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ファイザーのワクチン「画期的な兆候」

by 黒岩留衣
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日曜日に開催された独立データ監視委員会による中間分析によると、製薬大手ファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業バイオエヌテックによって開発された実験的コロナウイルスワクチンは、プラセボ(偽薬:生理食塩水)ショットと比較して、90%以上も効果的でした。

 

現在進行中の臨床試験の初期調査は、米国で臨床試験の最終段階(第三フェーズ)に到達している4つのコロナウイルスワクチンの中の1つの実際の性能が『決定的であること』を示唆していました。

パンデミックを終わらせるためのワクチンを開発するという過去に前例のない研究が成功し、すべての科学的スピード記録を破る可能性が示されたことは、これまでで最も強力な歓迎されるべきシグナルです。

 

「それは歴史的な瞬間だと思います。このようなことがこれまでに起こったことはありません」

「まず第一に、世界はそのようなひどい状況、パンデミックに直面し、通常は何年もかかることを非常に短い時間で経験しました」とファイザーのワクチン研究開発の責任者であるカトリン・ジャンセン博士はインタビューで述べています。

「中間分析で90%以上の効果があると聞いて、本当に驚きました」

 

ファイザーの44,000人のボランティアによる臨床試験では、コロナウイルスによって引き起こされた病気であるcovid-19に新規に感染したとの報告が94例発生しています。

これらの症例のうち、ワクチンを2回接種した人の感染例は9例未満でした。

同社の株式は、市場前取引で13%以上急上昇しました。

データはまだ公開もピアレビューもされていません。

 

国立アレルギー感染症研究所の所長であるアンソニー・ファウチ博士は「結果は非常に良好です。他の言葉で表現するならば、並外れています」と述べ、他のバイオテクノロジー企業であるモデルナ社と、その研究所が開発しているワクチンの成功の前兆となる可能性もあると付け加えました。

なぜならば、両社は同様の技術を使用しており、2つのワクチンの成功があるかもしれないという希望が広がっています。

ファウチ博士は、ファイザーの最高経営責任者アルバート・ブーラと結果について話し合いましが、まだ個々のデータを検討するには至っていないと述べました。

秋から冬へとつながる涼しい時期にコロナウイルス感染が急増したことは、国に壊滅的な打撃を与える一方で、企業の幹部が予想したよりも早く試験が完了する可能性も意味しています。

感染者数が急増することでウイルスにさらされる人が増えると、ワクチンのテストがより簡単に、そしてより速くなるからです。

 

ワクチン開発の競争は大統領選挙年の政治と密接に結びついており、外部の専門家は、ファイザーのワクチンが規制プロセスを時期尚早に押し進めた「オクトーバーサプライズ」に利用されるのではないかと何ヶ月も心配していました。

結局、データは選挙のほぼ1週間後、そしてレースが次期大統領のジョー・バイデンに軍配を上げた直後に到着しました。

 

ワクチンについて尋ねるためにブーラ氏に電話をかけ、過去にワクチン承認を遅らせたとして「政治的思惑」と呼んで規制当局を非難したこともあるトランプ大統領は、そのニュースを祝福しました。

「株式市場は大きく動き、ワクチンは間もなく登場します。しかも90%もの効果を報告します。 素晴らしいニュースです!」 トランプは月曜日の朝にツイートした。

 

データ委員会は、重大な安全上の懸念はないと述べました。

ジャンセン博士は、ワクチンの副作用は以前の研究で報告されたものと類似していると述べました。

これには、注射部位の痛み、倦怠感、悪寒、発熱が含まれます。

これらは、65歳以上の高齢成人よりも若い試験参加者でより頻繁に発生しました。

 

ファイザーとバイオエヌテックは、11月の第3週以降に食品医薬品局から緊急承認の申請書を提出する予定であると述べました。

臨床試験は当初に設計されたcovid-19の164件のエンドポイントに達するまで続きます。

ジャンセン博士によれば、それは数週間かかる可能性があると言われています。

 

ワクチンの開発には通常、何年も、場合によっては数十年かかります。

しかし、コロナウイルスワクチンはウイルスへの対応において極めて稀なサクセスストーリーであり、新しいワクチン技術の繁栄、新たな病原体に関する過去の研究のバックボーン、そしてワクチン開発の世界ではめったに存在しない理由のために前進することが出来ました。

それはワクチン開発が成功することを確実にするために、政府も企業も、ほぼ無制限のリソースを費やすことをいとわないという不退転の覚悟でした。

 

外部の専門家は、以下のような要件でデータの重要な詳細を調査する必要があると述べました。

 

ワクチンは、高齢者などのリスクの高い集団でどのように機能したか?

病気の副作用の症状はほとんど軽度であったか?

ワクチンは重度の病気も予防しえたか?

有効性はこの高いレベルを維持できるか?

抗体による保護はどのくらい続くか?

フィラデルフィア小児病院のワクチン教育センターの所長であるポール・A・オフィット博士は、データは非常に有望であると述べました。

治験の94例への予想よりも速い進展は「制御不能で感染力の高いウイルスを持つことの数少ない利点」であると彼は述べました。

 

エモリー大学ロリンズ公衆衛生大学院の医療統計学者であるデビッド・ベンケサー博士は、電子メールで、まだニュースを消化している段階だと述べました。

「それは信じられないほど有望な結果のようです」とベンケサー博士は書いています。

残る2つの最大の課題は効果がどれくらい続くか?、そしてワクチンがcovid-19の重症化例を防ぐのにどれだけうまく作用するか?です。

「どちらも決定的な答えを得るにはさらに多くのデータが必要ですが、今のところ、これは本当に良いニュースだと思います」

 

規制当局は、ワクチンの最低限の性能について、はるかに低い基準を設定しており、少なくとも50パーセント以上の有効性を要求していました。

FDAはまた、プラセボ群におけるこの病気の5つの重篤な症例の要件も定めていますが、ヤンセン博士は、試験の完全性を維持するために、ファイザーに属する科学者は現時点で症例の詳細を知らされていないと述べました。

 

ワクチンは3週間間隔で2回接種する必要があります。

ファイザーとバイオエヌテックは、年末までに5,000万回、つまり2500万人が2回の接種を受けるのに十分な線量を、また2021年には13億回の線量を期待して、24時間体制で生産を拡大しています。

 

このワクチンは、承認された医療製品にこれまで導入されたことのない新しい技術を使用しています。

各注射には、メッセンジャーRNAと呼ばれる遺伝物質の破片を取り囲む脂質ナノ粒子(脂肪の泡)が含まれています。

それらが人の腕に注入された後、脂質ナノ粒子のカプセルは、その運搬物質を体の細胞に送達し、送られたメッセンジャーRNAはそれらの細胞にスパイクタンパク質を構築するように指示し、コロナウイルスを認識してこれを阻止する方法を免疫系に効果的に伝授します。

 

ファイザーの初期の好意的シグナルは、メッセンジャーRNAだけでなく、スパイクタンパク質を提示​​するワクチン候補が成功しうる概念実証として、大きな励みになるとファウチ博士は述べました。

 

ファイザーは、競合他社とは異なり、企業に連邦資金を提供し、ワクチン開発を支援することにより、経済的リスクを排除することを目的とした政府のワープスピード計画に参加しませんでした。

代わりに、ファイザーはプロジェクトに20億ドルの自己資金を投入し、ワクチンの有効性を条件として、米国政府と1億5000万ドルの契約を結びました。

 

繰り返しになるかもしれませんが、ファイザーの第三フェーズ臨床試験は当初に設計されたようにcovid-19の164件のエンドポイントに達するまで続きます。

これは同社の臨床試験に参加した、健康で、過去にcovid-19に感染したことのない44,000人のボランティアのうち、164人が感染するまで続けられるということを意味しています。

 

独立データ監視委員会が日曜日に会合した時、臨床試験には94件の感染例がありました。

つまり、研究は半分以上完了しているということです。

 

 

これは発展途上の物語です。

追加の情報が得られた場合、更新される可能性があります。


Pfizer’s coronavirus vaccine is more than 90 percent effective in first analysis, company reports

The Washington Post

月曜日の夕方、私の携帯電話にメールの到着音が鳴りました。

それは世界が切実に必要としていた福音の予兆になるかもしれないニュースの到着音でした。

「ようやくここまできたのか」というのが率直な感想でした。

パンデミック対策に追われて、顔面蒼白になって奔走していた国々の当局者もホッと一息つく余裕が生まれるかもしれません。

 

一方で、ワクチンを製造している製薬他社にとっては高いハードルが出来たことになるかもしれません。

90パーセントの効果率が事実であれば、どうしてもその水準が基本線になるだろうと思うからです。

それでも世界が切望していたワクチンであると同時に、経済にとってはカンフル剤でもあることは明らかです。

 

管理者 黒岩留衣

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