中国が開発した新型コロナウイルス感染症予防ワクチン候補を巡り、アラブ首長国連邦(UAE)は中国以外で初めてその緊急使用を認めました。
中国政府は既に国内でワクチン3種の緊急使用を承認しており、国有製薬大手の中国医薬集団(シノファーム)によるワクチン候補2種もこれに含まれています。
シノファームによると、これまでに医療関係者や国有企業の従業員、中国人ジャーナリストなど数十万人が、同社の開発したワクチンの予防接種を受けたと発表しています。
臨床試験の最終段階にあるワクチンは世界に9種ありますが、そのうち4種は中国企業が開発しています。
シノファームは7月、自社のワクチン候補の少なくとも1種の試験をUAEで開始しました。
同社の会長は当時、およそ3カ月以内の臨床試験完了を目指すと述べていました。
UAEは早くから中国によるワクチンの第3相臨床試験の開始を支援した国の一つです。
こうした試験は現在、ブラジル、モロッコ、アルゼンチン、パキスタン、ロシアなど十数カ国で行われています。
UAEは他の湾岸諸国と同様に、ここ数年で中国との関係を急速に深めています。
原油供給の見返りとして技術の提供を求め、石油依存からの脱却と経済多角化を進めようとする意図があります。
一方、米国は自国の技術が同盟国から中国へ流出することを恐れ、湾岸諸国に対して対中関係に慎重になるよう警告しています。
UAE外務省の報道官は14日、最前線で働く医療関係者にシノファームのワクチンを投与することを政府が承認したとツイート。
国内の第3相臨床試験は成功していると述べました。
中国疾病対策センターは同日、第3相臨床試験が「極めて順調」に進んでおり、早ければ11月にも中国の一般市民向けにワクチン接種を開始できると発表しました。
WSJ