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タスマニア島で座礁したクジラ380頭余りが死亡

by 黒岩留衣
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懸命の救助活動にもかかわらず、オーストラリアでは、過去1週間で500頭近くのクジラが浅瀬に座礁し、そのうち約380頭が死亡しました。

これまでのところ、レスキュー隊は、オーストラリア南部のタスマニア島西部の浜辺や浅瀬から約50頭のゴンドウクジラを解放することができました。

 

月曜日、最初の数百頭のゴンドウクジラの群れが発見され、一部は苦しんでおり、多くは既に死んでいました。

火曜日にはさらに6マイル離れた場所でも群れが発見されました。

水曜日現在、30頭余りのゴンドウクジラはまだ生きていますが、浅瀬に閉じ込められているため、生存の可能性は急速に減少しています。

 

 

レスキュー隊と専門家は、解放されたゴンドウクジラの一部が、強い引き潮によって夜間に浅瀬に再び戻り、再び身動きが取れなくなる可能性があると警告しました。

またゴンドウクジラは強い『社会的絆』を有していることで知られており、それが逆に救助活​​動に課題をもたらす傾向があるとニュージーランドのマッセイ大学の海洋生物学研究者であるカレン・ストッキン氏は語りました。

 

「これらの動物は常にコミュニケーションを取っています」と彼女は言いました。

「それは苦痛を訴える緊急コールのようなものです。したがって、一部のゴンドウクジラが首尾よく、より深い水域に到達した場合でも、苦痛を訴える仲間の叫びに反応して、踵を返して戻ってしまうことは珍しいことではありません」

 

その結果、救助者は生き残る可能性の高い個体から優先順位を付ける必要があるかもしれません。

しかし、潜在的に内臓を損傷している可能性があるために、その決定を下すことは難しい場合があります。

オーストラリア当局は「生きている動物がいる限り」救助活動は継続すると述べました。

 

「私たちは安楽死を検討している段階ではありません」と生物学者のクリス・カーライオン博士はオーストラリア放送協会に語りました。

カーライオン博士は、救われた50頭のクジラについて、25頭は水曜日に救助され、残りは前日までに、より深い海に移動したと語っています。

同氏はまた、座礁の後に解放されたクジラの群れが「再編成され、通常の自然な行動を示した」ことを確認したとも述べました。

しかし彼は、この出来事が「それらの動物にとって非常に深刻なストレスをもたらすことは間違いない」とも述べました。

 

 

タスマニア島沖の今週の寒さは、座礁したゴンドウクジラがすぐに過熱する危険がなかったため、南半球の日差しから長く生き残ったことを意味しました。

しかし、寒さのために救助活動も同様に妨げられたと当局者は述べました。

オーストラリア野生動物保護局のタスマニア地域の責任者ニック・デカ氏は「海の中で救助活動を行うレスキュー隊は、彼らの安全を確認するために常に監視されており、彼らの中で低体温症に陥った者はいない」と語りました。

 

ロイター通信によると、救助の試みごとに約5人が必要であり、網を使って動物を浅瀬から引き上げて、より深い水位に導く必要があります。

ゴンドウクジラは約20フィート程度まで成長できます。

大人の体重は数トンにも達するため、座礁すると解放するのが難しく、死亡すると体を動かすことさえ難しくなります。

 

ストッキン氏は、その体重が原因で一部の座礁した動物は「臓器不全に至るまで」圧迫されて死に至ることが多いと語りました。

他のケースでは、断熱された皮膚が太陽にさらされ、水で冷却できないために体温が上昇し、衰弱死することもあるとも述べています。

 

 

1996年には、西オーストラリアで同様の大量座礁により約320頭のゴンドウクジラが死亡しました。

2017年、ニュージーランドでは、史上最悪の大量座礁の1つが見られ、600頭のクジラが浜に打ち上げられました。

彼らのうち約400頭が死亡しました。

死骸の多くは、離れた砂丘に埋葬されました。

 

オーストラリア当局は、死骸の腐敗が進むと内臓内でガスが発生し、時には破裂する場合もあり、傍観者に脅威を与える可能性もあるため、彼らの死骸を埋葬することを検討する可能性があります。

またホオジロザメを含む大型のサメがクジラの死骸を頻繁に捕食することが知られています。

デカ氏は「死骸に群がる大型のサメが、水中の人間に対する潜在的なリスクを高める危険性があります」と述べています。

彼は生き残った動物たちを救出するための時間は限られていると語りました。

 

ゴンドウクジラは大きな集団として移動するため、大量に座礁しやすくなります。

タスマニア島を含むいくつかの地域には、そのような悲しい事件の長い歴史があります。

 

クジラが座礁する理由は不明のままです。

研究者たちは、浅い沿岸水域への獲物(主にイカ)の追跡など、多くの行動要因が原因となる可能性が考えられると語りました。

ストッキン氏は、研究者がクジラたちがタスマニア島で立ち往生した理由を正確に特定できる可能性は低いだろうと述べています。

 


以下の記事を参照しました。

380 pilot whales dead in one of the worst mass strandings in Australia’s history : The Washington Post

About 380 pilot whales dead after mass stranding on Tasmania’s West Coast, 50 saved : ABC (オーストラリア放送協会)


英文では「パイロットクジラ」と表記されていますが、パイロットクジラとは「ゴンドウクジラ属」のことなので本文ではゴンドウクジラと訳しました。

この種のクジラやイルカは仲間意識が強く、病気や怪我で衰弱し、方向感覚を失った仲間がいると、他の仲間がそれを助けようとして集まってしまうと言う話を聞いたことがあります。

なんか切ないですね、助かって欲しいと思います。

 

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