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トランプの暴言にタリバンは嗤う

by 黒岩留衣
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過去数日間、トランプ大統領は、彼の基準に沿ってさえ極端であったといえる挑発的な声明の濁流を生み出しました。

 

とりわけ、彼はウィリアム・P・バー司法長官に、元副大統領であり、現在の民主党の大統領候補ジョー・バイデンと、元大統領であるバラク・オバマを裁判にかける材料を発掘してくるよう重ねて要求しました。

国務長官のマイク・ポンペイオに対しては、ヒラリー・クリントンの電子メールをこれ以上発掘することを怠ったとして不満を述べました。

民主党の副大統領候補であるカマラ・D・ハリスは「化物(モンスター)」であり「共産主義者」であり、バイデン氏は「老齢」で弱っており「認知能力」に欠けており、彼が大統領に選出されても数ヶ月後には無能力になるだろうと誹謗しました。

 

これらの有毒な発言に比較的注意が払われなかったという事実それ自体が、過去4年間のトランプ大統領の政治的言説の見窄らしさに対する悲しい証言です。

彼が要求した、または予測した行動が起こることを期待する人はほとんどいないでしょう。

しかし、大統領の爆弾発言の1つは、彼の最も重要な職務であるはずの国家安全保障政策の1つを魚雷で撃ち抜く可能性があるという意味で際立ったものでした。

 

 

「クリスマスまでにアフガニスタンで奉仕する勇敢な男性・女性の兵士の残りの人数は少ないはずです!」彼は水曜日の夜にツイートしました。

翌朝、彼はフォックスビジネスのインタビューで「米軍のアフガニスタンからの完全撤退をクリスマスまでに実現させる」と繰り返し述べました。

 

過去にもしばしばそうであったように、トランプの発表は国防総省を仰天させました。

PBS(Public Broadcasting Service:米国公共放送サービス)は、年末までにアフガニスタンに残っている4,500人の米軍兵士を撤退させる命令など受けてはおらず、そもそも安全に撤退させることができるかどうかさえ確信が持てないとの軍高官の発言をこぞって引用しました。

 

トランプ氏の国家安全保障問題担当顧問であるロバート・C・オブライエンでさえ、頭が混乱したに違いありません。

彼は大統領のツイートの数時間前に、ラスベガスの聴衆に向かって、米軍は完全に撤退する訳ではなく、来年初めまでに2,500人に削減されるとのスピーチを行ったばかりでした。

トランプ氏のツイートは、彼自身の国家安全保障顧問を打ち負かしたも同然でした。

国防総省の当局者はコメントを避け「公式なコメントを出せる立場にはない。知りたいことがあるならホワイトハウスに問い合わせて欲しい」というのが精一杯でした。

トランプ大統領は「終わりなき戦い」とも言われたアフガニスタン紛争を自分の手で終結へと導いたという功績を有権者に得得と語りたかったのだと思われます。

 

しかしながら、次の選挙での『政敵をことごとく投獄せよ』との呼びかけと同様に、トランプの言葉はおそらく実行されないでしょう。

過去に、彼の将軍はシリアからすべての米軍を撤退させるという彼の試み​​を巧みに逸らせた実績もあります。

2018年にトランプは「米軍はシリアから撤退するべきだ」とツイートしたことがありました。

そのツイートは国防総省だけではなく、イスラム国を打ち負かすために米国と一緒に戦った同盟国にも少なくない衝撃を与えました。

この出来事は、当時の国防長官だったジム・マティスがその年の後半に辞任するという決定に大きく貢献したとも言われています。

 

国防総省はいくつかの理由でアフガニスタンからの完全撤退に難色を示しています。

たとえば、アフガニスタンでの完全撤退により、アルカイダやイスラム国などのテログループが再集結し、アメリカ本土または海外の利益に対する攻撃を開始する可能性があると考えています。

複数の当局者の証言によると、軍関係者は、アフガニスタンにおける軍を完全撤収させる具体的な計画を何も聞かされてはおらず、ツイート後にその計画について初めて知ったと述べています。

 

アフガニスタンからのより迅速な撤退は、それが軍事的なものではなく、政治的な理由で行われた場合、撤退に関してアメリカ軍を危険にさらす可能性があると軍関係者は述べています。

また、軍がその設備とインフラストラクチャーのいくつかを置き去りにすることを強いられる可能性が高いとも述べています。

 

 

このたびのトランプの声明は、先月のアフガニスタン政府とタリバン間の和平交渉の招集という、彼の政権の海外における数少ない確かな成果の1つを損なう効果があることはほぼ確実です。

2月、和平交渉を開始するにあたっての取り決めの一環として、米国はアフガニスタン国内の軍隊をまず半分に減らし、同時にタリバンがアルカイダとの関係を断ち切ること等を含むいくつかの要件を満たした場合に…という条件で、来年5月までに軍を撤退させることを約束しました。

 

米国の司令官とトランプ氏自身のアフガニスタン特使ザルメイ・ハリルザドによると、これらの条件はまだ満たされていません。

交渉自体は大方の予想通り遅々として進まず、まだ結果を出せていません。

 

しかし、トランプ氏は現在、反政府勢力に「クリスマスまで待つだけでよい」というメッセージを送ったことになります。

当然彼らは、意味のある譲歩をするはずもなく、黙ってクリスマスまで待ちさえすれば、彼らが求めて止まなかった米軍撤退という『素敵なプレゼント』を受け取ることになると考えるでしょう。

 

トランプ氏の無謀な発言は、彼が彼自身を印象づけることを目指している米国の有権者に喜びを与えるかもしれないし、与えないかもしれません。

しかし、トランプ大統領がやっていることや言っていることの多くがそうであるように、それはアメリカ人を喜ばせるよりも先にアメリカの敵を喜ばせるでしょう。

 


以下の記事を参照し、再構成しました。

Trump’s latest rantings will please the Taliban, if no one else:The Washington Post
Trump Says He Wants All Troops in Afghanistan Home by Christmas, Going Further Than Security Adviser :The Wall Street Journal


9・11テロの直後とは違って、長引きすぎているアフガン紛争は有権者にある種の「アフガン疲れ」をもたらしており、撤退の決定自体は歓迎されるとは思います。

ですが、タリバン側はアフガニスタン政府が要求している民主的選挙や女性の人権の確保といった要件には強く難色を示しており、具体的な進展はほぼありません。

トランプ氏の発言はドーハにおけるタリバンの立場を「強化」することに繋がり、遅れている交渉の進展をさらに困難にし、場合によっては失敗に導くでしょう。

 

 

管理者 黒岩留衣

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