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コロナが後押しする日本アニメ

by 黒岩留衣
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日本式のアニメビデオ、別名ジャパニメーションは、長い間、米国や他の地域のファンにとってはニッチな好みであり、宮崎駿作品のようないくつかのアニメ映画が主流のヒット作品となっています。

現在、パンデミックがビデオコンテンツの需要を押し上げているため、アニメビジネスはますます熱くなっています。

NetflixやAmazon Primeなどのストリーミングサービスは、ドキュメンタリーから落ち着いたビデオまで、新鮮なコンテンツを求めて世界中を精査しています。

アニメはライブアクションコンテンツよりも有望です。

なぜならば、俳優や撮影スタッフがウイルスの伝染にさらされる危険がないからです。

 

最新のアニメヒット作品が日本で数億ドルを稼ぎ出したことで、業界のプレーヤーは、来年は米国のためにより多くの取引とより多くのコンテンツをもたらす可能性が高いと述べています。

Netflixのチーフアニメプロデューサーである櫻井大樹氏は「以前はアニメのカテゴリーが世界中に広がっていると感じていましたが、最近はそれを超えた大きな飛躍が見られます」と述べています。

「世界のアニメファン層は急速に拡大しています」

 

Netflixは先月、東京を拠点とするアニメ制作企業で「ゴジラ」や「トランスフォーマー」のタイトルを含む16のプロジェクトが進行中であり、需要の高まりによって世界的な配信計画が進められていると述べました。

4年前に東京でアニメ制作を専門とするクリエイティブチームを雇ったNetflixは、2020年9月までの1年間に世界中の1億世帯以上が、ストリーミングサイトで少なくとも1本のアニメタイトルを視聴したと述べています。

これは前年比で50%増加したことを意味します。

 

アニメのタイトルは今年、ほぼ100カ国でトップ10リストに登場しました。

アマゾンプライムは豊富なアニメタイトルを備えています。

「ドラゴンボール」や「美少女戦士セーラームーン」などのアニメを手掛ける東映アニメーションの決算報告に着目すれば、業界の変化を垣間見ることができます。

 

4年前、海外からもたらされる収益は東映アニメーション全体の3分の1を占めていました。

海外収益部門は、今年3月に終了した前年度決算では全体の50パーセントを占めるまでに増加し、その収益額は2億4300万ドルに達しました。

米国のHuluなどのストリーミングサービスで「ドラゴンボール」が視聴可能になりました。

さらに半年後、今では海外売上高は全体の5分の3近くにまで増加しています。

 

6月に東映アニメーションの会長を辞任し、同社の顧問を務める森下孝三氏は、アニメーションコンテンツは「もはやディズニーだけのものではない」と語っています。

「我々はチャンスを逃すつもりはありません。」

日本アニメーション協会によると、アニメコンテンツに携わる日本企業の海外売上高は、6年前の約23億ドルから2018年には約100億ドルに増加し、業界全体の売上高のほぼ半分を占めています。

 

日本では毎年300作以上のテレビアニメの新しい番組が作られていますが、その多くは国外ではほとんど知られていません。

日本アニメを世界に届けるのは簡単ではないからです。

 

それは、世界中の視聴者にとって、日本のあいまいな文化的または歴史的背景のいくつかを理解することが難しいという理由だけではありません。

日本のアニメ番組は通常、映画やプロジェクトごとに臨時の制作委員会を形成する投資家のグループによって作成されます。

国際アニメ取引を交渉しているパラダイムシフトの村友人最高経営責任者(CEO)は、委員会のメンバーが誰であり、彼らがどのような役割を果たしているのかを知ることは、しばしば困難であると述べています。

 

人気のあるコンテンツの制作現場にいるクリエイター達は、英語を話せる人がほとんどおらず、また中小企業で働いている可能性が高いのが現状です。

「これは日本特有のシステムです」と村氏は語っています。

 

宮崎氏の映画や2016年のヒットファンタジー「君の名は」などの予算の大きいプロジェクトには、通常、テレビネットワークや出版社などの主要な投資家がいます。

それでも、投資家は国内市場から得られる利益に満足する傾向があり、コンテンツを海外に持ち出すことに全員が同意するのは難しいかもしれないと、コンサルティング会社フロンティアマネジメントのアナリストである福田宗一郎氏は述べています。

 

宮崎氏の制作会社であるスタジオジブリは、長い間、米国のストリーミングサービスで人気のヒット作品を提供し続けてきました。

今年、AT&T Incの傘下にあるWarner Mediaが所有するストリーミングサービスHBO Maxがそれらの提供を開始しました。

スタジオジブリは、これについてのコメントを控えています。

 

ソニーは、現在AT&Tが所有しているアニメ専門サービスであるCrunchyroll(クランチロール:主に日本のアニメ作品を扱っている)を買収してストリーミング事業に参入することを検討していると伝わっています。

アメリカでは同サービスの無料会員は2000万人を突破し、有料会員だけでも100万人以上が加入していると言われています。

Crunchyrollは発足当時は単なる動画共有サイトでしたが、日本でアニメ制作に定評のあるテレビ東京と提携したことがきっかけで次第に日本アニメの専門サービスと認識されるようになり、急速に認知されるようになりました。

 

日本のアニメ作品は、コロナ禍によって人々の外出が制限され家庭内で過ごす時間が増えたこと、あるいは感染拡大を危惧してドラマの格闘シーンやラブシーンの撮影が困難になったこと等と相まって、不足しているコンテンツを補充できる貴重な存在と見做されるようになっています。

 

ソニー傘下のアニプレックスが制作した作品は、少なくとも日本の人々にとって、現時点で最大のアニメヒットを記録しています。

刀を持った少年を描いた映画「鬼滅の刃」は、日本で1か月足らずで2億ドル以上の収益を上げ、映画館はマスクをつけた観客で賑わっています。

映画「鬼滅の刃」は『デモンスレイヤー(—Kimetsu no Yaiba—)』というタイトルで来年初めに米国で上映される予定です。

 

The Wall Street Journal

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