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抗議行動、世界へ広がる

by 黒岩留衣
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白人警察官による黒人男性の死亡に端を発した抗議行動は収まる様子もなく、むしろ世界各地に広がりをみせています。

首都ワシントンで行われた抗議デモは、これまででも最大規模であり、ワシントン州シアトルでは抗議者に催涙弾を発射する騒動も起こっています。

またホワイトハウスの周辺には急遽フェンスが設置され、「要塞化」する状況になっています。

 

 

ロンドン 英国

 


ロンドンの国会議事堂前に数千人の平和的な抗議者が集まった。

抗議者の一人は「アメリカで起こった出来事は単なるきっかけに過ぎない。何処ででも起こり得たこと」と語り「他人事ではない」と語った。

 

 

 

メキシコシティ メキシコ

 

金曜日、メキシコシティの米国大使館の前で10代の女性抗議者に対して警察が暴力を振るったとの報道に反応し、抗議者の一部が暴徒化している。

 

メキシコシティの市長、クラウディア・シェインバウムは、デモ隊に残虐行為を犯した警察のメンバーを容認しないと語ったが、暴動は治まっていない。

 

 

 

 

シドニー オーストラリア

 

土曜日、法廷が社会的距離の制限のためにそこでの抗議活動は違法であるとする以前の差止命令を撤回した後、シドニー中心部に約10,000人が集まった。

 

ブリスベン、メルボルン、アデレードでも同様のデモが行われ、抗議者たちは旗を振って「黒人の命」を唱えた。

 

 

オタワ カナダ

 

金曜日、カナダの首相ジャスティン・トルドーは、オタワで行われたブラック・ライフズ・マターのデモ中に姿を現し、片膝をついてデモに対する共感の意を示した。


トルドー首相自身はコメントを発せず、政治的な見解に対する質問には応じなかったが、集会の他の発言者たちの発言に拍手を送り、肯いていた。

 

 

 

 

パリ フランス

 

土曜日、パリでは、ジョージ・フロイドに敬意を表して、数千人の人々が人種差別と警察の残虐行為に抗議した。

抗議者たちはスローガンとして「息ができない」、「ブラック・ライフズ・マター(黒人の命は大事だ)」を連呼し、コンコルド広場と米国大使館に向かって行進、「黒人として生まれたことは犯罪ではない」と叫んだ。

抗議者の中には、2016年にパリの警察官に拘留された後に亡くなった黒人男性アダマ・トラオレの家族もいた。

トラオレは24歳の誕生日に、身元確認を逃れて警察に拘留された後に死亡した。

彼の妹、アサ・トラオレは、兄の最後の言葉は「息ができない」だったと語った。

 

 

ベルリン ドイツ

 

ドイツのプロサッカーリーグのトップチームであるバイエルン・ミュンヘンは、ウォームアップ中に「我々はいかなる人種差別にも反対する:BLACK LIVES MATTER」とプリントされたシャツを着ており、一部の選手は「Black Lives Matter」のアームバンドを着用していたプレーヤーもいた。

 

ボルシア・ドルトムントとヘルタ・ベルリンの試合前、両チームはキックオフの前に片膝をついて円陣を組み、故人に黙祷を捧げた。

ドルトムントの選手たちは、ウォームアップ中に「NO JUSTICE NO PEACE」などの人種差別に反対するメッセージを示すシャツを着ていた。

なお、試合はドルトムントが1-0で勝利した。

ドイツ・サッカー協会は、彼らの行為は政治的意思表示とは一線を画するものであり、処分等は考えていないと発表した。

 

参照:CNN

 

 

今回の人種差別運動とコロナウイルスの騒動とには、ある種の奇妙な共通点があります。

それは民主党と共和党の対立であり、イデオロギーの対立であり、価値観の対立であり、見えている世界の対立だということです。

 

経済再建を強く訴える保守派のグループは、一部の過激な抗議者が略奪や放火を繰り返したことを「テロ行為」として批判し、たとえ軍隊を投入してでも排除されるべき障害であると映っているはずです。

彼らにとってのトランプ大統領は「法と秩序の守護者」であり「経済再建の救世主」となるはずです。

 

一方、経済再建よりは感染拡大を阻止することに重点を置くリベラルのグループにとっては、感染拡大を阻止し社会的弱者の身体・生命を守ることと、平和的な抗議者の権利を守ることは、いわば同源の思想であり、経済よりも優先されるべきことと映っているはずです。

彼らにとってのトランプ大統領は「アメリカを分断しようとする愚者」に見えているでしょう。

 

最終的に、これら対立する二つの正義のいずれを優先させるべきかは、大統領選の行方を左右する大きな要素になると思われます。

 

 

 

 

 

 

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