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アンソニー・ファウチとは何者か?

by 黒岩留衣
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アンソニー・ファウチ博士、79歳

 

1984年以来、米アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長を務めてきたアンソニー・ファウチ博士は、7年前にエイズを発症させるHIVの研究の功労者としてコッホ賞を受賞したりと、6代にわたって大統領政権に感染症関連の助言をしてきた疫学の専門家ですが、新型コロナウィルス発生以前はアメリカで一般市民に知られているような存在ではなかったかもしれません。

私が初めてファウチ博士を見たのは、今年の3月13日、トランプ大統領がホワイトハウスのローズガーデンにて国家緊急事態宣言を行った日でした。

 

アメリカが緊急事態を宣言するだろうと言う憶測は流れており、興味があったのでネットでライブ中継された画像を見ていた訳ですが、その時のトランプ大統領の演説は「アメリカはこのウイルスを完全にコントロールできている」「なにも心配する必要はない」「アメリカは大丈夫だ」というものでした。

大統領として国民に不安を与えないようにとの配慮なのだろうと、その時は思っていたのですが、その後に壇上に登場した小柄な老紳士が、大統領と全く違うことを言い出して驚いた記憶があります。

その小柄な老紳士、アンソニー・ファウチ博士は新型コロナウイルスは非常に危険なウイルスであり、アメリカは未曾有の危機にあると淡々と訴えました。

 

大統領とファウチ博士の見解の食い違いはすぐに露呈します。

3月19日、トランプ大統領は記者会見で抗マラリア治療薬であるヒドロキシクロロキンをとりあげ『(形勢を逆転させうる)ゲームチェンジャーになる』と語り「それはすぐにでも使うことができる」と主張しますが、ファウチ博士は「間違った期待を提供しないことが大事だ」と述べ、安全性を確認した上での認可には時間がかかると発言して大統領の発言を修正します。

 

3月29日、CNNとのインタビューに応じたファウチ博士は「アメリカの最終的な死者数は10万人から20万人に達するだろう」と発言して国内外に衝撃を与えます。

この時、世界ではイタリアが最も悲惨な状況にあり、死者数が1万人を突破して世界が恐怖した頃でした。

トランプ大統領は「それは何も対策をしない場合の数字だ」とファウチ博士の発言を自ら否定してまわる役割を演じますが、それでも「5月のメモリアルデーまでには経済を再開させたい」とする自身の主張を有耶無耶のまま撤回せざるを得なくなりました。

 

最近では7月4日の米独立記念日に、トランプ大統領は「感染しても99%は無害だ」と宣言したのですが、ファウチ博士はすぐさまファイナンシャルタイムス紙に「いったい大統領は誰からこの数字を聞いたのか?おそらく一般的な致死率は約1%と誰かから聞いた大統領は、だったら99%は無害だと解釈したのだろう」と指摘しています。

 

要はトランプ氏自身の浅い知識に基づく間違った見解を、まるで『モグラ叩き』のように、ファウチ博士がことごとく訂正していく訳ですが、叩かれるモグラにすれば面白くはなかったことでしょう。

楽観論を唱える自分がマスコミに叩かれて、悲観論を展開するファウチ博士が支持されるのは『我慢がならない』と言ったところかと思います。

二人の関係が次第に悪化していったのは当然のことかと思われます。

 

土曜日、ホワイトハウスの報道官は「ファウチ博士は多くの間違いを犯した」とし、パンデミック初期時のファウチ氏の発言リストを配布、ファウチ博士に対する信頼を傷つけるために一丸となって努力しました。

ホワイトハウスの報道官によれば、感染症に関する理解が進むに連れ、同氏の発言が誤りだったことが判明したとの言い分です。

 

これに対してすかさず反論し、ファウチ博士に擁護の傘を提供したのはアメリカ医科大学協会(AAMC)でした。

AAMCは急遽、声明を発表し「米国は彼の信用を傷つけるのではなく、彼の献身に『感謝と称賛』を送るべきだ」と述べています。

 

声明は「ファウチ博士は真実を求め、政治的権力から独立した率直な発言をしてきました」とし、続けて「ファウチ博士の科学的知識と判断力に対する信用を害する努力は、ウイルスを制御し、経済を回復させ、私たちをより通常の生活様式に戻すための国の努力に多大なる害を及ぼすでしょう」と述べています。

 

余談ですが、ファウチ博士は一部の過激な保守層には相当に嫌われているようで、彼のもとには複数回、殺人予告状が届いているそうです。

 

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