Home ニュース短信 欧州で僅かに改善の兆し

欧州で僅かに改善の兆し

by 黒岩留衣
201 views

木曜日、世界保健機関の指導部は、ヨーロッパにおけるコロナウイルスの第二波の痛みがが僅かに和らぎ始めている可能性があると述べました。

ですが、その犠牲者数は引き続き驚異的であり、欧州大陸では先週ウイルスで17秒ごとに死者が報告されました。

 

先週、新型コロナウイルスの7日間の新しい感染者数がヨーロッパ全体で180万件にまで減速しました。

慎重な評価は、前の週の200万件と比較して行われました。

ベルギー、フランス、チェコ共和国など、最も被害が大きかった国のいくつかは指数関数的に減少しましたが、ドイツやその他の国では、今ちょうど曲線が曲がり始めたばかりです。

 

しかし、病院は依然として満員であり、WHOに加盟する51か国のヨーロッパ地域全体で死亡者が増加しています。

WHOのヨーロッパ地域ディレクターであるハンス・クルーゲ氏は記者会見で「確かに良い兆候ではあるが、それほど素晴らしいニュースというわけでもない」と述べ、新しい診断の減少を「小さなシグナルだが、それでも良いシグナルだ」と述べました。

 

彼はこの減少傾向を、先月ヨーロッパの大部分に課された国家封鎖およびその他の制限に起因するものと考えました。

しかし、彼は、夏のように拙速に扉を開ければ、わずかな利益すら「すぐに消えてなくなる」可能性があると述べ、制限をあまり早く解除しないように各国に促しました。

「政策立案者や政治家が、厳しい制限から国民を少しでも早く解放したいという『もっともな意志』に従うあまり、規制緩和が早すぎたことによる悪影響を過去に何度も見てきました」と彼は言いました。

スイスの集中治療室はフル稼働している:ジュネーブ大学付属病院

 

WHOは、マスク着用を完全に受け入れることは社会的封鎖と同じくらい効果的であると引き続き信じていますが、ヨーロッパでのマスク着用率は依然として60パーセント未満のままであるともクルーゲ氏は述べています。

仮にウイルスの感染拡大が遅くなったとしても、依然として医療システムが危機的な状況にあることには変わりはありません。

 

「医療システムに関するレッドシグナルが点灯しています。たとえば、フランスでは、集中治療室の収容能力が10日間で95%以上も占有されたという報告があります」とクルーゲ氏は述べています。

スイスの集中治療室は完全にフル稼働していると彼は付け加えました。

 

先週、51か国のヨーロッパ地域で29,000人以上がウイルスで死亡し、前の週に比べて18%増加しました。

最も多い犠牲者はイタリアとフランスであり、先週の平均で1日あたり590人以上が死亡しました。

これらの国々よりも1日の死者数の合計が多いのは米国だけでした。

 

先週のヨーロッパでの人口比の死亡率は、米国よりも75%も高いままですが、米国における人口比の感染率は日曜日に欧州連合を上回りました。

それは、米国の死亡率がそれに続く可能性があることを示唆しているのかもしれません。

 

ヨーロッパでのウイルスの軌跡は、米国とは異なります。

ヨーロッパの春の閉鎖は米国よりも厳しく、欧州はウイルスを一度は完全に打ち負かしました。

しかし、その最初の成功は、指導者がすぐに社会を再開した結果、夏の間に接触追跡とテストが十分に行われなかった故に、只の自己満足につながりました。

 

現在、ヨーロッパの多くが再び閉鎖されており、ほとんどすべての国が事業を閉鎖し、人々に在宅勤務を求めているにもかかわらず、学校を開いたままにすることを優先しています。

これは、ニューヨーク市が木曜日から学校を閉鎖した米国とは対照的です。

米国では、屋内レストランとジムは開いたままですが、学校システムはまだ対面教育の再開には至っていません。

 

米国当局は来週の感謝祭のための大規模な集会を思いとどまらせようと説得していますが、ヨーロッパの指導者たちはすでにクリスマスについて警告しています。

「クリスマスでも、コロナウイルスはまだ存在しています」

「そして人々は、未だ予防接種を受けられる状況にはありません。依然として現状は危険なままです」とベルギーのアレクサンダー・デ・クルー首相は水曜日にベルギーの放送局にコメントしました。

「今年のクリスマスは今までと同じではありません」

 

木曜日、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は彼の市民に次のような言葉で警告しました。

「大規模なパーティー、キス、抱擁は不可能です。これは1月のカーブの急激な上昇を意味します」

 

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、バーやレストランの閉鎖、および新しい制限が月初めに施行された後、新規感染症例の数はもはや指数関数的には増加していないと述べました。

ドイツは木曜日に22,609人の新規症例を記録しましたが、1週間前の21,866人と比べると、その増加は僅かでした。

 

しかし、メルケル首相は依然として制限の継続を求めており、寒い時期にはウイルスがより「攻撃的」になり、厳しい冬になるだろうと述べています。

ドイツの保健当局は、新しい症例が頭打ちになったとしても、病院への圧力は依然として高いままであり、秋の感染急増が病棟を襲い、患者がしばしば数週間の長期治療を必要とするので、事態の改善までにはしばらくの遅れがあるだろうと警告しています。

集中治療を必要とする患者の数は、10月中旬の655人から水曜日の3,561人まで、この1か月で急増しました。

 

ドイツの公衆衛生研究所であるロベルトコッホ研究所の所長であるロタール・ハインツ・ウィーラー氏は、一部の病院が「限界に達し」患者が「最善かつ最適の治療が受けられなくなる恐れ」は依然としてあると述べています。

現在の安定傾向が続いたとしても、病院や保健当局に過度な負担がかからないレベルに達するには「もうしばらく」かかるだろうと彼は記者団に語りました。

 

The Washington Post

PR

外信記事を日本語でお届けします