粒子の測定値であるPM10が、1立方メートルあたり9,000マイクログラムを超えました。
これは、世界保健機関が健康と見なすレベルの180倍に相当します。
一部の住民は、屋内でも2枚のマスクを着用していると報道されました。

 

過去何年もの間、春はゴビ砂漠から北京に砂嵐をもたらしてきました。
そこで住民は空が黄色やオレンジ色に変わるのを見て、ほこりが口や目に飛ぶのを防ぐために顔を覆いました。
グリーンピースのリー氏は、過去2年間、気象パターンと砂漠化によって引き起こされた砂嵐が、通常の砂嵐のシーズン外の夏や秋にさえ発生していると述べています。

 

「これは我々に大いなる疑問を投げかけるものです」とリー氏は述べています。
「つまり、砂嵐の季節が長くなっているようだということです。これは今後注目に値するものです」
月曜日の砂嵐は、中国の全国人民代表大会(全人代)会期中に、スモッグが首都を覆った後に発生しました。
当局が一時的に工場を閉鎖し、他の汚染防止措置を課しているため、こうした主要な政治的イベントは通常、良好な大気質を伴うものです。

 

嵐は、北京が「エアポカリプス(注1)」として知られる悲惨な大気質の発作を頻繁に経験した、数年前の苦い記憶を呼び起こしています。
これは、中国の指導者たちに大気汚染への取り組みを促した時期です。
それ以来、大気質は改善されたため、パンデミックや経済の回復など、他の事項が優先されたと環境保護論者は述べています。

 

「ある意味で、環境面でやるべきことが、まだまだ沢山あることを皆に思い出させています」とリー氏は言いました。
「私たちはまた、新しい10年の始まりに立っています」
「多くのことが変化し、そして多くのことが変わらないまま取り残されました」

 

リリー・クオがこのレポートを寄稿しました。
リリー・クオはワシントンポスト中国支局長です。

 

The Washington Post:3月15日


原題:Massive sandstorm blankets China in thick, orange muck
引用:https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/china-sandstorm-beijing-air-pollution/2021/03/15/fc50caac-8541-11eb-be4a-24b89f616f2c_story.html


注1:“air”(大気)と“apocalypse”(黙示録、終末)の合成語。主にアメリカで広がった新しいネット用語。最悪の大気汚染を意味する。


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