アメリカ人が次の4年間の大統領を選ぶための投票がいよいよ始まります。
そして世界中がそれを注意深く見守っています。
特にヨーロッパの同盟国や、ロシア・中国・イランのような仮想敵国は、大統領選挙の勝者が誰であるかによって非常に異なる外交政策を模索しなければなりません。
米国の有権者がこの国の大統領に誰を選ぶかの選択は、同盟国、仮想敵国、貿易相手国、あるいは国と国とを結びつける国際条約や国際機関のネットワークにとって常に重要な問題であり続けます。
ただし、今回は非常に大きなリスクがあります。
「これは新しい世界観を左右する画期的な瞬間です」と元欧州連合の米国大使であるデビッド・オサリバンは言いました。
「アメリカは自国の感性と世界におけるその立ち位置について、2つの非常に異なるビジョンの間の選択に直面しています」と彼はコメントしています。
過去4年間、トランプ大統領は、米国の外交政策を何十年にもわたって導いてきた原則を覆し、時にはアメリカの最も近しい同盟国の一部を怒らせ、あるいはナーバスにさせてきた世界情勢への個人主導的アプローチを好みました。
彼は、パリ協定やイラン核合意を含む多国間協定から米国を撤回させ、いくつかの貿易戦争を開始しました。
彼は合衆国への合法的な移民を制限し、国に許可された難民の数を厳しく減らしました。
彼は北朝鮮、ロシア、あるいはトルコの指導者たちに惜しみない称賛を表明しました。
トランプ政権下で、世界の中の米国のイメージは悪化しました。
ピュー研究所による最近の世論調査では、英国、カナダ、日本では、調査が20年近く前に始まって以来、米国に対する好意的な見方を表明する人々の割合が最低点にまで低下していることがわかりました。
トランプは、彼が第2期目を勝ち取ろうとしているときに、世界が注目していることを知っています。
「中国は私を望んでいる、イランは私を望んでいる、ドイツは私を望んでいる、彼らは皆私を望んでいる」と彼は土曜日のキャンペーン集会で発言しました。
「でも、一番私を望んでいるのは、ここにいる皆さんですよね?」
ジョー・バイデンが戦いに勝利した場合、選挙は米国の政策にとって決定的な分岐点となるでしょう。
バイデン新政権は、中国、イラン、ロシア、イスラエル、カナダ、メキシコなどの国々に対して異なるアプローチを採用するでしょう。
それはまた、気候変動やコロナウイルスのパンデミックのような共通の課題に取り組むための世界的なネットワークへのアメリカの参加を新たにするでしょう。
バイデンは、外交の基本をより伝統的な戦略に戻すことを約束しました。
彼は新大統領として、彼の最初になすべき行動の1つは「各国の国家元首と電話に出て『アメリカは帰ってきた!』と言うことだろう」と述べています。
バイデン新大統領が誕生した場合、ロシアにさらに制裁を加える可能性があることを恐れ、月曜日にルーブルが対米ドルレートで80ルーブルの心理的障壁を突破した後、トランプの勝利に対するロシアの希望はクレムリンのメディアの解説者によって反映されました。
親クレムリン派による選挙報道の主要なテーマは『アメリカの民主主義が破綻し、選挙後の暴力、紛争、あるいは内戦の危機にさえ直面している』という内容でした。
ロシアの国営テレビVestiは、ホワイトハウスの周辺にフェンスを建設することに焦点を当て、トランプ大統領が選挙後の夜を「塹壕で」過ごす可能性が高いと報道しました。
エフゲニー・キセリョフは、日曜日にロシア国営テレビの政治番組で、バイデンを「ゴッドファーザー」と呼びました。
彼は、状況は「末期的」であり、ワシントンの権力闘争は、もはやいかなる原理原則にも従わないだろうと述べました。
トランプがほとんどの国で極めて人気がないヨーロッパでは、市民と指導者が固唾を飲んで見守っています。
欧州の多くの人々は、トランプが再選された場合、米国がNATOに対する関与を弱め、あるいは撤退し、これによって集団安全保障体制の改革の必要性に迫られ、ヨーロッパ全体を揺るがす規模の安全保障革命に引きずり込まれる可能性があることを懸念しています。
「アメリカでは憎しみが政治へと繋がる道を見出したように思えます」とドイツ議会の外交委員長ノルベルト・レットゲンはツイートしました。
「もはや彼の国に中庸はなく、極端な対立だけが存在しています」
世論調査によれば、バイデン新政権が最も望まれていることが示されている英国では、ロンドン市長のサディク・カーンが民主党候補への支持を表明しました。
「BLM運動から気候変動問題に至るまで、世界中の人々がより良い未来のために戦う姿を見てきました。アメリカなしではその戦いに勝つことはできません。ミスターバイデン 、頑張ってください。私たちはあなたを応援しています」と彼はツイートしました。
トランプ政権の中国との全面的な対立によって過去2年間に大きく揺さぶられたアジア太平洋地域では、より慎重なムードが漂っていました。
中国では、米国の大統領選挙に関連するトピックがWeiboで30億回視聴されました。
多くの影響力のある中国のアナリストは、バイデンの勝利はより可能性が高く、歓迎されうる外交的休息の到来を告げる可能性があると述べています。
しかし、米中の長期的な見通しについて憂鬱する声も同じくらいあります。
「バイデン政権が誕生した場合、少なくとも高レベルの対話を再開できることを願っています」と中国政府の元顧問であるディン・イファンは述べました。
「アメリカは自殺行動によって自分自身を台無しにしてきました」
「バイデンは中国と競争するだけでなく、他方では協力することも望んでいます」
「それが私たちの関係を再構築する方法です」
「世界で最も強力な国の民主主義体制が軌道から外れる様を眺めるのは決して良いことではありません」
「実際にはひどいことです」と彼は述べました。
中国のコメンテーターはチャイナデイリーのビデオインタビューで「中国にとっての最大の政治的利益の1つは、4年ごとに米国の政治的混乱に揺さぶられないようにすることです」と付け加えました。
The Washington Post