昨年、米国の宇宙飛行士アンドリュー・R・モーガンが国際宇宙ステーションへのミッションを開始したとき、彼は、故郷のペンシルベニア州の地方選挙を含め、地球上で多くのことをやり逃すだろうと考えていました。
モーガン氏にとって幸運なことに、彼は衛星軌道上からペンシルベニア州ローレンス郡の有権者サービス部門に電子的に投票用紙を送ることができました。
「正直に言うと、大統領選挙以外は、私はいつも投票する努力をしているわけではありません」とモーガン宇宙飛行士はワシントンポスト紙に語りました。
「しかし、私は国際宇宙ステーションからその権利を行使したかったのです」
「それは特別な体験ですからね」
米国のケイト・ルービンス宇宙飛行士は、次の大統領選挙で国際宇宙ステーションから投票する予定です。
約250マイル下では、多くの有権者が同じことをするのに苦労しています。
米国郵政公社は、コロナウイルスの大流行の混乱の中で、郵送による投票用紙が殺到している有様を眺めてきました。
海外のアメリカ人は自分の投票が正しく集計されるかを心配しており、ペンシルベニア州や他の州の当局者は、投票登録や郵便投票に不慣れな初めての不在者投票者から「手続きの困難さ」に関する苦情を申し立てられています。
投票日ぎりぎりの登録者は、特に混乱に直面しています。
しかし、宇宙飛行士は地球を離れる前に投票する準備をしています。
衛星軌道上から投票したのはモーガン宇宙飛行士だけではありません。
ジョン・ブラハ宇宙飛行士が1996年の大統領選挙に先立って、NASAに「宇宙からも投票できるようにして欲しい」と問題を提起した後、1997年以来、米国の宇宙飛行士は宇宙から1票を投じることができました。
その間、彼はロシアの宇宙ステーション「ミール」に搭乗していました。
1年後「宇宙に浮かんでいる間に投票する」ためのシステムが整備されました。
これは打ち上げ前に地球上で始まり、宇宙から暗号化された電子投票用紙を提出することで完了する約1年にわたるプロセスです。
モーガン氏によると、ローレンス郡は、自分だけが知っている特別なパスコードを使用して記入できる投票用紙をメールで送ってきたとのことです。
他国もそれに続いています。
6月、ロシアの宇宙飛行士アナトリー・イヴァニシンが衛星軌道から投票しました。
同じくイワン・ヴァグネル飛行士は、オンライン投票を駆使して、2036年まで権力を維持することを目的としてウラジーミル・プーチン大統領が提案した憲法改正に加担した後、地球に戻りました。
トランプ氏は、郵送による投票は「壊滅的」である可能性が高いと述べていますが、これが他国の現実です。
欧州宇宙機関に属する宇宙飛行士のトーマス・ペスケは、国際宇宙ステーションでの任務中に、2017年に次のフランスの指導者に投票するために代理人を使用しました。
宇宙飛行士のような特殊な立場にある有権者は、本人に代わって同僚に投票させることが許されたからです。
「それは重要です。投票する必要があると思います」とペスケ飛行士は当時、フランスのメディアに語ったことがありました。
「自分の義務を果たさなければ、政治的結果について不平を言ったり、不満を言ったりすることはできません」
他の国際宇宙ステーションのパートナーであるカナダと日本は、宇宙飛行士が宇宙から投票したことはないようです。
これらの国々の宇宙飛行士はロシアや米国のように継続的に存在しているわけではありません。
モーガン氏によると、政治や時事問題は、国際宇宙ステーションで任務にあたる仲間たちとの頻繁な会話のトピックだったそうです。
地上250マイル上空からは惑星は非常に異なって見えますが、結局は地球の政治の重力からは逃れることはできないようです。
「私たちは、政治的な境界や国境のない地球を見下ろす特別な視点を得ることができます」
「だからこそ私たちは、私たち全員を結びつけているものについて考えます」とモーガン氏は言いました。
「私たちは、このパンデミックのようなものや、気候変動のようなものが、私たちがそれらの政治的境界線をどこに描くかに関わりなく、私たち全員に等しく影響を与えていると考えています」
The Washington Post