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ワクチンが大統領選挙日までに承認されるかも知れない

by 黒岩留衣
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米国疾病対策予防センター(FDA)は、早ければ来月までに新型コロナウイルスのワクチンを国民に配布する準備をするよう州に要請したことが判明しました。

また、FDAの関係者はCNNに対し、トランプ大統領は、選挙日までにワクチンに承認を与えるために、ワクチン開発のタイムラインをスピードアップすることを一貫して要求していると証言しました。

では、人々が大統領選挙が行われる11月までにコロナウイルスのワクチンを接種することは本当に可能でしょうか?

 

ラリー・コーリー博士

「簡単な計算をしてみてください」と米国で連邦政府支援のコロナウイルスワクチンの臨床試験調整チームを率いているフレッドハチンソン癌研究センターのラリー・コーリー博士は言いました。

「臨床試験を開始してから7か月後に140から150のエンドポイントに到達するように試験は設計されています」とコーリー博士は語りました。

「臨床試験は7月中旬に始まりました」

 

「臨床的エンドポイント」とはコロナウイルス感染者のことを言います。

つまり、コーリー博士が言っていることは、臨床試験は被験者となったボランティアたちの中から140人から150人がコロナウイルスに感染するまで続くように設計されているということです。

研究者たちは、実際のワクチンを接種された人が、感染者の中にどれくらい居るかを調べます。

しかし、7月に7か月を追加すると、来年の2月になります。

 

ですが、それはそれまでに答えを得ることが不可能であることを意味しません。

テストされているワクチンの1つが非常に効果的で、試験に参加するボランティアの感染率が極めて高い場合、プラセボ(偽薬)の投与を受けた多くの人々が直ぐに感染する可能性があります。

「もしも非常に効果的なワクチンを持っていたなら、多分、治験の開始から5ヶ月でそれを見出すでしょう」とコーリー博士は言いました。

しかし、7月に5か月を追加すると、12月になります。

「そうですね、それが正解です」

 

そして、他にも障害があります。

ポール・オフィット博士

フィラデルフィア小児病院のワクチン教育センターの責任者であり、食品医薬品局のワクチンおよび関連生物製品諮問委員会のメンバーであるポール・オフィット博士は、現在進行中の第3フェーズ試験のほとんどが、それぞれ30,000人を登録することを目指していると述べました。

これは、臨床試験を設計した人々が、140人または150人の感染者を見出すために、それだけ多くのボランティアが必要だと考えているためです。

彼らはまだ完全に登録されていませんが、時はすでに9月であり、ほとんどではないにしても多くのボランティアがまだ最初の投与を受けていません。

 

進行中の第3フェーズ試験のワクチンはすべて、1か月間隔で2回の投与が必要です。

したがって、8月に最初の投与を受けた人々は、9月まで2回目の投与を受けることができませんでした。

そして、今月ワクチンを受けている人々は、10月まで2回目の投与を受けられません。

「さらに、2回目の投与から少なくとも2週間は待たないと、完全な免疫を得ることはありません」とオフィット博士は述べました。

 

それでは、なぜトランプ政権は11月、あるいは10月の承認について話しているのでしょうか。

アン・ファルゼイ博士

「現実的には非常にありそうもないですが、理論的には可能です」とアストラゼネカのコロナウイルスワクチン候補の臨床試験を調整しているニューヨークのロチェスター大学医学部のアン・ファルゼイ博士は述べています。

 

たとえば、ウイルスが恐ろしいほど急速に広がっていれば、大量のデータが非常に速く手に入ります。

「遺憾ながら、驚異的なホットスポットがある場合、それだけ多くの感染者があるかもしれません」とファルゼイ博士は述べています。

そして、もしテストされているワクチンの一つが非常に効果的であれば、それはすぐに明らかになるでしょう。

 

プラセボ群の人々は、本物のワクチンを受けた人々よりもはるかに高い割合で感染するはずです。

「その場合は多分、我々が思ったより早く決定的な回答を得るでしょう」と彼女は言いました。

「ですが、それはありそうもないですね」と彼女は付け加えました。

オフィット博士は同意しました。

 

臨床試験は無症状、または軽度の感染を検出するようには設計されていないとオフィット博士は述べています。

「臨床的エンドポイントとは死亡または重篤な疾患のことを言います」と彼は述べています。

これにより、試験が予定よりも早く大量のサプライズデータを生成する可能性はさらに低くなります。

また、FDAは既にワクチンを検討するには少なくとも50%の効果がなければならないことを企業に伝えています。

つまり、死亡または重篤な疾患の発生リスクを、少なくとも50%以上低減する必要があります。

 

ボランティアがウイルスのホットスポットにいるとしても、彼らは感染に十分に注意するように助言されたであろうとオフィット博士は言いました。

感染するリスクについてボランティアに警告することは、臨床試験の倫理的要件でもあります。

人々にフェイスマスクと社会的距離を順守するようにアドバイスしているはずだと彼は言いました。

「サウスダコタのマスクなしのバイク大会に参加するように言っているのではありません。自分たちを守ってほしいのです」

 

通常、FDAはフェーズ3のすべてのデータが提出されてから1年後にワクチンを承認しますとオフィット博士は述べています。

「より迅速な場合には10か月で承認されることもあります」

パンデミックの場合、そのプロセスは加速され、ワープスピード計画は臨床試験と並行して他の必要なステップを実行しているため、企業は試験が終了する前でもワクチンの製造を開始することができます。

その意味で、FDAは通常より遥かに早く準備に移行する必要があるのも確かです。

 

その決定を下す人々は安全監視委員会です。

それは独立した専門家グループであり、ワクチンを製造している会社や連邦政府とは別の人々がデータを確認します。

「彼らは安全を保護し、ワクチンの正確さを定義するためにそこにいるのです」とコーリー博士は言いました。

 

たとえば、ワクチンが危険であるという明確なシグナルが見られた場合、彼らは臨床試験を中止させることができます。

言い換えれば、本物のワクチンを接種した人々が、プラセボを接種した人々と同じくらいの割合で感染した場合、彼らは治験を中止させることができるということです。

この場合も早期に結論が得られたと言うことになります。

逆にワクチンが予想よりもうまく機能しているように見える場合、彼らは臨床試験を早期に終了させることもできます。

 

保健福祉省のアレックス・アザール長官

今朝、保健福祉省のアレックス・アザール長官は CBSのニュースショーに出演し「それがCDCが10月か11月までにワクチンを配布する準備を完了するように州に要求している理由です」 と語った。

「仮に、神すら称賛するような素晴らしいデータを早期に入手することが出来たと仮定して、それらデータが安全監視委員会から追認され、FDAが彼らの基準を満たしていることを発見したとしましょう」アザール長官は語りました。

「連邦政府が、それらのワクチンを人々に配布する準備が出来ていない、では話にならないでしょう?」

「私たちはすべての不測の事態に備えておく必要があり、それがCDCがこれを行っている理由です」

 

アザール長官は、それは『ボーイスカウトのモットー』のようなものだと言いました。

「常に準備を怠るな、と言うことです」

 

コーリー博士は、安全監視委員会のメンバーが治験を早期に中止するよう政治的圧力を感じ、FDAによる審査を勧めるのではないかと懸念していると述べました。

「彼らが自分たちに課せられた責任を理解していないと言っているわけではありません」

「それが『ある程度良さそう』であれば、彼らはGOサインを出すかもしれないと言う意味です」

ワクチンが早急に承認される場合、それには『ある程度良さそう』ではなく『決定的な確信』が必要だとコーリー博士は述べています。

 

オフィット博士は同意します。

そして彼はFDAと承認プロセスを信頼していると述べました。

しかし、誰もがそうだと言うわけではありません。

 

「もしかしたら、我々は年末までに安全なワクチンを手に入れられるかも知れません」

「しかし、我々は多くの人々の信頼を獲得していない政権を持っています」と彼は述べました。

「いずれ私たちは安全で効果的なワクチンを手に入れることができるでしょうが、ホワイトハウスが科学者や専門家の助言を受け入れていないのなら、人々はトランプ政権の奨励するワクチンをなおさら信用しないでしょう」

「それは究極の皮肉になるでしょう」

 

(参照:CNN


つい最近の話ですが、トランプ大統領はコロナウイルス対策特別チームに新しいメンバーを加えました。

有り体に言えば、アンソニー・ファウチ博士らを疎ましく思ったトランプ大統領が、彼のイエスマンに等しい人物をチームに参加させ、ファウチ博士らを傍流に追いやったと言うことです。

これは経済の再開を急ぎたいトランプ政権が、事実上コロナウイルス感染拡大対策を諦めたに等しい出来事でした。

 

先日、元FDA長官のゴットリーブ博士が「アメリカはスウェーデンをモデルにしてはならない」という内容の意見書をファイナンシャルタイムズに寄稿したことがありました。

どうやら「ありそうもないこと」が現実に起こりそうな予感がします。

 

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