台湾は、66機の新しいアメリカ製F-16戦闘機を数年で受け取ります。
発表は、米国国防総省のウェブサイトの最新の更新セクションで行われました。
米空軍は、F-16の製造元であるロッキードマーティン社と、合計90機の戦闘機を米国国外への販売の一環として発注契約しているとのことです。
購入の顧客は明記されていませんでしたが、米国国務省筋によれば、1年前にトランプ政権によって承認された台湾からの注文が契約の一部であることを確認しました。
他の24機はモロッコに行く予定です。
最終納品は2026年までに行われる予定です。
『F-16V』または『Viper』として知られる最新型F-16戦闘機は、サウスカロライナ州グリーンビルとテキサス州フォートワースのロッキードマーティン社の工場で製造されます。
これらは、1970年代後半に米空軍で最初に飛行した単発機の最新のアップグレードモデルになります。
これらはすでに台湾が所有する140機の飛行艦隊に新たに加わることになります。
契約が昨年正式に承認されたとき、民主党の議長と下院外交委員会の主要な共和党議員を含む、米国議会からの超党派の強い支持によって歓迎されました。
「F-16の台湾への売却は、インド太平洋地域における安全保障と民主主義への米国の取り組みについて強いメッセージを送るでしょう」とニューヨーク州選出の民主党議員エリオット・エンゲルとテキサス州選出の共和党議員マイケル・マッコールは共同声明で述べました。
1年前、その発表は約2,400万人の民主主義自治政府である台湾をめぐって、アメリカと中国との間で緊張が高まっている時期に起こり、今では事態はさらに悪化しており、アレックス・アザール米国保健福祉長官は、その指導者との会談のために台湾を訪れました。
アザール長官は、過去40年間で台湾を訪問した最高位の米国当局者でした。
北京はそれに素早く反応して、戦闘機を台湾海峡の中央点、台湾と中国本土を隔てている水域を通過させることで非難しました。
台湾と米国政府の報告によると、中国の戦闘機が意図的にその線を横切ったのは1999年以来3回目であるとのことです。
そして土曜日、中国国営のタブロイド紙・グローバルタイムズはF-16の販売を痛烈に批判する社説を発表しました。
「取引は昨年トランプ政権によって承認され、遅かれ早かれ正式な署名が行われると予想されていたが、この特定の時期でのその発表は、米国のさらなる愚劣な挑発行動であり、台湾問題の『レッドライン』へ、さらに一歩踏み込んだ行為であると考えられる」とグローバルタイムズは述べています。
「レッドライン」とは、中国からの独立を求める台湾の動きを意味するものと考えられています。
しかし、元米国国防総省の役人であり、シンガポール国立大学リー・クワンユー公共政策大学院のドリュー・トンプソン氏は、ロッキード・マーティン社が、台湾が希望する仕様にカスタマイズされた戦闘機を作るため、特定のコンポーネントを入手するべく下請け業者を選定する必要があっただけであり、金曜日の発表は挑発的なものというよりはむしろ手続き的なものであると述べました。
「それは車を買うことに少し似ています。これは台湾が望んだ追加装備を入手するためのものでした」とトンプソン氏はコメントしました。
オーストラリアの軍事アナリストであり、グリフィスアジア研究所のピーター・レイトン氏は、F-16の売却は、少なくとも軍事的な観点からは、台湾の状況を安定させることに一定の役割を果たす可能性があると語りました。
レイトン氏は「この売却は、台湾空軍(正式にはROCAF:中華民国空軍)と中国空軍(正式にはPLAAF:中国人民解放軍空軍)のドッグファイトバランスを広く維持するように機能するでしょう」と語りました。
「中国空軍は台湾空軍よりもはるかに多くの戦闘機を持っていますが、仮に紛争が起こった場合では台湾空軍が防御し、中国空軍が攻撃します」
「役割の違いと台湾空軍が独自の飛行場で運用されることを考慮した場合、数の違いは補われるでしょう」 と彼は言いました。
「つまり、追加のF-16の配備は2030年代初頭の軍事バランスを維持し、且つその範囲に留まるだけです」とレイトン氏は語りました。
一方で、2019年5月に発表された米国防総省の報告によれば、台湾の防空能力は、中国の軍隊の近代化への継続的な取り組みによって次第に侵食されていると警告しています。
しかしそれ以来、トランプ政権は、エイブラムス主力戦車、スティンガー対空ミサイル、そして今年の初めに新しい魚雷を含む、台湾への武器販売を強化してきました。
その後、台湾中央通信社によると、先月に米国国務省は、パトリオット地対空ミサイルを推定コスト6億2,000万ドルでアップグレードするという台湾政府の要望を承認しました。
レイトン氏は「パトリオットとF16Vは、中国と対立することなく台湾の防空をサポートするために、とても相性の良いコンビネーションです」と述べました。
トンプソン氏はまた、最新鋭F-16戦闘機は、戦闘に最初に直面する可能性が高い台湾空軍のパイロットにとって、士気を高めるものになるだろうとも語りました。
彼は、これらの戦闘機は、対船ミサイル攻撃、敵のレーダー基地の撤去、空対空ドッグファイトなど、幅広い役割で機能することができると述べました。
「これは非常に有能な航空機です。小さくて機敏で、操縦性も抜群です。多くのパイロットに愛されています」とトンプソンは言いました。
また、ステルス戦闘機ではありませんが、F-16の以前のバージョンよりもレーダー断面積が小さいため、狙いを定めることが難しくなります。
トンプソン氏によると、売却の最終決定によって、北京が台北に不穏を抱く可能性は低くなるだろうとのことです。
一方で、意外な盲点も指摘されています。
ロンドンの国際戦略研究所の中国防衛政策の研究員であるメイア・ノーウェンズ氏は「台湾は、今後少なくとも107人のパイロットを追加で採用する必要があります」と指摘しています。
「台湾は過去9年間で、F-16のパイロットを21人しか増やしていません」と彼女は言いました。
彼女はまた「これからの数年間は、台湾は優れたパイロットの育成と強化に注力する必要があるでしょう」と付け加えました。
(参照:CNN)
ところで、このレポートには何か重要な要素が欠けていると思いませんか?
ご存知のように中国は空母を所有しており、その存在は台湾にとっての対空防衛戦略に大きな変数を加えます。
台湾は空母に対するカウンター兵器を所有しておらず、一般的に空母の天敵は攻撃潜水艦です。
ところが米国は原子力潜水艦にシフトして久しく、通常動力型の潜水艦の製造ノウハウを事実上失っています。
台湾は海洋国家ですが、海洋覇権国家ではなく、原子力潜水艦はいささか手に余る兵器です。
どこかに通常動力型潜水艦の製造ノウハウを所有しており、且つ十分な信頼性を持ちうる先端技術を持った友国があればいいのですが…
おっと、失礼しました。
これは独り言です。