世間には『蜂の巣を突いたような』という言葉があります。
日本時間の昨夜未明、アメリカ東部時間の午前中、アメリカの連邦最高裁判所が『予想外』の判断を下したことを受けて、アメリカメディアは文字通り『蜂の巣を突いた』ような騒ぎになりました。
それは『保守派』と信じられていた最高裁判所長官が「トランプ大統領の財務記録を開示するよう命じた」からでした。
『予想外』と述べた理由は、アメリカの連邦最高裁判所は9人の裁判官によって構成され、保守派と革新派の裁判官は4対4の同数と見做されており、結果として最高裁判所長官のジョン・ロバーツ長官の判断が鍵を握ると考えられていたからでした。
ロバーツ長官は、2005年に共和党のブッシュ・Jr元大統領に任命されていたため、保守派の判事とみられたので、その意味で『予想外』だったわけです。
各メディアは速報で事実を短く伝えた後、今回の最高裁の判断が『誰にどのような影響を与えるか?』という問いに対する回答を模索して、半ば混乱したような状態にあります。
言うまでもなく、法曹関係者は例外なく「秘守義務」を負います。
従ってニューヨークの検察当局も、知り得た情報を外部に漏らすことは厳に禁止されます。
それでも虎視淡々とスクープを狙うマスコミや、選挙キャンペーン真っ只中のライバル陣営に『漏れてしまう』可能性も、つい『漏らしてしまう』可能性も十分にあります。
例えば、このたび『情報開示命令』を勝ち取ったマンハッタンの地方検事長サイラス・バンス・ジュニア氏も政治的には民主党員なのです。
大統領選挙戦がいよいよ佳境を迎えるにあたって、トランプ陣営はいっそのこと『財務書類』と共に『トランプ自身』も公衆の目から隠した方が良いのかもしれません。