アメリカがヒューストンにある中国領事館に閉鎖命令をだした数日後、今度は中国が成都にある米国領事館の閉鎖を命令した。
米国外務省の声明によると、在中米国外交官は金曜日の朝、中国政府が中国の南西部にある成都米領事館の許可を取り消すと通知され「すべての事業と活動を停止する」よう命じられたという。
ヒューストン事務所の閉鎖を命じたことにより「米国が一方的に事件を引き起こした」とし、中国当局は、米国は「国際法と国際関係の基本的規範に深刻に違反した」と批判した。
「中国と米国の間の現在の状況は、決して中国が望むものではなく、全責任は完全に米国にある」と外務省は言った。
「私たちは再び、米国に、二国間関係が正常に戻るために必要な条件を作成し、一連の誤った決定を直ちに取り消すよう要請します」
中国外務省の広報官である華春瑩氏は、この命令は「ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を要求した米国による一方的な挑発的行動に対する正当かつ必要不可欠な対応」であると述べた。
中国の四川省南西部の州都である成都は、チベット自治区を含む国土の広い範囲をカバーする、米国にとって重要な外交拠点である。
この領事館は重慶警察の「王立軍」が2012年に離党を企てた場所でもあり、その行動は一連のスキャンダルを引き起こし、共産党の最高幹部である「薄熙来」の失脚につながった。
中国アナリストで、かつての米国外交官でもあるジェームズ・グリーンは、ワシントンが最近チベットでの人権侵害について中国当局に制裁を課したことから「成都米国領事館を閉鎖することは一部(の中国高官)にとって『むしろ好都合』かもしれない」と語った。
大方のメディアや評論家たちは、中国が報復として在中米国領事館に閉鎖命令を出すとしたら、それは武漢ではないかと考えていた。
しかし、米国の外交官たちは、この武漢の領事館で過去数ヶ月間も働いておらず、コロナウイルスの大流行の初期に避難していた。
したがって事実上、中国の2つの米国領事館が間もなく活動を停止することを意味する。
他方、一部の当局者とFBIは、サンフランシスコにある中国領事館がビザ詐欺で告発された中国人科学者を匿っていると非難しており、同領事館が中国のアメリカにおける広範なスパイ活動の前哨基地であると主張している。
またドナルド・トランプ大統領は、更なる中国領事館の追加閉鎖を命令する可能性があることを示唆している。
貿易戦争、コロナウイルスの流行、香港と新疆での中国の人権侵害に対する批判のなか、中国と米国の外交関係はこの1年で著しく傷ついた。
米国務長官のマイク・ポンペオは木曜日、カリフォルニアのニクソン図書館でのスピーチで「真実は私たち米国の政策、そして他の自由主義国の政策が、中国の間違った経済思想を復活させた」と自戒し「それは中国共産党が、そうした恩恵を提供していた国際的な支援の手に噛み付いただけの結果しか生まなかった」と主張した。
米国における最高の外交官は、つい最近までヨーロッパを歴訪し、同盟各国の政府の意思と力を結集して、北京とのより厳しい対決姿勢を打ち出すよう促していた。
彼のこうした姿勢と発言は、ポンペイオ氏を『中国人にとって、世界で最も忌むべき人物』たらしめている。
中国外務省広報担当官である華春瑩氏は金曜日、ポンペオ氏を、反共産主義者として知られたダレス元国務長官(反共主義の積極的なスタンスを主張した冷戦時代の政治家)を引き合いにして「彼は21世紀のダレスを標榜し、グローバル化した世界で中国に対する新たな十字軍を発足させた」として非難した。
さらに彼女は「彼がしていることは、蟻が大樹を揺さぶろうとするのと同じくらい身の程知らずで無駄なことだ」と付け加えた。
華春瑩氏は「世界の真に平和を愛する人々に告げます」と述べ「彼(ポンペイオ氏)が世界にさらなる害悪を撒き散らすことを防ぐために、結束して前進するべき時が来た」と語り『世界は今こそ中国の旗の下に結集し、米国の横暴に立ち向かうべきだ』と呼びかけた。
(参照:CNN)