英国の首相ボリス・ジョンソンが木曜日に、スコットランドの北海岸沖の群島であるオークニー諸島に上陸したとき、彼は団結した連合国への彼のコミットメントが証明されたと大胆に宣言しました。
「この6カ月間で、われわれの連合の底力が証明された」
ジョンソンは、今年のスコットランドへの最初の旅行のために、スコットランドの政治権力の中心地エジンバラから数百マイルも離れた人口の少ない群島を選びました。
ですが結局、彼はスコットランドで選出された最高位の役人であるニコラ・スタージョン自治政府首相とは会見できませんでした。
それは正当な理由があるかもしれません。
スコットランドはCovid-19でひどく苦しんでいますが、スタージョンの人気は急上昇しました。
理由は主に、彼女がイングランドよりもパンデミックに対し慎重なアプローチを貫いたためです。
彼女に対する支持と同様に、スタージョンの最終的な政治目標であるスコットランドのイギリスからの独立への機運も高まっています。
一方、イングランドとスコットランドの国境の南側で、経済活動を再開することについてのメッセージがより杜撰で、より無計画であったとの批判を受けて、ジョンソンの支持率は傷つきました。
スコットランドへの彼の訪問は(それが可能か不可能かは別として)ハドリアヌスの長城の北側にある政治的首都を取り戻そうとする試みだったわけです。
英国国民がパンデミックから学び得た多くの教訓の中の1つは、この国の政治指導者たちの全く異なる統治スタイルでした。
ジョンソンは5月10日に英国民に語りかけ、自宅で仕事ができなければ「積極的に仕事に行くように勧められる」べきであるが「それでも注意を怠らない」ようにすべきだと語りました。
スタージョンはジョンソンのスピーチに感銘を受けませんでした。
当時、彼女は「何を言っているのか、意味がわからない」と述べ、間違ってもスコットランドにはそのような不可解なスローガンを展開しないよう、わざわざジョンソン政権に要請したほどでした。
ジョンソン政権が、帰国時に検疫することなく国民が特定の外国を訪問できるようにする新しいルールを導入したとき、スタージョンは意思決定プロセスを「無秩序」と呼んで批判しました。
ダウニングストリート(英国首相官邸または英国首相の別称)とは異なり、彼女はスペインからの無制限の旅行を許可することを拒否しました。
あるいは別の相違点として、マスクの問題もあります。
ダウニングストリートがイギリス条例に従ってマスク着用を義務化する2週間も前に、スタージョンはスコットランドの店舗でそれらを必須にしました。
スタージョンのタータンチェックのフェイスマスクは、彼女の代名詞にもなりました。
ジョンソンはドナルド・トランプ米大統領ほどの熱意をもってマスクに抵抗していませんが、彼もマスクで顔を覆っていないことがよくあります。
オークニー諸島への彼の訪問時には、スコットランドでは、ささやかならざる抗議の声があがりました。
「ヘイ!マスクはどこだ、ボリス?」
マスコミに公開された写真には、ボリス・ジョンソンと並んで名物のカニは写っていたものの、マスクは写っていませんでした。
スコットランドが2014年に最後に行った国民投票では「ノー(英国連合から離脱すべきではない)」は10パーセント以上勝りました。
ですが、それ以降、多くのことが変化しました。
ストラスクライド大学の有名な世論調査員ジョン・カーティスは木曜日、独立への支持が過去約1年間で急増しており、現在は英国のEU離脱に賛成票を投じたスコットランド人の間ですら上昇していると語りました。(スコットランドではEU離脱反対派が主流でした:翻訳者注)
彼は、最近の調査では「スコットランド独立への機運は、過去のいかなる時代よりも高まっていることが示唆される」と述べました。
それは、皮肉なことに保守統一党(Conservative and Unionist Party)が正式名である党の指導者であるジョンソンにとって大問題であるといえます。
スコットランドを訪問することにより、ジョンソンはイングランドとスコットランドの約300年前の同盟が、スコットランド人へ多くの利益をもたらしていると強調することを望んでいたのです。
彼は寛大な計画により、スコットランドの何千もの仕事を消滅の危機から救ったのはロンドンの財務省であると指摘することに熱心でした。
ですが、そもそも保守党を好ましく思わない人々が多いスコットランドでは、ジョンソン首相の訪問も決して楽しい旅ではなかったようです。
スタージョンはジョンソンの訪問が彼女にとって『何の害も及ぼさなかった』とツイッターで皮肉たっぷりの冗談を言ったほどです。
スタージョン率いるスコットランド国民党は、来年(2021年)のスコットランド議会選挙の前に、独立に関する新しい住民投票を行うと約束しています。
ボリス・ジョンソンはこれを頑なに認めようとはしていません。
スコットランド国民党に所属する国会議員トミー・シェパードは「ジョンソン首相がスコットランドの地を可能な限り頻繁に訪れることを切に願います」と語りました。
「スコットランドが独立国になることを望んでいる人々は、ボリスがスコットランドに足を踏み入れるたびに、独立支持への機運が高まるからです」
(参照:CNN)