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WSJ:プロレスラーの方がまだしも大統領に相応しい

by 黒岩留衣
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エイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスとの討論のようなものを期待した人など誰もいなかったことでしょう。

しかし、だからと言ってワールド・レスリング・エンターテインメントの試合のようなものにする必要があったでしょうか。

いや、この言い方はレスラーに対して不当かも知れません。

彼らの方が、大統領選の第1回討論会におけるドナルド・トランプ大統領やジョー・バイデン候補よりも大統領にふさわしいという意味で言ったのです。

不当な発言はご容赦願いたいと思います。

 

討論会は、侮辱や頻繁な遮り、誇張によって支配されました。

現在の米国政治の「標準的な嘘」からも恥ずかしすぎて外れるような、あからさまな嘘のオンパレードでした。

恐らく数百万人の米国人が30分で見るのをやめてしまったのではないかと思います。

われわれも、これが仕事でなければ、やめていた事でしょう。

 

トランプ氏が力強さを見せつけ、バイデン氏をイライラさせたかったのは疑いの余地はありません。

トランプ氏はバイデン氏を繰り返し挑発することでタイムリーエラーを誘いたかったのだと思われます。

 

しかし、トランプ氏が頻繁に邪魔をしすぎたことで、バイデン氏はミスを犯す余裕さえありませんでした。

またトランプ氏は頻繁に話題を変えすぎたことで、バイデン氏が民主党の左派にコントロールされているという主張以外、何を言いたかったのかよくわかりませんでした。

司会者のクリス・ウォレス氏が実績を強調できる経済などの話題について尋ねたときでさえも、トランプ氏は主題から逸脱し、バイデン氏の攻撃に転じていたほどです。

 

そのバイデン氏も大して変わりがなく、同じくらい相手の発言を遮っていました。

また、人々を結束させたいと言う発言とは裏腹に、悪態を連発しました。

トランプ氏を「人種差別主義者」だの「愚か者」だのと呼び、遂には「少し静かにしてくれ」とまで口にしていました。

 

また、トランプ氏と同じくらいのペースで嘘を並べ立てていました。

特に目を引いたのが、既往症のせいで1億人が健康保険を失いかねないという主張です。

オバマ前政権は医療保険制度改革法(オバマケア)に移行する際、既往症者向けの特別基金を設立しましたが、その資金を受け取ったのはわずか数千人だけでした。

残念なことにトランプ氏にはバイデン氏に反論できるほどの知識はなかったわけです。

 

第1回候補者討論会に臨むトランプ大統領(右)とバイデン候補(左)

 

今回の失態に勝者はいません。

ただしバイデン氏は90分間、筋道立てて話をするという試験に首尾よく合格したと言えます。

それにはトランプ氏の働きも大きかったようです。

過去数カ月、トランプ氏はバイデン候補の認知能力に疑問を投げ掛けており、そのせいで期待値が低くなったからです。

 

一方のバイデン氏もトランプ氏の分断をあおる政治スタイルや新型コロナへの対応を一貫して批判しました。

ですが真実は少し違うようです。

 

バイデン氏はマスク着用義務化を除き、これと言ってトランプ氏と異なるウイルス対策を打ち出してはいません。

そのマスク着用義務化もその後、あまり口にしなくなりました。

バイデン氏が批判するのは主にトランプ氏の気質や自己中心主義であり、トランプ氏が発言を遮り「あなたの方がひどい」となじったことでその部分はより強調されました。

つまりは、トランプ氏は自身のパンデミック対策を実際より悪くみせることにまたもや成功したわけです。

 

大統領のパフォーマンスについてひいき目に説明すれば、他の現職大統領と同様、初回の討論会では自信過剰と準備不足が目立ったようです。

敢えて厳しい見方をすれば、議論が進むにつれて彼の頭は混乱し、冷静さと同時に、議論の論点さえも見失ったように見えました。

 

トランプ大統領は司会者のクリス・ウォレス氏から注意を受ける場面があった

 

トランプ氏は答えの中でやみくもに話題を変え、自らの政策の確たる根拠をほとんど示しませんでした。

バイデン氏が、トランプ氏は退役軍人を「まぬけ」や「負け犬」と呼んだと指摘すると、トランプ氏はそれを否定することを忘れ、彼の息子であるハンター・バイデン氏の話を持ち出して攻撃し始めました。

 

司会のウォレス氏は両者の口論をいさめる難しい役目でしたが、議論に頻繁に割って入ることはその助けにはならず、冗長な質問は議論の一方の側に肩入れする場面が多かったように見えます。

まるで同氏の日曜のインタビュー番組で、有権者に役立つ情報を引き出すべき場面なのにゲストをやり込める時のようでした。

 

2人の副大統領候補による来週の討論会は、もう少し良くなると期待したいものです。

もしかすると、どちらか一方が「大統領」らしい振る舞いを見せてくれるかもしれません。

 

 

The Wall Street Journal

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