Home 時事ニュース アメリカには反ワクチン派が3割以上いるらしい

アメリカには反ワクチン派が3割以上いるらしい

by 黒岩留衣
81 views

アメリカ政府の支援策により、現在3つの新型コロナウイルスのワクチン開発チームが、今後3ヶ月の大規模な臨床試験に臨む予定です。

アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長であるアンソニー・ファウチ博士のコメントによれば「計画は少しも傷付いてはいない」とのことです。

それは早ければ来年早々にも少なくとも1億本以上のワクチンが用意される可能性が高いことを意味します。

 

それではワクチンが開発され、それが誰でもが手軽に摂取できるような安価な価格で提供されれば、アメリカは集団免疫を獲得し、コロナウイルス感染拡大の驚異から開放されるのでしょうか?

答えはNO。

そう簡単にはいかない意外な事情があるようです。

 

国立アレルギー・感染症研究所の局長、ファウチ博士は「人類がこれまで開発してきたワクチンの中で、最高の効果を発揮した例は97〜98%の麻疹です」と語った。

「私たちがそこにたどり着けたら、それは確かに素晴らしいでしょう」「ですが、残念ながら私はそうは思いません。せいぜい 70〜75%程度有効なワクチンで落ち着くでしょう」

 

一方、CNNが先月に行った世論調査の結果によれば、アメリカ人の約3分の1が、ワクチンが広く入手可能で、且つ低価格であっても、Covid-19に対するワクチン接種を試みないと回答したことが明らかになりました。

この調査結果を受けてCNNは、ファウチ博士に『アメリカの総人口の3分の2だけが服用した70%から75%程度の効能のワクチンが、コロナウイルスに対する集団免疫を提供するか?』と尋ねました。

ファウチ博士は「いいえ、それはありそうもない」と答えました。

 

『集団免疫』とは、総人口のうちの十分な割合の人々が「病気に感染し、後にこれを克服した場合」または「ワクチンを接種した場合」のいずれかによって、感染症に対して免疫性を有しており、そのため人から人へと感染が広がる可能性が低い状況をいいます。

 

ファウチ博士は「この国の一部の人々の間には、一般的な反科学、反権威、反ワクチンの感情があり、それは相対的に見れば、驚くほど多くの人がいるのです」と述べた。

ワクチンを摂取することを忌み嫌う人々があまりにも多いことを考慮した時、我々は『やるべきことがたくさんある』ことに気づかされます。

「それは容易ではないでしょう」と彼は語り「簡単だと思う人は現実に直面していないといえます。それは非常に難しいでしょう」と述べた。

 

ファウチ博士は、そうしたアンチ・ワクチン主義の人々に対する『教育プログラム』を準備すべきだと訴えます。

「例えば地域を代表するスポーツ選手や、コミュニティのヒーロー、彼らが尊敬する人物に協力を求める必要があるかもしれません」

 

しかし、そのようなプログラムが実施されているという兆候はありません。

ファウチ博士は、各州の知事や各自治体の首長らが、市民に対する正しい情報に基づく呼びかけが不足しているようだと応えました。

「各地の指導者たちがそれを正しく行なっていれば、地域の住民たちは彼らに従う行動を取るでしょう」

「そうでなければ、従いません」

 

ファウチ博士は、今試されているのは各地の政治家たちの指導力とコミュニケーション力だと言います。

「各地の政治家や指導者たちが、住民たちから信頼されていなければ、この感染症の拡大にピリオドを打つことは難しいでしょう」

 

(参照:CNN health

 

2019年にアメリカの大学のチームがFacebookの書き込みを対象に行った調査によると、ワクチン否定派はワクチン肯定派より数こそ少ないものの、他者に対してより積極的にアプローチし、ワクチン賛成派が予防接種の公衆衛生上の利点にのみフォーカスした主張の発信に終始する一方、ワクチン反対派はワクチンやその他の確立された医療に対して「安全性への懸念」「個人の選択の自由」「陰謀論」など、実に様々な視点から主張を展開しているそうです。

そのため、ワクチンの功罪について中立的な立場にある人々により強い影響を与える傾向にあり、2019年の麻疹の大流行の際には、ワクチン否定派の数が、実に3倍以上に増えたという報告もあります。

(参照:ニューズウィーク

 

以前、世界的なテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチがワクチン接種について否定的な姿勢を示したことで、他の複数のプレーヤーを巻き込んだ論争を引き起こしたのは記憶に新しいところです。

米フィラデルフィア小児病院のポール・オフィット医師は「親が様々な理由から子供に対するワクチン接種を躊躇し、疑問を持つのは当然のことだ」と理解を示した一方で「もし懸念を抱いているのなら、ソーシャルメディアではなく医者に相談してほしい」と述べました。

(参照:ケアネット

 

PR

外信記事を日本語でお届けします