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【WSJ社説】日本の新しい指導者に求められる経済改革

by 黒岩留衣
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14日に与党自由民主党の総裁に選出された菅義偉氏は今週、日本の新首相に就任する。

菅氏は、世界第3位の経済大国にとって重要な時期に首相の座へと上り詰めることになった。

そして新たな機会が提示されている。

 

菅義偉新首相

 

菅氏は、健康上の問題で退陣することになった安倍晋三氏の後任となる。

菅氏が首相として引き継ぐ日本の経済は、第2四半期には新型コロナウイルスのパンデミックを受けて年率28%近く縮小した。

日本の復興のシンボルとなるはずだった2020年夏の東京オリンピックは延期された。

政府債務が危機以前にすでに国内総生産の230%に達していたにもかかわらず、日本政府はGDPの40%に相当する200兆円超の経済対策を打ち出している。

 

菅氏は、前任者の改革プログラムの拡大に取り組むことで、こうした問題に対処しようとしているようだ。

安倍氏は機動的な財政政策、大胆な金融政策、規制緩和を通じた成長戦略という「3本の矢」を放つことで、日本経済を復興させると約束した。

期待通りに放たれたのは最初の2本の矢だけだった。

ただし安倍氏は、労働法規、コーポレート・ガバナンス改革、移民規制の緩和などの面で成果を上げている。

彼はまた、国内の競争力強化を目指して、環太平洋経済連携協定(TPP)など質の高い貿易協定の交渉に取り組んだ。

 

安倍氏の内閣官房長官として長く仕えた菅氏は、この政策課題の立案と実行において主導的的役割を果たした。

同氏は現在、非効率な地方銀行の改革に重きを置くなどといったアイデアを持っている。

日本の地銀は数が多過ぎる上、利益が少な過ぎる。

安倍氏の爆発的な金融緩和措置は地銀の助けにはならなかった。

菅氏は長年、統合によって地銀が中小企業に融資する能力が上がると信じてきた。

同氏はまた、中小企業間の統合や合併に対する政策上の障害を取り除きたいと考えており、それが生産性向上を後押しする可能性があるとみているようだ。

 

これらは小さな措置のように聞こえるかもしれないが、こうした小さなアイデアが大きな影響をもたらす可能性はある。

日本には事実上、2つの経済がある。

1つは大手輸出企業から構成される世界的競争力を持った生産性の高い製造業を中心とした経済。

もう1つは、痛ましいほどに生産性が低く、中小企業から構成され、投資が不足している国内サービス業を中心とした経済だ。

菅氏が2番目の国内経済に向かって改革の矢を放ちたいと思っているのなら、彼の狙いは正しい。

 

別のやり方だと目標を外すことになるかもしれない。

「財政健全化(財務省用語で言うところの増税の別称)」について、菅氏は安倍氏より寛容なようにみえる。

菅氏は新たな消費税引き上げに前向きであることを示唆した。

 

日本の官僚はこの消費税が大好きだが、引き上げられるたびごとに景気後退を引き起こしてきた。

菅氏にとり、最良の財政計画としては景気拡大に焦点を合わせるほうがいいだろう。

 

これら全てのことが重要である。

日本は、直面するそれ以外の課題に対処する上でも力強い経済を必要としている。

他の課題には、北朝鮮などの従来の脅威や、威圧行為を増す中国など新たな脅威が含まれる。

安倍氏の成果には世界の民主主義勢力との関係強化が含まれる。

彼は日本の安全保障にとって、力強い経済が不可欠であることを理解していた。

菅氏も同じように考えているようにみえる。

そして菅氏はいま、日本の運勢を好転させる役割を担う機会を得た。


Japan’s New Prime Minister
Yoshihide Suga could bring renewed energy for economic reform.

2020年9月15日午後3時(米国東部時間)アップデート:編集委員会社説

The Wall Street Journal


日本経済の長期低迷は日本の人口構成の高齢化と無縁ではありません。

10年以上もの間、日本の人口増加率はマイナスであり、今年もマイナスです。

現在、日本の女性の年齢構成の中央値は50歳に近く、子供を産めるような年齢ではありません。

日本の女性たちが安心して子を産み、育てられる環境を整えない限り、経済構造の再編は沈みゆくタイタニック号のオープンデッキの椅子を並べ替えるだけに等しい議論になると愚考します。

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