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ルールを守らなかったエリート達。国民の不信は公衆衛生の危機

by 黒岩留衣
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国家がコロナウイルスとの闘いの為に国民に何らかの制限を課すとき、政府と人々の間には暗黙の協定が結ばれます。

「私たちは皆、一緒にいます」というある種の誓約です。

したがって、強力な、または影響力のある人物が規則を破る時、それは激しい国民の怒りを引き起こし、社会の不平等を全面的に見せつけるようになります。

 

辞任を発表する欧州委員会のフィル・ホーガン委員(通商担当):ブリュッセル

EU委員会のフィル・ホーガン氏は、水曜日にアイルランドのコロナウイルス規制を破り、約80名が参加する政治ゴルフ協会主催のイベントに出席したことで辞任を余儀なくされましたが、彼もまた規則を無視した政治エリートの最新のメンバーに過ぎませんでした。

アイルランドの農業担当大臣ダラ・キャリアリー氏は、いわゆるゴルフゲートスキャンダルで既に辞任していました。

8月20日、キャリアリーとその81人の仲間たちが、前日に開催されたウラクタス・ゴルフ協会(アイルランドの議員達によるゴルフ親睦会:翻訳者注)主催の夕食会に、アイルランド政府のCOVID-19ガイドラインに違反して出席したというニュースが報道され、キャリアリーはゴルフゲートスキャンダルの中心人物になりました。

 

夕食会は彼が務めたアイルランド政府が、コロナウイルス感染の急増に直面し、集会の規模が以前に許可されていた50人から6人に制限されるという決定を課した翌日の出来事でした。

この制限は即時に有効です。

 

世界の反対側では、ニュージーランドの厚生大臣であるデビッド・クラーク氏が先月、家族を海に連れて行くという自宅待機命令違反などの失態を犯し、辞任を余儀なくされました。

先週行われた米国合衆国での共和党全国大会では、社会的距離などほとんど無視されていたようです。

最も印象的な例として、ドナルド・トランプ大統領が木曜日の夜に行った共和党指名受諾演説を聞くために、1,000人以上の支持者がホワイトハウスの南庭園に集まりました。

マスクをつけていた人は少数しか確認されず、ほぼ全員が近くに座っていました。

 

ボリス・ジョンソン首相の首席顧問であるドミニク・カミングス:ロンドン

そしてイギリスでは、ボリス・ジョンソン首相の首席顧問であるドミニク・カミングスによる行動が、一般の人々がルールに従うことを期待されている一方で、政治エリートは罰せられもせずに平然とルールを破ることができるという二重基準を公衆に例示する出来事になりました。

カミングスは、ロックダウン中に妻と子供と一緒にイングランドをドライブしたことを謝罪することを拒否しました。

この時、彼の妻は新型コロナウイルスに感染していた疑いがありましたが、その後、観光スポットにも車で立ち寄ったことが確認されました。

国民的激怒にもかかわらず、カミングスは辞任せず、解任もされませんでした。

彼の活動は警察によって調査されましたが、彼の行動は何らの注意にも直面しませんでした。

 

そのような例は、制限に従う人々の意欲に永続的な悪影響を与えると、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(UCL)の心理学教授、スーザン・ミチー氏は述べました。

ミチー教授は、政府の緊急事態科学諮問グループ(SAGE)の行動諮問委員の一員であり、コロナウイルスの対応を先導している人物です。

 

「私たちは『信頼と公正性』の両方がルールに対するコンプライアンスを保護するという観点で非常に重要であることを知っています」とミチー教授は言いました。

「また、毎週の調査によって収集されたデータから、ドミニク・カミングス事件後、感染拡大対策に対する信頼が大幅に低下したこと、およびコンプライアンスが大幅に低下したこともわかります」

「信頼を失うことは簡単ですが、再構築することは極めて困難です」

 

他の有名な英国人の数人もルールに違反しています。

スコットランドの首席医務官であるキャサリン・カルダーウッドは4月に辞任しました。

彼女は、彼女の別荘を訪問するため、ロックダウン規制を2回も破った後、警察から正式な警告を受けとりました。

 

コロナウイルスへの対応について英国政府に助言する主要な疫学者であるニール・ファーガソン氏は、恋人の自宅を訪問することでロックダウン規制を破ったため、5月に政府のポストを辞任しました。

 

エディンバラ大学の公衆衛生学の教授であるリンダ・ボールド教授は、影響力のある人物によるそのような行動は「あたかも特権であるかのように捉えられ、民衆にとって1つのルールであり、政治的エリートにとっても1つのルールであるというメッセージを与えるための感覚を悪化させるでしょう」と述べました。

「つまり、それは非常に、非常に有害であり、非常に不幸なことです」

 

スポーツスターやカルチャーエリートも、制限を無視して批判を受けました。

英国の人気小説家のニール・ガイマン氏は、5月にニュージーランドからスコットランドのスカイ島にある自宅への旅行についてブログを書いたとき、怒りと地元の警察の訪問を促しました。

「このような大騒ぎを引き起こしてしまったことを島のすべての人に謝罪したい」と彼はブログに書きました。

「これは私が行った最も愚かなことです」

 

カイル・ウォーカー:マンチェスターシティ

イングランドのクリケット選手であるジョフラ・アーチャーは、所属チームの安全手順に違反したため、西インド諸島に対するテストマッチから除外されました。

また英国プレミアリーグのサッカー選手とトッテナムのマネージャーであるジョゼ・モウリーニョ監督がロックダウン制限に違反していることが明らかになりました。

マンチェスターシティのサッカー選手、カイル・ウォーカーは2人のセックスワーカーとのパーティーを主催したことを謝罪し、エバートンのストライカーであるモイーズ・キーンはパーティーに出席したことで懲戒処分を受けました。

 

そのような例はすべてに悪影響を与えるとミチー教授は言います。

特にルールに固執する可能性が低い若い男性に悪影響を与えたと言いました。

 

ルールが国民に不満を募らせ、そこに強力な力が発揮されるときに、不平等が表れます。

コロナウイルスはイギリス社会を今まで以上に不平等にしたとミチー教授は言いました。

外部空間へのアクセスの制限と、それに伴う失業は、最も貧しい人々を集中的に襲ったと彼女は述べています。

「私たちのための1つのルールと彼らのための1つのルールが合致しない場合、集団的責任の重要性は完全に損なわれるでしょう」と彼女は述べました。

 

 

では、リーダーは何をすべきでしょうか?

それは本当にシンプルです。

「効果的なリーダーシップとは、指導者がリードしたいグループの一員として見られるかどうかに依存します」

「人々はそのリーダーシップに信頼を置く必要があります。リーダーシップを他のグループから分離するものは、それを根本から損なうものです」

「指導者が模範とはなっていないことをすると、国民は彼らへの信頼を失い、規則に従う可能性が低くなります」

 

リンダ・ボールド教授は、カナダ、ドイツ、東南アジアのほとんどの政治家が独自のガイドラインを順守していることを強調しました。

パンデミックによって引き起こされた前例のない課題にもかかわらず、多くの政府が信頼を維持することに成功しているようです。

 

木曜日に発表されたピュー・リサーチセンターの国際世論調査によると、米国と英国は、調査対象となった14の国のうち『政府がCovid-19感染対策を適切に行っていると思いますか?』との質問に対し『そう思う』と回答した割合が最も低い2か国でした。(ちなみに日本は55パーセントが『そう思う』と回答し、14か国中11番目でした:翻訳者注)

 

ボールド教授によると、すべての国は、最も脆弱な人々を保護するために、人々が規則を順守し、行動を変えることに頼るしか方法は無いと言います。

「ルールを遵守しない理由がある場合、または遵守しない言い訳が与えられた場合、それは、国の公衆衛生全体の危機となります」と彼女は述べました。

 


以下の記事を参照しました

Elites are flouting coronavirus restrictions — and that could hurt us all:CNN

Oireachtas Golf Society scandal – the rule of law and a political crisis:Irish Timez

Coronavirus: I don’t regret what I did, says Dominic Cummings:BBC

US and UK are bottom of the pile in rankings of governments’ handling of coronavirus pandemic:CNN


ジャスティン・トルドー首相:カナダ

今年3月、カナダのジャスティン・トルドー首相の妻ソフィー氏がコロナウイルスに感染すると言う出来事がありました。

トルドー首相はまだ幼い3人の子供を連れて人里から離れた山荘に篭り、電話とオンライン会議を駆使して100年に一度の危機に瀕したG7加盟国の指揮をとりつつ、子供たちのために食事を作り、洗濯をし、お風呂を介助するという困難を乗り切ったことがありました。

彼は自らの定めたルールを尊重し、国民に範を示したことになります。

 

現在、カナダはウイルスの拡散を押さえ込むことに成功した国として賞賛を浴びており、先に発表されたピュー・リサーチセンターの調査によると、国民の88パーセントが「政府はよくやっている」と回答しています。

 

余談ですが、トルドー首相は当時の苦労に関する質問を受け付けてはいませんが、彼の11歳の娘エラ・グレースは、慣れない家事に奮闘しながら、他のG7リーダーとのビデオ会議にも臨む父親の姿を写真に撮って、インスタグラムに投稿しました。

彼女は今や、世界で最も注目される若手写真家と見做されるようになっています。

 

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