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高齢者に見られるトランプ離れ

by 黒岩留衣
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共和党は過去4回の大統領選挙で、より多くの高齢者の支持を獲得してきました。

今年、年配の有権者はトランプ大統領について再考する兆しを見せています。

これは、彼が最も重要な戦場と見做しているいくつかの州の世論調査で民主党の候補者ジョー・バイデンに遅れをとっている理由の1つです。

 

トランプ氏は2016年に高齢者票を7ポイント多く獲得しましたが、ウォールストリートジャーナル/ NBCニュースの世論調査では、今年はその年齢層でバイデン氏を10ポイントも下回っています。

コロナウイルスのパンデミックにより、大統領はCovid-19に対して最も脆弱なグループである高齢の有権者の票を取り戻すことに苦戦しています。

 

トランプ氏の高齢者票に対する立場の弱さは、人口統計上の理由のために特に重要です。

選挙のほぼすべてのスイングステート(激戦州)には、65歳以上の高齢者が多く暮らしています。

これは全国平均よりも高い数字です。

最近の世論調査によると、最も高齢者が多い州のいくつかは、有権者がトランプ氏から離れているように見えることを示しています。

 

例えばメイン州は米国で最も高齢者の多い州であり、5人に1人以上の居住者が高齢者です。

調査を取り纏めたFiveThirtyEight.comにも反映されているように、最新の世論調査では、メイン州の有権者が2016年の選挙と比較して、民主党の候補者に向かって大きく傾斜していることが示されています。

バイデン氏はメイン州の総合世論調査で15ポイントリードしています。

これは、4年前の選挙時と比較して州の世論が民主党に12ポイント傾いたことを意味しており、州がトランプ氏に与えた選挙人団の1票を危険にさらす動きです。

 

ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の各州は、本来民主党を支持する傾向にありますが、2016年の選挙ではトランプ氏が勝利しました。

これらの州は高齢者の割合が最も高い州のトップ20にランクされています。

現在の世論調査では、2016年の結果と比較して、各州が民主党の候補者を支持して約8ポイント心変わりしたことが示されています。

高齢者人口で12位にランクされているアリゾナ州は約7ポイント変動しています。

フロリダ、アイオワ、ニューハンプシャーもまた、高齢者の割合でトップ20にランクされている激戦州です。

今月初めにフロリダで開催された選挙運動イベントで講演するジョー・バイデン候補

 

インタビューと世論調査は、トランプ氏のコロナウイルスパンデミックへの対処が年配の有権者の心に重くのしかかっていることを示唆しています。

 

2016年にトランプ氏に投票したペンシルバニア州ヨークに住むバージニア・クロニスター氏は「私の年齢と彼の振る舞いのせい」で大いに悩んだと述べました。

「それは非常に深刻なことです…これはただくしゃみをするだけの問題ではありません」

80歳のクロニスターさんは、彼女の友人の何人かがウイルスによって重い病になったと言います。

 

高齢有権者のプロフィールは州によって異なります。

メイン州に次ぐ高齢者の割合が高いフロリダ州は、全国から退職者を引き寄せています。

8位のペンシルベニア州は、鉄鋼および製造業が衰退した結果、多くの若者が去ったこともあり、最も高齢者の多い州の1つとなりました。

 

ピッツバーグ郊外の民主党の政治コンサルタントであるマイク・ミクス氏は、ペンシルベニア州西部の多くの高齢者が、産業空洞化から地元経済を復活させることを期待して、トランプ氏に投票したと述べました。

「人々は製鉄所が活況を呈していて、ダウンタウンに行けば、そこに映画館やレストランがあった時代のことを覚えていますが、今ではなくなっています」とミクス氏は述べました。

 

現在、高齢有権者は、パンデミックのために孫の顔も見ることができないという現実と、トランプ氏が経済を再生して街に活気を取り戻してくれるのではないかという希望とを比較検討しています。

ペンシルベニア州では、高齢有権者の間でのバイデン氏の支持率の優位性は、彼の全体的なリードよりも大きかったことが示されています。

 

WSJ / NBC Newsの全国世論調査で、経済とコロナウイルスのどちらが大統領への投票にとってより重要であるかを尋ねられ、多くの高齢者がコロナウイルスを選びました。

そして、有権者が最も望ましいと思う候補者のタイプ(規制に立ち向かう人か、または思いやりと能力を示す人か)を尋ねたところ、全体の有権者の49%に対して、高齢者の57%が『思いやりと能力』を選びました。

 

ミシガン州では、バイデン氏が高齢者の間で15ポイントをリードし、有権者の全体平均である9ポイントを上回っています。

ミシガン州の有権者ウィリアム・クルト氏(76歳)は2016年にはトランプ氏を支持しました。

大統領がアメリカ人の対立を煽っていると信じていることもあり、今では後悔していると述べています。

 

彼は、科学者や専門家のアドバイスに従った国々は、失われた人々がより少ないと述べました。

彼は「Covid-19によって、死んではならない多くの人々の命が失われてしまった」と記者に語っています。

 

Trump Trails Among Seniors, Key Group in Many Battleground States

The Wall Street Journal

 

高齢者にとって、コロナ対策問題は、一度感染すると重篤化する可能性が高いことから、自分自身の命に関わる非常に切実な問題であると思われます。

コロナウイルスを封じ込めないことには経済の復活もままならないと言うバイデン候補の訴えに耳を傾ける人たちは、トランプ氏が経済の推進者としてバイデン候補よりも優れていると認めているにしても、それでもトランプ氏を支持することに抵抗を感じているのだろうと思います。

またトランプ氏自身も、彼の最大の強みである経済問題の優位性を十分に活かせていないように思います。

また有権者は米国経済の健全さはコロナ対策と表裏一体であると肌感覚で理解していると感じます。

 

投票日までまだ二週間ほどありますが、既に多くの有権者が期日前投票に殺到しているのは、今回の選挙が単に二人の候補者の優劣にとどまらず、今後の米国のあり方を問われる選挙になると感じているからだと思います。

 

管理者 黒岩留衣

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