グーグルはインドで最も熱いテクノロジー企業と提携することで、新しいスマートフォンユーザーの獲得を目指しています。
それは、世界で2番目に人口の多い国で長い間市場を支配してきた中国企業を狼狽させるかもしれない可能性を秘めています。
シリコンバレーの巨人(Google)は先週、インドにおけるテクノロジーの巨人、Jio Platformsに45億ドルを投資すると発表しました。
その資金の一部は、インド市場向けにカスタマイズされた超安価なスマートフォンの開発に使用されるはずです。
この安価なデバイスは、グーグルとJioが、最初のスマートフォンをまだ所有していない5億人のインド人の一部を獲得するのに役立つだろうとされています。
調査会社の報告によると、グーグルとJioの同盟が、インドのインターネット市場における総売り上げの75%以上を占める中国ブランドを揺さぶる可能性があることが示唆されています。
Jioとグーグルの安価なエントリーモデルのスマートフォンは、インドの初めてのインターネットユーザーを獲得しようとする中国のスマートフォンメーカーにとっては『悪いニュース』になる可能性があります。
またJioブランドのスマートフォンは、インドにおける激しい反中国感情の高まりによって恩恵を受ける可能性も指摘されています。
インド政府は最近、中国とインドの軍隊間の致命的な国境衝突の後、TikTokと他の数十の中国のアプリを禁止し、多くのインド人は中国製品のボイコットを求めてきました。
インドのモバイルインターネット市場は急成長を続けており、現在ではおよそ4億5,000万人のインド人がすでにスマートフォンを持っています。
彼らは、コンテンツのストリーミング、ショッピング、交通機関の予約、食べ物の注文などをインターネットに頼っています。
しかし、残りの約5億人はまだそのようなデバイスを所有していません。
そして、グーグルとJioは彼らに安価なデバイスを提供したいと考えています。
「デジタル革命とデータ革命の恩恵を中国に奪われてはならない」とJioの親会社のリライアンスインダストリーズの最高経営責任者で、アジアで最も裕福な男と呼ばれるムケシュ・アンバニは述べました。
「ジオ社は地方部に非常に重点を置いている会社です。なぜなら、それが本当のインドだからです」
「インターネットを初めて体験し、その有用性を味わったことのないユーザーを新規に取り込むという大きな目標があります。」
インドの巨大な低層市場に到達するためには、両社はAndroidベースのOSを搭載したスマートフォンを50ドル未満で開発する必要があると述べています。
それを達成するのは難しいのかもしれません。
現在インドのスマートフォン市場には、70ドルから100ドルで販売されるスマートフォンならたくさんあります。
中国のXiaomiは市場の40%でそのカテゴリーをリードし、続いてSamsungが17%、レルムが11%で続いています。
そして、50ドルの価格であっても、ほとんどの田舎のインド人にとっては高額な商品です。
しかし、もしJioとグーグルが、そうした低価格モデルの商品を提供できて、そしてそれらのユーザーがアップグレードのためにそれらに固執するようになるなら、それは中国のスマートフォンメーカーにとって大きな損失になるかもしれません。
インドの外交政策のシンクタンクであるゲートウェイハウスは、2025年までにインドのスマートフォンユーザーは、現在のおよそ2倍の9億人に達すると予想しています。
これはインド国民の所得水準が上昇し、スマートフォンが相対的に安くなるためです。
超安価なスマートフォンを販売しても、そこから大金を稼ぐことは難しいでしょう。
グーグルにとって「それはお金の問題ではなく、ユーザーのプロファイリングの問題だ」といいます。
グーグルの親会社であるAlphabetの収益の大部分は広告が占めており、昨年の1,620億ドルの売り上げの80%以上を占めているからです。
一方、Jioは、適切な時期にインドのテクノロジーリーダーとして浮上することが出来ます。
現在インドにおいては反中国感情、あるいはナショナリズム感情が高まっています。
調査会社カナリーズは先週、インドのスマートフォン販売が前年同期と比べて50%以上急落したと報告しました。
この落ち込みは主に、店舗の閉鎖とコロナウイルスのパンデミックによる経済的打撃によって引き起こされましたが、中国のスマートフォンの急激な販売の落ち込みは「単にコロナウイルスだけの問題ではない」と指摘されています。
カナリーズのアナリスト、アドウェイト・マルディカー氏は、報告書に「中国に対する国民の激しい怒りと拒否反応があった」と記しています。
「現在、中国のスマートフォンベンダーは『国民の厳しい視線』という名の『嵐の中』に居る」と彼は述べています。
彼はまた「Jioのような自社開発の代替案を提供しうる企業の存在は、インドの民族主義的ムーヴメントを加速させるだろう」と付け加えました。
わずか4か月で、JioはFacebook、Google、サウジアラビアの公共投資基金、およびその他の一流投資家から200億ドルを超える資金を調達しました。
Jioは『すべてのインド人の手にスマートデバイスを』という国家プロジェクトを加速させることを期待されています。
シンクタンク・ゲートウェイハウスによると、そうした民族主義的動きは、近い将来、インドにおける約30のユニコーン企業の半分を支配し、2015年以来、インドのハイテク企業に約40億ドルを注ぎ込んでいる中国の投資家に打撃を与え、あるいは追い出す可能性さえあるとのことです。
(参照:CNN business)