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台湾が差し伸べるオリーブの枝、振り払う中国

by 黒岩留衣
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台湾海峡で緊張が高まる中、中国は台湾政府からの対話の申し出に対して、戦争をシミュレートする大規模な軍事演習を示す新しい映像を公開し、更にスパイ容疑で中国に逮捕されている台湾の実業家の『自白』映像を報道するという強硬な対応に出ました。

 

中国中央電視台(CCTV)による土曜日と日曜日の報道の二連撃は、台湾の蔡英文総統が、平和的共存を模索するための会談を開催したいとの発言をした同じ週末、北京からの軍事行動も辞さないという、ますます強硬なメッセージと受け止められています。

10月10日の中華民国(台湾)の建国記念日に、蔡英文総統は台湾の首都でスピーチを行い、中国政府に対し、その好戦的な姿勢を変え「台湾海峡両岸の和解と平和的な対話を共同で促進する」ことを求めました。

 

台湾の蔡英文総統

 

中国側はすぐさま蔡英文総統の差し出したオリーブの枝を振り払い、この申し出を却下しました。

蔡英文総統の演説の数時間後、CCTVは、水陸両用揚陸艇、攻撃ヘリコプター、地対地ミサイルを中心とする中国南東海岸沖の「多次元的」攻撃訓練の最新の2分30秒のビデオとレポートを放送しました。

 

この動画は最近の中国の宣伝ビデオの中では最も広範で、刺激的な音楽とクイックカットを特徴としており、蔡英文総統の率いる民主進歩党(DPP:民進党)が、台湾を中国の一部と見なす公式な外交姿勢を認識しなかった場合、独立を目指す行動をとった場合、またはその軍事的および外交的支援者である米国との関係を深めた場合、中国軍が台湾を攻撃する可能性があることを警告しています。

 

北京の台湾事務局の朱鳳蓮報道官は土曜日、対立を煽っているのは北京ではなく蔡英文総統であると述べました。

彼女は「両岸の緊張の根本的な原因は、外国勢力と結託し、一つの中国の原則を認めることを拒否する民進党の指導部にある」と述べています。

 

中国は、かつて中華帝国によって支配されていた領土を回復するために、台湾を本土と「再統一」しなければならない分離した州と見なしています。

しかし、内戦後の1949年に中国本土で政権を握ったにもかかわらず、中国共産党は台湾を統治した事実がありません。

民主的な台湾の市民は、北京との緊密な連合に反対票を投じています。

 

消息不明になっていた台湾人ビジネスマンの李孟居氏(右)

 

8月、台湾人ビジネスマンの李孟居氏は香港に隣接する広東省深圳の競技場で、人民武装警察部隊が訓練している様子を違法に撮影したとして国家安全危害容疑で拘束されました。

日曜日の遅く、CCTVは国家保安当局が数百件の『台湾のスパイ』に関する事件を取り締まったと宣伝する番組を放送しました。

そこには囚人服姿の李孟居氏が、中国の国家安全保障を危険にさらし、香港と台湾の独立運動を支持する活動に関わった罪を『自白』し、謝罪する映像が映し出されていました。

 

月曜日、台湾は怒りをもって反応し、中国政府は李孟居氏に「自白を強要し、公開懺悔を強制した」と述べ「これは通常の法的手続きに完全に適合しない」と非難しました。

中国政府は、政治犯らに自白を強要し、彼らを政治的『人質』として利用しているとして人権団体や米国、英国、カナダ、オーストラリアなどの外国政府から繰り返し批判を受けています。

 

過去数週間の台湾当局者は、トランプ政権からの主要な武器購入を確保するために2人の米国高官の訪問を受け入れた後、中国との緊張を和らげるための措置を模索しているようです。

先月、台湾の呉外務大臣は「台湾はワシントンとの正式な外交関係の確立を目指したわけではない」と語りました。

 

中国共産党の機関紙『人民日報』の系列紙である環球時報の胡錫進編集長は、中国のソーシャルメディアで、中国国民は蔡英文総統の『善人顔したジェスチャー』に『断じて騙されてはならない』と警告を発しました。

 

彼は「継続的な軍の関与こそが、両岸の平和と安定に対する唯一の答えである」と述べています。

 

 

(参照:The Washington Post


先月末、台湾の国防部は「中国から台湾を守ろうとする我々の決意を過少評価してはならない」という声明を発表したことがありました。

一方で、懸念すべき報道も幾つか伝わっており、台湾は深刻な予算不足から兵器のメンテナンスが十分ではなく、いざという時に実際に稼働できる兵器は意外と少ないとも言われています。

また、台湾は米国からF16戦闘機を66機購入することを発表しましたが、これを運用するパイロットが足りていません。

米中の緊張が高まっている中、台湾はこうしたソフトウエアを急ぎ拡充させる必要に迫られていると言えます。

 

管理者 黒岩留衣

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