アメリカ政府の支援策により、現在3つの新型コロナウイルスのワクチン開発チームが、今後3ヶ月の大規模な臨床試験に臨む予定です。
アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長であるアンソニー・ファウチ博士のコメントによれば「計画は少しも傷付いてはいない」とのことです。
それは早ければ来年早々にも少なくとも1億本以上のワクチンが用意される可能性が高いことを意味します。
それではワクチンが開発され、それが誰でもが手軽に摂取できるような安価な価格で提供されれば、アメリカは集団免疫を獲得し、コロナウイルス感染拡大の驚異から開放されるのでしょうか?
答えはNO。
そう簡単にはいかない意外な事情があるようです。
2019年にアメリカの大学のチームがFacebookの書き込みを対象に行った調査によると、ワクチン否定派はワクチン肯定派より数こそ少ないものの、他者に対してより積極的にアプローチし、ワクチン賛成派が予防接種の公衆衛生上の利点にのみフォーカスした主張の発信に終始する一方、ワクチン反対派はワクチンやその他の確立された医療に対して「安全性への懸念」「個人の選択の自由」「陰謀論」など、実に様々な視点から主張を展開しているそうです。
そのため、ワクチンの功罪について中立的な立場にある人々により強い影響を与える傾向にあり、2019年の麻疹の大流行の際には、ワクチン否定派の数が、実に3倍以上に増えたという報告もあります。
(参照:ニューズウィーク)
以前、世界的なテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチがワクチン接種について否定的な姿勢を示したことで、他の複数のプレーヤーを巻き込んだ論争を引き起こしたのは記憶に新しいところです。
米フィラデルフィア小児病院のポール・オフィット医師は「親が様々な理由から子供に対するワクチン接種を躊躇し、疑問を持つのは当然のことだ」と理解を示した一方で「もし懸念を抱いているのなら、ソーシャルメディアではなく医者に相談してほしい」と述べました。
(参照:ケアネット)