土曜日、スコットランドのニコラ・スタージョン首相は、彼女が率いるスコットランド国民党(SNP)がスコットランド議会選挙で力強い結果を得たことを受け、スコットランド独立の是非を問う新たなる住民投票を進めることを約束しました。
ですが、それはボリス・ジョンソン首相との潜在的な衝突を引き起こすことになりました。
スタージョン氏は、すべての票が開票された後、彼女が率いるスコットランド国民党と独立派の同盟政党が合わせて129議席の過半数を占めたとコメントし、独立住民投票は「スコットランドの意志」であると宣言しました。
それは、2014年に実施された独立住民投票を再びやり直すべきという呼びかけを後押しすると同時に、根深い分裂の緊張の下で、イギリス政府の取り締まりにつながる可能性があります。
最終集計では、スタージョン氏の率いるSNPは64議席を獲得し、単独過半数をわずか1議席下回ったことが示されました。
しかし彼女は、同盟関係にある『緑の党』とともに、独立の是非を再び有権者に問うために、議会で全体的な支持があるだろうとコメントしました。
スタージョン氏は土曜日遅く「スコットランドの人々は、スコットランド議会で、独立推進派に過半数を与えるために投票しました」と、投票が集計中であったにもかかわらず述べました。
「その結果を踏まえれば、ボリス・ジョンソン首相や、あるいはスコットランドの人々が自らの未来を選ぶ権利を阻止しようとたくらむ人々に、民主的な正当化は全く認められません」と彼女は付け加えました。
スコットランドでは2014年、イギリスからの独立を問う住民投票で、55%対45%で残留派が上回り、イギリスに残ることが決定されました。
しかしその後、2016年の国民投票で、イギリスの欧州連合(EU)離脱が決まったことから、スタージョン氏は2度目の住民投票が必要だと主張していました。
スコットランドではEU残留派が多数を占めていました。
2019年には、総選挙でSNPが議席数を伸ばしたことを受け、スタージョン首相がスコットランド議会に住民投票を行う権限を譲るようイギリス政府に正式に要請したものの、ジョンソン首相がこれを拒否したという経緯があります。
一方、ジョンソン氏は、デイリーテレグラフ紙に対し「現在の状況での国民投票は無責任であり、且つ無謀だと思う」と述べ、2回目の独立投票の呼びかけを拒否することを明らかにしました。
エジンバラに本拠を置くシンクタンクである「リフォームスコットランド」の責任者であるクリス・ダーリン氏は以下のように指摘しています。
「仮にスタージョンが『私は選挙に勝った。私は2回目の国民投票を行う義務がある』と言えば、ジョンソンは『私はあなたに国民投票を与えない。あなたたちは(国民投票を実施するに値する)十分な勝利を得たとは思わない』と言うでしょう」
「では、止めようのない力が、動かない物体に衝突するとと、どうなるでしょう?」
「それは、とても厄介なことになるでしょう」と彼は言いました。
彼女は政治的同意に加えて、法的許可、そして何より国民投票それ自体を勝ち取らなければなりません。
昨年末の世論調査では、独立支持派への持続的なリードが示されましたが、それでもピークは58%でした。
そうした優位性もスタージョンの前任者であるアレックス・サモンドが関与したスキャンダルと、イギリスのワクチン開発の成功を受けて後退しました。
イギリスは今現在、この問題に関して、ほぼ均等に分裂しています。
SNPは、遅くとも2023年までに国民投票の実施を望んでいると述べていますが、世論調査では、ほとんどの人が今後数年間は国民投票の実施を望んでいないことも示されています。
つまり、多くのスコットランド人は、政治家たちが独立のために青と白の旗を振り始めるより先に、残忍なパンデミックの損失から経済を立て直すことを望んでいることが世論調査に示されているのです。
イギリス政府は、スコットランド政府が国民投票を行うためには、法的にイギリス議会からの許可を必要とすると述べています。
しかし、たとえSNPが、緑の党からの支援に頼らなければならない状況であったとしても、国民投票法を推進するのに十分な票を獲得している可能性があります。
多くのアナリストは、スコットランド政府がその訴訟を裁判所に持ち込むことを期待しており、そこで国民投票を実施する権限は、スコットランド議会にあるべきであると主張するでしょう。
リバプール大学の政治学教授であるジョナサン・トンジ氏は「スコットランドの問題は、ボリス・ジョンソンの最大の政治的頭痛の種です」と述べています。
木曜日の選挙で、ジョンソン氏率いる保守党はイングランドの地方選挙で議席を獲得し、ライバルであるの労働党の本拠地でも議席を獲得しました。
しかし、それはスコットランドに限っては別の話であり、そこではSNPが引き続き支配的です。
また、スコットランド人の独立へのあくなき探求が、簡単には衰えないだろうと考える理由もあります。
人口動態の傾向は、若者層がスコットランドの解放を圧倒的に支持していることを示しています。
最近のある世論調査では、16〜34歳の有権者の72%がスコットランド独立に賛成を表明していることがわかりました。
グラスゴー大学の法学部の学生であるロビン・グラハムさんは「若者は、その人生のほとんどを、スコットランド議会とSNP政府とともに成長してきました」と述べました。
「同時にイギリスでは、スコットランドの声は重要視されていないことを何度も見てきました」
「スコットランドの民主的な意志を無視することはできません」と彼女は言いました。
「この選挙によって示された私たちの意志は『独立』であることは明らかです」
The Washington Post:2021年5月10日
原題:Scotland’s pro-independence leader promises another bid to break from U.K. after election boost
引用:https://www.washingtonpost.com/world/europe/scottish-election-independence-snp/2021/05/08/83103928-a8f2-11eb-a8a7-5f45ddcdf364_story.html
スコットランド独立問題をニュースで見るのはおよそ1年ぶりです。
1年前はスコットランドのスタージョン首相が行った迅速なコロナ対策が高く評価され独立機運が後押しされていました。
スコットランド独立が成れば、間違いなく歴史的なニュースになるでしょうが、英国分裂の可能性を秘めた運命を左右する大きな要素がコロナウイルスであるとは皮肉なことです。
スコットランドの分離独立が成功するか否かは、経済が立ち行くか否かにかかっているわけですが、やはりその鍵を握るのもパンデミックの動向なのです。
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