Home ワシントンポスト 今秋、変異株の恐怖が世界を襲う

今秋、変異株の恐怖が世界を襲う

by 黒岩留衣
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オーストラリアで最も人口の多い都市の当局者は、新型コロナウイルスの中でも際立って伝染性の高い『デルタ変異株』の拡散を阻止するため、シドニーは金曜日に部分的な封鎖に入るであろうと述べました。
先週、空港のリムジンドライバーで始まった新しいクラスターは現在65件にまで拡大し、その数は今後も増えると予想されています。

 

接触追跡担当者は、市内中心部と東部郊外にあるショッピングモール、ネイルサロン、美容院、カフェなどの会場をウイルスの感染経路として特定しました。

 

ニューサウスウェールズ州政府は、1週間にわたる封鎖がサーキットブレイカーとして効果的に機能し、より厳しい制限の必要性を回避することを望んでいます。
シドニーの指導者たちは、デルタ変異株が拡散した場合、パンデミックの『最も恐ろしい段階』に入るであろうと予言しています。
シドニー内の4つの地方自治体は、現地時間の午後11時59分に封鎖に入る予定です。

 

ビデオ映像によれば、リムジンの運転手がショッピングモールやカフェで、わずか一瞬の接触だけで見知らぬ他人に感染させていることを示しています。
科学者は、感染者と同じ空間を共有するだけでウイルスに感染する可能性があることの証明であると述べています。

 

保健当局によると、ウイルスが蔓延している可能性のある期間に、約900人の顧客が1つの美容院を訪れたとのことです。
そして、これまでに少なくとも3人のスタッフと2人の顧客がウイルスに感染しています。

 

オーストラリアのワクチン接種の展開が遅いため、ウイルスの蔓延を抑える取り組みは妨げられています。
人口の約4%のみが完全にワクチン接種されており、約4分の1がオックスフォード-アストラゼネカまたはファイザー-ビオンテックのワクチンのいずれかを1回接種しています。
これは、米国、カナダ、またはヨーロッパ諸国のワクチン接種率をはるかに下回っています。

 

一部の疫学者は、オーストラリア政府にその展開の再考を促し、若者に予防接種を行うよう求めています。
デルタ変異株が急速に広がる可能性があることを考えると、医療専門家は部分的な封鎖のメリットについても疑問を呈しました。
ニューヨークは昨年、ブロックごとの封鎖を実行しました。
郵便番号別のアプローチも昨年7月にメルボルンで試みられましたが、より困難な数か月にわたる封鎖に取って代わられました。

 

「デルタ変異株は従来の新型コロナウイルスとは異なります」とオーストラリア医師会の会長であるオマール・ホルシッド氏は記者団に語っています。
「シドニーはこれまでデルタ変異株に直面したことがなく、これまでとは別のアプローチが必要であることを意味しています」
彼は、現在のアプローチは混乱を招き、特に都市で働いている一方で、郊外に住んでいる人は、職場から家族にウイルスを運ぶ可能性があると述べ、都市全体の完全封鎖を求めています。

一方、コロナウイルスのデルタ変異体の急速な拡大は、米国を再び分裂させる準備ができているように見受けられます。
高度にワクチン接種された地域はパンデミック後の自由に向かって継続して前進していますが、ワクチン接種率が不十分な地域は、より多くの症例数と入院者数によって脅かされるだろうと保健当局は警告しました。

 

この感染性の高い亜種は、ミズーリ州のワクチン接種率の低い地域の病院に負担をかけています。
ワシントンポストによって編集されたデータによると、アーカンソー州、ネバダ州、ユタ州など、対象となる人口の50%未満が少なくとも1回の接種を受けているだけの州では、症例数と入院が増加しています。

 

ワシントン大学の研究者によって作成された1つのモデルによれば、この秋、症例、入院、および死亡の全体的な急増が予測されています。
食品医薬品局の元責任者であるスコット・ゴットリーブ博士は日曜日、適格人口の75パーセントがワクチン接種を受けたとしても、秋の急増が抑えきれない可能性があると述べています。

 

しかし専門家は、ほとんどの被害は、多くの人々が予防接種を拒否したか、あるいはワクチンにアクセスできなかった局所的な地域で発生するだろうと考えています。
ハーバード大学の疫学准教授であるウィリアム・ハナゲ氏は「問題は上昇がどれほど大きく、それがどれほど重要な意味を持つかである」と述べています。
「ワクチン接種が不十分なコミュニティは、深刻な影響を受ける可能性が高いと考えられます」と彼は述べました。

 

火曜日、ホワイトハウスのCovid-19対応チームによるブリーフィングで、アンソニー・ファウチ博士は、次のように述べています。
「ワクチン接種を受けることですべてを完全に回避できます」

 

問題は若い人たちの間でワクチン接種への抵抗が大きいことです。
月曜日に発表された連邦政府の調査によると、18歳から29歳の38.3パーセントだけが予防接種を受けています。
すべての年齢層で、貧困層や無保険者の未接種割合が高く、コンピューターやインターネットへのアクセス率が少ない郡に住む人々は、予防接種を受ける可能性が低いことがわかっています。

 

一般に、農村部と共和党の地域は、北東部や西海岸に沿った都市部や民主党支持の州よりも予防​​接種を受け入れていません。
ニューイングランドのすべての州は、居住者の61%以上に少なくとも1回の投与を行っています。
サンフランシスコでは、住民の65%が完全に予防接種を受けています。

 

全体として、この国はウイルスに対して大きな進歩を遂げました。
米国疾病予防管理センターのロシェル・ワレンスキー所長は火曜日に、7日間の新しい1日平均症例数は10,350人に急減し、死亡者数は1日平均273人に減少したと報告しました。
これらの数字は、1月の平均約25万人の感染症例と3,300人の死亡のピーク時に比べればごくわずかです。

 

さらに、65歳以上の成人の80%が予防接種を受けており、最も脆弱な人々は大部分が保護されています。
これは、この秋または冬に別の広範囲にわたる急増が発生したとしても、死亡と入院がはるかに少ないことを意味する『はず』でした。

 

しかし、以前のバージョンのウイルスよりもはるかに伝染性が高く、より重篤な病気を引き起こすデルタ変異株は、最初に特定されたインド、そして後にイギリスやアメリカでもそうであったように、驚くべき速さで拡散しています。
ファウチ博士によると、5月8日時点では新規感染のわずか1.2%だったものが、今週は20.6%にまで、2週間ごとに新規感染の割合が2倍になっているといいます。
当局は、それがまもなくアメリカで支配的な株になるであろうと予想しています。

 

CDCと協力してサンプルを調査するHelix社は、ブラジルで最初に特定されたガンマ変異株が、英国で最初に特定されたアルファ変異株に急速に取って代っていると結論付けました。
同社が今週投稿した調査報告書によると、デルタ変異株もまた、今後数週間以内に同じ挙動を繰り返す可能性があると警告を発しています。

 

「それはどこからともなく現れました」とネバダ大学リノ校でゲノミクス研究室を運営しているマーク・パンドリ博士は言いました。
「これは非常に成功した変異株のようであり、既に最強最悪の地位に近づいています」

 

サンディエゴのスクリップス研究所のゲノム疫学研究者であるカルティク・ガンガバラム氏は、7月までにデルタ変異体が全症例の50%以上を占める可能性があると予測しました。
彼は、この新しい脅威は、中国の武漢から出現した元のウイルスよりもすでに感染力が高いことで知られているアルファ変異株よりも、更に感染力で40〜60パーセントも上回る可能性があるという従来の研究報告を確認しているようだと述べています。

 

「デルタ変異株は非常に厄介だと思います。 嘘をつくつもりはありません」と彼はコメントしました。

 

 

The Washington Post:2021年6月25日

 


原題:Sydney locks down parts of city in race against outbreak of delta variant
原題:Spread of delta coronavirus variant exposes poorly vaccinated regions to renewed danger

本投稿は上記2本の記事をベースに管理者が再編成したものです

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