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アメリカで感染者が再び急増、危機的状況へ。

by 黒岩留衣
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モグラ叩きのステージへ、ようこそ!

 

アメリカにおける新型コロナウイルスの感染数が再び急増しています。

アメリカはここ1ヶ月ほど各地で大規模なデモが発生し、社会的距離の要請も無視されがちだったため、こうした傾向には意外性は感じません。

それより各州の知事たちが民主党系と共和党系で対応に鮮明な差が見られることの方に懸念を感じます。

各種の報道をまとめてみました。

 

6月25日のCNNのライブアップデートの報告によれば、全米50州のうち13州で1週間あたりの新規感染者増加率が前週比で50パーセント増を超える『黙示録的』な状況にあり、17州が10〜50未満の大幅な増加を報告しています。

ほぼ変化なしと報告した州が9州、減少傾向にあるのはニューヨーク州など早期に悲惨な状況下にあった11の州だけです。

 

各州の政府はかねてより連邦政府に強いリーダーシップを求める発言を繰り返してきましたが、トランプ大統領はこうした要請に距離を置き、むしろ新型コロナ感染者数が増えているアリゾナ州とオクラホマ州で大規模な選挙集会を開き、この数日で2度も政府の感染防止ガイドラインを無視しました。

 

そのため市民の健康を守る仕事はほぼ地方自治体任せとなり、感染防止策に足並みの乱れが生じています。

この傾向は民主党系の知事の州と共和党系の知事の州とで、対応が大きく異なり、政治的な色彩を帯びているためなおさらです。

フィル・マーフィー知事:ニュージャージー州

例えば、ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの3州(いずれも民主党系の知事)は24日、『新型コロナウイルスの感染率が高い8州から訪れる人に14日間の自主隔離を義務付ける』と共同で発表しました。

 

このうちニュージャージー州のフィル・マーフィ知事(民主党)は「我々(東部3州)は地獄を見た」とコメントし、「これ以上の惨劇はまっぴら御免だ」と述べました。

ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ知事は、州全体で24時間あたり996人の「パンデミック開始以来最低の数」の新規感染者を報告しました。

クオモ知事は『経済の早すぎる開放を指示した他のすべての政治家』に対し『政治的動機によって人々の生命を危険に晒してはならない』と批判しました。

 

 

ロン・デサンティス知事:フロリダ州

これに対し、総感染者数が10万人を超え、次の感染拡大の中心地になるのではと懸念されているフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は、公共の場でのマスク着用義務化に消極的な姿勢を示し「人は強制されると逆に反発したくなるものだ」との見解を示しました。

海軍将校出身で弁護士でもあるデサンティス知事は、しばしば過激な発言をすることで知られた人物です。

今年3月、ニューヨーク州ほか東部3州で感染拡大した当時、東部3州からの訪問者に14日間の隔離を要請したことがあったので、まさに『攻守ところを替えた』攻防というところでしょうか。

 

ところが、同じフロリダ州のマイアミ市ではフランシス・スアレス市長(彼は3月初旬に自らも感染した経験がある)が22日「たとえ屋外であってもマスクの着用を義務化する」と発表。

同じくフロリダ州のパームビーチ郡も郡委員会が満場一致で『マスク着用義務』を支持。

同じ州なのに自治体と州政府の見解が対立するという、まさにカオスな状況になっています。

 

(追記:速報でフロリダ州は経済活動再開のプロセスの一部を一時停止すると発表がありました)

 

グレッグ・アボット州知事:テキサス州

24日、全米での1日あたりの新規感染者数が3万8千人を突破、このうち2日連続で過去最悪を更新したテキサス州では、グレッグ・アボット知事(共和党)が『経済活動の再開を一時停止する』と発表しました。

同州は、本来ならば大人を受け入れないはずの小児科専用病院に大人を担ぎ込まざるを得ないほどの『黙示録的』状況になり、アボット知事は『緊急性のない手術』を行わないようにする知事令を発令しました。

これにより、サンアントニオ、ダラス、ヒューストン、オースティンの4大都市の病院で選択可能な手術はすべて延期されます。

 

アボット知事はトランプ大統領に近しい人物で、本来は経済再開に積極的な立場であり、来月4日までには全ての制限を完全撤廃すると公言していましたが、25日、記者会見で「州として、過去に逆戻りして経済活動を閉鎖することだけは避けたい」と述べ、経済再開のための次のステージ移行のための段階的緩和処置を一時中断する『苦渋の決断』を下した経緯を説明しました。

「このウイルスを封じ込めるため、私はすべてのテキサス人に、定期的に手を洗って、マスクを着用し、社会的距離を空けることによって拡大を抑える手助けをするよう要請します」とアボット知事は声明を発表しました。

 

テキサス州でも最も深刻な状況下にあるヒューストンでは、ICUのベットの占有率が97パーセントを突破。

ヒューストンのシルベスター・ターナー市長は声明で「これは紛れもない事実です。極めて深刻な現実です」と語り、州政府の『バーまたはレストランの強制閉鎖、または収容人数の大幅な低減』に関する決定を『支持する』と述べました。

さらにターナー市長は、州政府の決定に従わないバーやレストランは、市が管理するソーシャルメディアに店名を掲示することも考慮していると付け加えました。

 

 

現在、少なくとも11の州が再開計画を一時停止または後退復帰(ロールバック)しています。

これらの州は、早い段階で制限措置の解除に踏み切っており、この日の感染拡大抑制策の再導入は経済活動再開へ向けた取り組みの大きな後退を意味するかもしれません。

 

 

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