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安倍首相の辞任は日米同盟と地域の安定にとって痛手であるかもしれない

by 黒岩留衣
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日本の安倍晋三首相の健康に関する噂は数週間前から広まっていました。

そして金曜日の彼の辞任会見は、米国当局にとっては完全な衝撃というわけではありませんでした。

ですが、その発表のタイミングについては懸念されています。

なぜならば今、アジアでは緊張が高まっているからです。

 

米国と中国の貿易戦争が進む中、中国は東シナ海と南シナ海でますます挑発的な行動をとってきました。

たとえば、ほんの数日前に、中国は4発の弾道ミサイルを南シナ海に向けて発射しました。

現在、6つの異なる政府が領土紛争に巻き込まれています。

 

中国はまた、日本が管理する尖閣諸島(中国では釣魚島と呼ばれ、主権も主張しています:翻訳者注)近くの紛争海域への船の進出を許可することにより、日本との緊張を急速に高めました。

香港に対する中国の弾圧と、台湾に対するその軍事的な脅威は、今後数年間でアジアでの大規模な紛争が避けられないのではないかという懸念を引き起こしています。

 

安倍首相は最近、日本で最も長く勤める首相になり、この地域の安定の源となった人物です。

彼の「殉国者への同情の念」は、殊に日本の帝国主義の象徴とみなされ、物議を醸すことの多い靖国神社への参拝は、中国・韓国、時には米国からも否定的な注目を集めたこともありましたが、それでも安倍首相は多国間主義者として精力的に推進した『国際秩序の献身者』だったとの評価を得ています。

同時に、安倍首相は日米同盟の確保と改善への彼の献身に揺るぎはありませんでした。

 

2015年、彼は国内で論争の的になった平和安全法制関連2法を通過させ、武力の使用を自衛目的に限定する憲法の条項を再解釈しました。

この法律により、日本は集団的防衛責任を行使することができ、必要に応じて米国の援助を受けることができました。

この法案はバラク・オバマ前大統領の時代に成立しました。

 

しかし、トランプ大統領が選出されたとき、安倍は機会を逃がすことなくニューヨークに飛んで、トランプタワーの主人から米国大統領に選出された人物と会った最初の外国人指導者になりました。

トランプ大統領が、安倍首相が経済的および戦略的理由の両方にとって重要であると信じた12カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を撤回した後でも、首相は残りの11カ国を纏め上げ、アジア太平洋地域における経済連携協定(CPTPP)としてこれを支えました。

 

次にトランプ政権と協力して個別の日米二国間協定を形成することに合意しました。

これはTPPよりも限定的ですが、多くの関税水準と一致し、さらに2つの同盟国の関係強化という側面でより重要な意義を持ちました。

 

中国に関して言えば、日本は難しい立場にあります。

日本は中国の勢力拡大にますます依存せざるを得ない状況になっているため、日本はそのより大きく裕福な隣国に経済的に縛られています。

安倍首相は、中国を不必要に挑発することなく、日米関係を確保することで綱渡りをしなければなりませんでした。

これは、日本政府が香港における中国政府の行動に関して懸念を表明したものの、米国、英国、オーストラリア、カナダとの共同声明に署名することを避けた6月において明白でした。

 

菅 義偉(すが よしひで)内閣官房長官、石破茂元国防大臣、河野太郎外務大臣、岸田文雄元外務大臣など、安倍政権の後継候補として数名が名を連ねています。

来月、自由民主党総裁に選出された人物は、世界の表舞台で日本の競合する国益をどうバランスさせるかを考えなければなりません。

うまくいけば、そのバランスは、安倍政権下でそうであったように、米国にとっても有益に働き続けるでしょう。

 

安倍首相が2012年に就任する数年前に、鳩山由紀夫首相率いる民主党(日本民主党)解散後の日本は、アメリカに背を向け、中国とのより緊密な関係に向かっているように見えました。

ですが、幸いなことに、安倍首相によって導かれた日本と米国の同盟関係は、両国間の関係が幾つか制度化されたほどに強力に維持されました。

たとえば『自由で開かれたインド太平洋地域』を維持するために米国、日本、オーストラリア、インドの四か国間で定期的な会合をもたらしました。

 

ポール・スラシッチ論説委員:CNN

2020年、国際社会は世界的なパンデミックと迫り来る経済危機とに直面しており、安倍首相の辞任は世界を青ざめさせるかもしれません。

安倍首相の離脱はすぐには驚くべきことではないかもしれませんが、中国の急速な支配への野心を考えると、それは地域の安定に深刻な挑戦をもたらす可能性があります。

 

日本の次期指導者が誰になるかはわかりませんが、安倍首相と同様に米国との同盟関係に熱心であることを切に期待して止みません。

 

(参照:CNN opinion:ポール・スラシッチ論説委員

 


ポール・スラシッチは政治学者であり、かつて日本に2度留学したことがあるフルブライト奨学生でした。

彼は現在、東アジア問題に関するロゴスグループ・インターナショナルの顧問を務めています。

この解説で表明された見解はすべて彼自身に属します。


安倍首相が会見で辞意を表明した後、CNNやBBC、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポストなどの主要紙が一斉に報道しました。

このうちニューヨークタイムズ紙は「安倍首相は求められた説明責任を十分に果たしたとは言えない」として幾つかのスキャンダルに悩まされていたことを批判的に報道しました。

ニュージーランドヘラルド紙は安倍首相が10代の頃から難病の潰瘍性大腸炎に悩まされてきたことや、彼の辞任の報を受けて日経インデックスが2パーセント以上も下落したことなどを報道しました。

 

台湾の台北時報(Taipei Times)は蔡英文総裁の談話を引用し「長期にわたる温かい御支援と日台関係への貢献に深く感謝し、彼の病気からの迅速な回復を望みます」と報道しました。

香港のサウスチャイナモーニングポスト紙は「石破茂元防衛大臣が後継者レースのトップランナー」であると紹介し「石破氏は日本の平和憲法改正に関して支持はするものの、安倍総理のように性急な改正は望んでおらず、中国にとってより親しみやすい指導者になるかもしれない」と報道しています。

 

韓国のハンギョレ新聞は「安倍首相は憲法9条の改正を主張するなど日本を右傾化させた」とし「国民の反韓感情を政治利用し、日韓関係を史上最悪に導いた」と厳しく批判。

彼の辞任を契機として日韓関係の立て直しを急がなければならないと述べています。

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