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トランプ・バイデン両候補の外交政策の差異

by 黒岩留衣
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ジョー・バイデン候補は、ドナルド・トランプ大統領が米国を脱退させた、あるいは批判する国際機関や国際協定に再び関与すると繰り返し明言しています。

したがって、両氏の外交政策に対するアプローチの大きな違いがここに明確に表れているといえます。

そこで両候補の外交政策の違いを明らかに示すべく、管理者が各報道機関から拾い上げた記事をまとめてご紹介したいと思います。

米国の国際機関を巡るコミットメントの相違は、同盟国である日本の外交方針にも大きな影響を与えるはずです。

知っておいて損はありません。

それでは一応、簡単におさらいをしてみましょう。

 

国連人権理事会

トランプ大統領は国連人権理事会は「偽善的」であり、他の国々が米国とイスラエルなどの同盟国を攻撃するための場であるに過ぎないと非難し、2018年に脱退しました。

そもそも人権問題にまともに関与する気があるかさえも疑わしい独裁国家は、国際社会からの非難をかわすために人権理事会のメンバーになろうと躍起になっています。

人権理事会では今年、中国が国家安全維持法の制定によって香港の自治を損なう動きを見せた時、中国支持が不支持を大きく上回ったことがありました。

 

国連総会は先週、中国とロシア、キューバの3カ国を新たな人権理事会メンバーに選出しましたが、これを受けマイク・ポンペイオ国務長官は「脱退という米国の決断が正しかったことを一段と証明したにすぎない」と述べています。

これに対しバイデン候補は、自身が大統領に当選した場合、人権理事会に再びコミットメントする意向であることを示唆しています。

 

日本のマスコミは何かにつけて国連人権委員会の発言が、まるで『錦の御旗』であるかのように報道しますが、彼らは人権理事会の過半数の理事国が「およそ人権だの民主主義だのとはかけ離れた国家群」によって運営されている現実を報道することを嫌がっているようです。

これは知っておくべき現状だと思います。

 

WHO

バイデン氏が大統領選に勝利した場合、来夏までにWHOから離脱するというトランプ氏の計画を覆す可能性が高いと思われます。

米国は世界的に大流行している新型コロナウイルス対応の最前線にあるWHOの改革を求めており、日本やオーストラリア、ドイツなどの主要な同盟諸国も強い関心を示しています。

トランプ政権はコロナ感染を拡大させたとして中国を非難、WHOが中国の影響下にあると主張しています。

バイデン政権が誕生した場合、改革の進捗状況にかかわらず、WHOにとどまる可能性が高いと思われます。

またワクチンの配布を巡る国際協定にも当然に影響してくるであろうことを覚えておいてください。

 

TPP

バイデン氏は大統領に選ばれた場合、トランプ氏が離脱した一部の国際機関や国際協定で、米国がかつての地位に戻ることは困難だと感じる局面があるかもしれません。

トランプ氏はTPPが「ひどい協定だ」と発言し、米国にとっては二国間協定の方が有益だと述べています。

 

米国が抜けたTPPは、その後、日本の安倍前首相らの尽力により、多少修正された形で既に発効しています。

バイデン氏は同協定の再交渉に努めると述べていますが、日本など既に先行している他のパートナー国への一定の譲歩を巡って何らかの軋轢を生む可能性があるほか、米議会の間の根強い反対を克服する必要に迫られるでしょう。

 

パリ協定

パリ協定はTPPと比べ、米国にとって比較的再加盟しやすい案件だと思われます。

地球環境問題に関する危機感は、民主党・共和党のそれぞれの支持者間で大きな認識の差異はあるものの、大規模な山火事の発生や強力な台風による被害など、地球環境問題を巡る目に見える危機の続発により、米国人の間での危機意識自体はある程度共有できていると思うからです。

 

むしろ、より困難な課題は、同協定の下で中国やインドなどの環境後進国(失礼な言い方、ごめんなさい)に一段の関与を約束させることにあると思いますが、バイデン氏はそれを目指すと明言しています。

 

管理者は、過去にたびたび主張していますが、米国は地球環境問題、殊に温室効果ガスの排出に関して、過剰な政治的取引をして欲しくないと考えています。

中国などの国々は、小さな努力で大きな成果を挙げられる可能性がまだ残っていると思うからです。

彼らが国際社会に要求するであろう見返りは、成果の量ではなく、努力の量で測られるべきです。

 

イラン核合意

トランプ氏は2015年に多国間で結ばれたイラン核合意から離脱した時、同合意は効果がなく、より強硬な合意を目指す必要があると明言しました。

ですが、そのための協議は何ら始まっておらず、米国の主要同盟国である英仏独はイラン核合意にとどまったままです。

イラン核合意とは、イランが核開発を制限するのと引き換えに制裁を緩和するという内容の合意です。

 

バイデン氏はイランの核開発の野望を抑えるべく、イラン核合意に戻る意向であると述べています。

ですが、本来それはイランの態度次第であり、同国が当初の合意内容のコミットメントに戻る意志があるか無いかに大きく左右されるでしょう。

 

イラン核合意をオバマ氏が支持したことで、米国とイスラエルの関係は悪化しました。

イスラエルのネタニヤフ首相は同合意について、中東でのイランの悪影響を封じ込めることに失敗し、イランが合意前の核開発に戻ることを許したと非難したことがありました。

バイデン氏がイランとの国際的な合意に戻ろうとすれば、それがどのようなものであれ、米国の対イスラエル関係、あるいはイランと対立するサウジアラビアのような中東諸国との関係にも影響をあたえるであろうことを覚悟する必要があります。

 

以上、管理者の勝手な言い分でした。

ちなみに管理者はバイデン候補を支持しています。

理由は彼がトランプではないからです。

むしろ政策面ではトランプ氏に賛同する部分が少なからずありますが、彼の予測不可能で自由すぎる言動は、日本にとって望ましくない影響を与える可能性の方が大きいと判断しています。

 

管理者は中国の時代遅れの拡張主義に強い警戒心を抱いていますが、トランプ氏が信念を持って中国に立ち向かう気があるのか疑わしく思っています。

むしろ選挙が終わって彼が大統領職に留まれば、掌を返して習近平氏とハグするかもしれないとさえ思っています。

 

管理者 黒岩留衣

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