Home 時事ニュース 三峡ダムに対する消えない疑念「それだけの価値があったのか?」

三峡ダムに対する消えない疑念「それだけの価値があったのか?」

by 黒岩留衣
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三峡ダムはこれまでに建設された最大の水力発電プロジェクトである。

 

1994年に建設が始まったとき、それは中国の飛躍的な経済成長を推進するために発電を担うのみならず、中国で最も長い川を飼いならし、数百万の人々を致命的な洪水から守り、あるいは中国の技術力の象徴として、国家の威信を賭けて着工された。

しかし、どうやらそれはうまくいっていないようである。

 

プロジェクト全体の費用は2000億元(286億ドル)であり、建設に20年近くかかり、長江沿いの100万人以上の人を移転させる必要があった。

移転を強いられた住人たちには十分な保証も与えられず、貧困が広がり、一帯の治安が悪化するという負の側面もあった。

また、政府はダムが「1世紀に1度の大洪水」からすぐ下流域のコミュニティを保護できると豪語したが、その有効性はしばしば疑問視されてきた。

長江流域が6月以来、およそ60年ぶりの非常に激しい平均降雨量を記録する時、長江とその多くの支流が氾濫する原因となったので、これらの疑問は最近、再び浮上しはじめた。

 

氾濫は既に158人以上が死亡または行方不明になり、367万人の住民が避難し、5480万人が影響を受け、1440億元(205億ドル)の経済的損失をもたらした。

大混乱と呼ぶに十分であるにもかかわらず、中国当局は、三峡ダムが洪水を遮断することにおいて「決定的な役割を果たす」ことに『成功した』と主張している。

ダムの運営者である中国長江三峡集団(China Three Gorges Corporation)は、ダムが潜在的な洪水をもたらすかもしれない182億立方メートルの水を遮断したと中国の国営新華社通信に語った。

水資源省当局者は国営新聞チャイナ・ユース・デイリーに、ダムは長江の中流と下流で「水位上昇の速度と範囲を効果的に減らした」のだと報道させた。

しかし、今年の夏に、河川流量を監視する複数の観測所で、記録的な高水位が見られるため、洪水制御における三峡ダムの限られた役割が明らかにされていないという地質学者もいる。

 

 

三峡ダムは畏敬の念を起こさせるほどに巨大な構造物である。

NASAによれば、それは宇宙から肉眼で見える地球上で数少ない人工構造物の1つとされている。

2006年に完成したダムの本体は巨大であり、堤頂長は181メートル(607フィート)で、長江を横切ること実に2,335メートル(1.45マイル)にもわたって広がっている。

またダムには付随する水力発電所があり、2012年に完成し、22,500メガワットの発電能力を誇っている。

これは米国最大のグランドクーリーダムの3倍以上の発電能力があることになる。

 

しかし、中国政府の1992年の提案によれば、ダムを建設する最大の理由は発電ではなく、洪水を防ぐためであった。

巨大なダムは揚子江の上流部にあり、巨大な貯水池に雨水を閉じ込め、水門からのその水の放出を制御することで、下流の洪水を防ぐ。

最大幅660キロ(410マイル)の巨大な貯水池は、三峡の狭い谷間を上流に向かって曲がりくねり、その印象的な美しさと、かつては危険な水流域で知られた一連の険しい峡谷は、3,050万人が居住する中国西部の都市、重慶まで続いている。

 

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10月から5月の乾季の間、貯水池の水位は最大175メートル(574フィート)に維持され、隣接する水力発電所での発電を最適化する。

6月に雨季が始まる前に、水位を次第に145メートル(475フィート)まで下げ、流入する洪水に対応できるようにする。

水位の低下により、220億立方メートルの余剰スペースを作成するわけである。

これは、オリンピックの公式水泳プールの約900万倍の水を収容するのに十分なスペースである。

 

しかし、中国の地質学者であり、ダムを長年批判してきたファン・シャオ氏は、降雨量の多い悪質な年にダムに流入する水の量と比較しても、それは『なんの役にも立たない』と語った。


ファン氏の計算によると「1世紀に1度の大洪水」が起こった場合、2440億立方メートル以上の水(死海の水量の約2倍)が2か月で三峡に流れ込むという。

これが事実なら、ダムの貯水池の貯蔵容量は、最大予想降水量の約9%しか処理できないということになる。

「それは小さなカップを使って大きな水槽を処理するようなものです。洪水調節の観点からは、ダムのコストが確実に利益を上回っています」とファン氏は指摘する。

 

先月、すでに3つの洪水が三峡を襲った。

6月下旬以降、ダムは水門を複数回開いて貯水池から水を放出しており、中国のソーシャルメディアでは、これが下流域の洪水を悪化させたとの批判が出ている。

ダムを運営している中国長江三峡集団はこれを否定し、国営タブロイド紙、グローバルタイムズ紙に、下流に到達する洪水を遅らせ、逸らすのに役立ったと報道させた。

しかし、江西省にある鄱陽湖(ポヤン湖)は、史上最高の水位にまで達し、1998年に3,000人を超える死者を出す壊滅的な大洪水が示した過去の記録を上回っている。

 

アラバマ大学の地理学の名誉教授であるデービッド・シャンクマン博士は、記録的な水位は三峡ダムが深刻な洪水を防げなかったことを明確に示していると語った。

「それは疑いようのない事実である」と彼は述べた。

問題はダムの設計にあるのではなく、世界でも3番目に巨大な大河をダム一つで制御できると考えたこと自体が間違いである」

「それが如何に巨大なダムであろうと、とうてい不可能だ」

 

さらに問題はそれだけに止まらない。

たとえばこの夏、中国中部と南部を襲った洪水の多くは、大河の中流から下流に降った大雨が原因であり、つまり水はダムを通過していない。

この場合、そもそも役に立つ道理がないのである。

 

中国人は何千年もの間、洪水制御のために水路を操作してきた。

中華帝国の統治者にとって、大河を制御する能力は人命を救い、繁栄をもたらしただけでなく、皇帝の統治に正当性を与え、逆に自然災害の発生は皇帝が天から授かった統治能力を失ったことの印として受け止められた。

巨大な大河の水を制御するというこの野心は、技術の進化と共に現代の支配者にも受け継がれている。

言うなれば三峡ダムは、近代中国の父とも呼ばれる孫文や、その後継者だった蒋介石らが夢想して果たせなかった悲願を、現在の支配者が達成したことを誇示するモニュメントでもある。

それだけに中国共産党の指導者は『たとえ、どれほど冷酷な現実を突きつけられたとしても』ダムが失敗だったとは認めることは出来ないだろう。

 

(参照:CNN Style

 


 

中国で、あるユーザーがツイッターを使って2枚の写真をアップしました。

それは三峡ダムが完成した当時の写真と、今現在の様子を人工衛星から撮影した写真を比較するための資料でした。

その2枚の写真の形状は一致しておらず、つまり三峡ダムの本体が下流方向に向かって歪んでいるように見えたのでした。

この投稿はWEIBOと呼ばれる中国のSNSを介して広がりましたが、当局は五毛と呼ばれるネット集団を駆使してこれを否定し、逆に投稿者に誹謗中傷を加えていると言われています。

似ていると思いませんか?

コロナウイルスがこの国で発生した初期の出来事に。

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