中国当局が新疆地域にあるモスク(イスラム教の礼拝所)の3分の2を破壊していることが、新たな報告書で明らかになりました。
何百万人ものウイグル人イスラム教徒を標的とする強制的な同化政策の実態が浮き彫りとなりました。
オーストラリア戦略政策研究所が25日に公表した報告書によれば、新疆地区にあるモスクの3分の1弱にあたる約8500カ所が2017年以降に解体されたことが衛星画像で確認されたとのことです。
さらに7500カ所に破壊の跡があるとしています。
イスラム教にとっての聖地である聖堂や墓地、巡礼ルートなども撤去、破壊、あるいは改造されたことが明らかになったとのことです。
オーストラリア戦略政策研究所は24日にも別の報告書を発表しており、同じく衛星画像を主要情報源とする同報告書によると、17年以降、強制収容施設とみられる構造物380カ所余りが新たに建築、もしくは増設されていたこともわかりました。
そのうち少なくとも61カ所は19年以降に増設され、うち十数カ所は今なお建設が進められています。
人権団体や欧米各国政府によると、新疆当局は100万人超のウイグル人や、カザフ人を各地の収容所に拘束していると言われています。
中国政府はこれを職業訓練所と呼んでいます。
中国外務省はこの日、新疆には約2万4000のモスクがあり、新疆の人口1人当たりのイスラム教徒数は多くのイスラム教国よりも多いとの主張を繰り返しています。
中国はあらゆる人種的少数者の人権と宗教的権利を完全に保護しているとし、オーストラリア戦略政策研究所は「中傷と風説」を流布していると非難しました。
中国政府は過去、オーストラリア戦略政策研究所は中国に関する嘘の報告をでっちあげているとの非難を繰り返して来ました。
オーストラリアと米国の両政府も出資しているオーストラリア戦略政策研究所の研究者たちは、こうした批判を退け、自らの主張を裏付ける証拠を示しています。
The Wall Street Journal