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偉大なる米国の降伏宣言

by 黒岩留衣
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トランプ大統領のホワイトハウス首席補佐官であるマーク・メドウズは、はっきりと認めました。

メドウズ氏は日曜日、CNNの番組「State of the Union」で『パンデミックを制御するつもりはない』と述べ、コロナウイルスの蔓延は既定事実であり、コロナウイルスの封じ込めはホワイトハウスの戦略の中心的なプランにはなかったことを示唆しました。

 

入院と死亡が急増しています。

金曜日、米国は1日あたり83,000人以上の新規感染者を報告し、過去最悪を更新しました。

その翌日は、前日の記録をわずかに下回っただけでした。

これは、3月・4月にアメリカが最初にウイルスの蔓延に巻き込まれたときよりも、はるかに拡大されたテスト体制が実施されていることを一部反映しているのかもしれません。

しかし、それはまた、コロナウイルスによる秋の第二波が大西洋の両岸を急襲している証しでもあります。

 

メドウズ氏は、米国当局は「ワクチン、治療薬、その他の緩和策を講じることで事態を管理しようとしている」と主張しました。

しかし、そのような方法が利用可能になり、広く実施されるまでには相応の時間が必要です。

専門家は、トランプ大統領が頑迷なまでに国民に奨励することを避けてきた、マスク着用の義務化と社会的距離の確保、厳格な接触追跡、およびテスト体制のさらなる拡充を提唱しています。

 

トランプに対する批評家は、感染を減らすための真の計画を課すことに失敗したとして、彼の政権を非難しました。

ペンス副大統領の首席補佐官であるマーク・ショート氏を含むホワイトハウスの職員の間でのコロナウイルスの新たなるスプレッダー・イベントは、あたかもパンデミックに直面したトランプ政権の無能さと怠慢を強調しているように見えました。

ホワイトハウス主席補佐官マーク・メドウズ

 

「それは偉大なるアメリカの…いや、かつては偉大だったはずのアメリカの降伏宣言です」

ニューヨーク州知事のアンドリュー・M・クオモ(民主党)は、日曜日の記者との電話インタビューで「彼らは一撃すら与えずに降伏した」と述べました。

 

大統領選挙が残り1週間余りとなったこの時点で、ホワイトハウスの内部で発生した新しいスプレッダー・イベントは、米国の多くで入院患者が急増し、毎日の新しい感染症例が過去最悪を記録したことと相まって、この国がパンデミックを封じ込めることに失敗したという明白な事実を改めて浮き彫りにしました。

 

ホワイトハウスのコロナウイルス対策本部の議長を務めるペンス副大統領の周辺での勃発は、トランプ大統領がニューハンプシャーでの日曜日の集会で支持者に向かって述べたように、米国が「角を曲がった」という主張を弱体化させるものです。

 

日曜日のCNNの番組に出演したホワイトハウスの首席補佐官マーク・メドウズは、番組の冒頭で『政府はウイルスの拡散を抑え込むことを事実上あきらめた』という異常極まりない一言を携えて入場しました。

「私たちはパンデミックをコントロールするつもりはありません」

 

選挙運動中、絶えずマスクを着用し、社会的距離のガイドラインを厳守している民主党のジョー・バイデン候補は、この発言にすばやく反応しました。

「これはメドウズによる単なる舌禍ではありません」

「 これは、このパンデミックの初期から、トランプ大統領には明確な戦略が存在していなかったことを率直に認めたものです」

「(トランプ氏は)現実を無視することで、ウイルスが魔法のように消え去ることを願っていたのでしょう」とバイデンは声明で述べました。

「残念ながらそうはなりませんでした。今後もそうはならないでしょう」

 

メドウズ氏は当初、ペンス副大統領の側近の感染者に関する詳細を覆い隠そうとし、副大統領執務室がそのような情報を公開することに反対したことを率直に認めました。

彼らの感染が最初にメディアによって報道されたのは土曜日の夜でした。

 

「個人情報だからです」と彼はCNNのアンカーであるジェイク・タッパーに語っています。

「個人情報を共有することは、私たちがなすべきことではありません

「彼らは大統領でもなければ、副大統領でもないのです」

ニューハンプシャー州で選挙演説するトランプ大統領

 

一方、週末にキャンペーンを行ったトランプ氏は、別世界の現実を提示しようと努力しました。

ニューハンプシャー州ロンドンデリーでの日曜日の集会で、トランプ氏は「ワクチン開発のおかげでパンデミックはまもなく終了するだろう」と述べました。

「それはすぐにパンデミックを終わらせるでしょう。とにかくすぐに終わります」とトランプは言いました。

またトランプは集まった支持者に向かってマスコミに対する不満を述べました。

「テレビをつければ『covid、covid、covid、covid、covid』だ。もううんざりだ、聞きたくない」

「飛行機が墜落し、500人が死亡しても、彼らはそれについて話しません」

 

トランプ大統領が言及した『500人が死亡した飛行機墜落事故』は存在していません。

これは架空です。

米国では、毎日500人以上がコロナウイルスで亡くなっています。

これは現実です。

そして、現時点で第三相臨床試験が完了したワクチンは米国にはありません。

これもまた厳然たる事実です。

 

コロナウイルスの感染率と入院率が上昇しているアーカンソー州では、アサ・ハッチンソン知事(共和党)が「国は角を曲がった」というトランプのメッセージは、アーカンソー州の現実と矛盾していると述べました。

ハッチンソン知事は日曜日、CBSニュースの「フェイス・ザ・ネイション」で「私たちが非常に困難な危機に直面しており、冬になるとさらに悪化する可能性があることは誰もが知っている事実です」と述べています。

 

 

White House signals defeat in pandemic as coronavirus outbreak roils Pence’s office

The Washington Post

CNNの日曜日の番組「State of the Union」は大荒れに荒れました。

司会のジェイク・タッパー氏はマーク・メドウズ主席補佐官の発言を時に遮るようにして激しく詰め寄りました。

聞き取りにくいほどの言葉の応酬は、第一回の大統領候補討論会を彷彿とさせるほどでした。

ペンス副大統領は最側近(メディアは『付き人』と表現していました)に感染者が複数出たにもかかわらず選挙キャンペーンを続行するとのことです。

余談ですが、皮肉なことに、CNNの番組名「State of the Union」は「一般教書演説」という意味を含みます。

インタビューを受けた上院少数派院内総務(民主党)のチャールズ・シューマー氏はトランプ政権の怠慢を存分に批判した後、記者団の前であるにもかかわらず、こう呟いたそうです。

「神よ、我らを救いたまえ」

 

管理者 黒岩留衣

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