日曜日、トランプ大統領の「アメリカファースト」アプローチから4年後、アメリカの伝統的な同盟各国の指導者から、米国大統領選挙の勝者に対するお祝いのメッセージが波のように打ち寄せました。
第二次世界大戦終結から75年間は、軍事組織NATOに象徴されるように、米国と西ヨーロッパの間の強い結びつきによって特徴づけられてきましたが、トランプは繰り返し同盟国を非難し、彼らが十分な責任を負担していないと攻撃しました。
トランプ政権下でのナイフのような批判、予測不可能な行動、関税戦争に耐え抜いた米国の多くの伝統的な同盟国にとって、バイデンの勝利に寄せる想いは、パリ市長のアンヌ・イダルゴの短いツイートに的確に要約されているように思えます。
「お帰りなさい、アメリカ」
「おめでとう」の典型的なメッセージの他に、一部の世界の指導者の中には、多国間主義と協力関係への復帰の必要性を指摘する声もあります。
NATO同盟の長であるイェンス・ストルテンバーグは、バイデンが「北アメリカとヨーロッパ」の両方にとって「我々の同盟の強力な支持者」であることにすぐに気づきました。
彼の精神の波動は、欧州理事会議長であるシャルル・ミシェルにも反響し、欧州連合は「強力な大西洋横断パートナーシップに従事する準備ができています」と述べました。
2017年のNATOサミットでトランプに押しのけられたことで有名な小国モンテネグロの首相もバイデンを祝福し「民主主義の力と国際関係の安定の回復への信頼を取り戻す」選挙だったと述べました。
「米国とその同盟国が、気候変動、コロナウイルスのパンデミック、中国の台頭などの多くの共通課題に直面している中、志を同じくする国々は再び協力する必要がある」とドイツのハイコ・マース外相はコメントしました。
「チームプレイ、それが米国の強みです」と彼は強調しました。
「再び、西側のチームの一員としてプレーしてもらいたい。 これこそが、世界で私たちの信じる価値観を主張できる唯一の方法です」と彼は付け加えました。
トランプの国際機関に対する最も劇的な否定の1つは、世界中でパンデミックが猛威を振るっているにもかかわらず、彼が世界保健機関から撤退したことです。
バイデンは組織とそのリーダーの列に再び加わることを約束しました。
テドロス・アダノム・ゲブレイエス事務局長は日曜日、彼が我々と一緒に働くことを楽しみにしているとツイートしました。
多くのヨーロッパの主要紙の社説は、恥ずかしがることなく、存分に喜びを表現しました。
ロンドンのサンデータイムズは、トランプがバイデンに付けたニックネームに言及して「スリーピー・ジョーがアメリカを目覚めさせる」という見出しを付けました。
「アメリカが癒される時が来た」とサンデーテレグラフは語りました。
タブロイド紙のサンデーピープルは「神よ、アメリカに祝福あれ」と銘打ちました。
アイルランドのメディアは、バイデンのアイルランドのルーツに言及したいくつかの記事を掲載しました。
アイリッシュタイムズのウェブサイトで掲載された「バイデンのアイルランドにおけるルーツ」という投稿は、この国で最も多く読まれた記事の1つとなりました。
トランプとの緊密な関係で知られる指導者の何人かでさえ、温かいメッセージを送り、祝辞を述べました。
トランプと仲良くしていることで有名な英国のボリス・ジョンソン首相は、期待されたとおりの挨拶を送りましたが、保健相であるマット・ハンコックは、バイデンの「威厳あるリーダーシップ」を楽しみにしていると述べ、さらに一歩踏み込んだメッセージを捧げました。
一方で、他の場所ではまだ沈黙がありました。
トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は日曜日まで、バイデンに祝辞を述べる米国の同盟国の列にまだ参加していませんでした。
トランプの敗北はエルドアンにとっては打撃であると広く見られています。
エルドアンの権威主義的な衝動を資産と見做し、彼を「尊敬に値するタフな男」と呼んだ恐れを知らない友人を、トルコの指導者は失いました。
フアット・オクタイ副大統領はインタビューで、以前と同じような関係が続くだろうと短く述べただけでした。
発表から14時間以上経った今でも、この地域で最も重要な米国の同盟国の1つであるサウジアラビアからの沈黙が続いています。
事実上の統治者であるモハメッド・ビン・サルマン皇太子は、トランプ政権と個人的な関係を築き、トランプの義理の息子であるジャレッド・クシュナーとも親密な関係を築いています。
一方、先月にトルコのサウジアラビア領事館で惨殺されたワシントンポストのコラムニスト、ジャマル・カショギの死について、バイデンは説明責任と保守的な湾岸王国の人権改革を求めたことがありました。
イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフは、土曜日にバイデンに最高の願いを捧げる世界の指導者たちの宴のカスケードには参加せず、翌日まで「おめでとう」をツイートするのを我慢して待っていました。
「ジョー、私たちは40年近くもの間、長く温かい人間関係を築いてきました。あなたがイスラエルの親友であることを私は知っています」
同時に彼はすぐさま、イスラエルへ好意的な政策をとってくれたトランプ大統領のためにツイートしました
「@realDonaldTrump、イスラエルと私に示してくれた友情に感謝します」
ヨルダン川西岸におけるパレスチナの指導者たちは、イスラエルの右翼に奉仕するために米国の政策を転換させたとして非難してきたトランプに対するバイデンの勝利を歓迎しました。
「トランプ時代ほど悪い時代はありませんでした」と元パレスチナ当局者のナビル・シャアスはトルコのメディアとのインタビューで語りました。
「良い厄払いになるでしょう」
メキシコ大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、より多くの最終結果が出るまでコメントを拒否しました。
2年前に権力を握った左派のロペス・オブラドールは、移住やその他の問題の違いにもかかわらず、トランプと驚くほど温かい関係を築いてきました。
大統領は土曜日遅くに記者会見で「私たちは無礼者にはなりたくない」と語りました。
「トランプ大統領は私たちを非常に尊重しており、私たちは良い合意に達しました」と彼は言いました。
大統領は、すべての票が数えられる前に、2006年のメキシコ選挙でフェリペ・カルデロンを大統領として認めた世界の指導者たちに思いを馳せていました。
ロペス・オブラドールは「私は詐欺のためにその選挙に敗れた」と主張しました。
「それはとても無礼だった」と彼は当時の外国首脳の反応について語っています。
トランプは来年の1月20日(大統領就任式)まで在任し、その期間にこの国を助けたり傷つけたりする力を持っているため、メキシコの指導者も慎重だった可能性があります。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領は、日曜日の早朝のツイートでバイデンを祝福し「テロ対策とアフガニスタンに平和をもたらす」パートナーシップを「深める」ことを楽しみにしていると述べました。
バイデンは、彼がこの国でテロ対策のための軍事力を維持することを計画していると言いました。
トランプ大統領の就任以来、彼の十字架に縛り付けられているイランのハッサン・ロウハニ大統領は「次の米国政権は、過去の過ちを埋め合わせる機会を利用すべきだ」と述べています。
トランプは、いくつかのヨーロッパ諸国と中国を含むイランの核合意から離脱し、イランに重い制裁を課しました。
バイデンは「イランがそれに正しく準拠していることを示した場合」、彼は核合意に再び参加すると述べています。
イランのエスハーグ・ジャハンギリ副大統領は「米国の破壊的政策に変化が生じることを望んでいる」と述べ、そのニュースを密かに祝っている風変わりな男性のイラストをツイートしました。
北京は日曜日まで沈黙を守っていますが、バイデンは台湾の蔡英文総裁にはすぐに祝福されました。
蔡英文総裁はバイデンとハリスの二人について言及し「あなた方と一緒に仕事をしながら友情を深め、国際社会に貢献することを楽しみにしている」と述べました。
ロシアも選挙結果について沈黙を守っていますが、野党党首のアレクセイ・ナワルニー氏はバイデンとハリスを祝福し「ロシアと米国の新たなレベルの協力を望みます」と付け加えました。
‘Welcome back’: America’s allies celebrate Biden win and hope for a U.S. return to global politics
The Washington Post
AP通信の記事によれば、今回の大統領選で投じられた郵便投票も含めた期日前投票の総数は1億票を超えたそうです。
現時点で開票されている両陣営の得票総数を合計すると1億5千万票ですから、いかに凄まじい数が投じられたかわかります。
選挙のスタイルが変わってしまったと言っても過言ではないほどですが、反面、多くの課題も見えました。
特に教訓として思うのは「悪貨は良貨を駆逐する」ということです。
人は自分が信じたいと思うことを信じ、信じたくないことには目を背けます。
それが結局、アメリカの分断という大きな傷を残してしまいました。
溢れる情報を丁寧に精査することの大事さを改めて考えさせられました。
管理者 黒岩留衣