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ファウチ博士を公然と批判するホワイトハウス

by 黒岩留衣
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「私たちは非常に多くの傷を負っています。 それは良い状況ではありません」

米国で最も権威ある感染症の専門家アンソニー・ファウチ博士は、金曜日遅くに行われた広範にわたるインタビューの中でそう発言しました。

「秋から冬のシーズンに入ると、すべての星座が違う場所に配置され、人々は自宅の屋内に集まります」

「 それは人々がこれ以上なく危険な立場に立つ事を意味します」

 

政府のコロナウイルス対応の主要メンバーであるファウチ氏は、米国は公衆衛生の慣行と行動に関して、直ちに変化をもたらす必要があると述べました。

彼は、米国が1日あたり10万件の新しいコロナウイルス症例を突破する可能性があり、今後数週間で死亡者が急増すると予測していると述べました。

彼とのインタビューは、この国が金曜日に98,000件以上の新規感染者を数え、1日あたりの感染者の新しい記録を樹立した事を受けて申し込まれたものでした。

 

ファウチ氏の率直な警告は、トランプがパンデミックの管理に成功したことを有権者に納得させるため、感染者と入院患者の爆発的な急増を経験している州や都市で集会を開いていた時に起こりました。

トランプは何千人もの支持者とマスク無しの集会を開催していますが、ほとんどの場合、地元の公衆衛生の義務に違反しています。

土曜日にミシガン州マスキーゴンで開催された集会でのトランプ大統領

42の州で新たな感染が急激に増加しているにもかかわらず、トランプは相変わらずウイルスを軽視しており、脅威を真剣に受け止めている人々を嘲笑しています。

「covid!、covid!、covid!」と彼はあるイベントで述べ、ニュースメディアがあまりにもcovid-19に注目を集めすぎていることに不満と苛立ちを表明しました。

 

別の集会で彼は、自身の政権による素晴らしい感染症対策が偉大な成功を収めた結果、この国ではcovid-19による死者はほとんど発生しておらず、医師や病院が金儲けの目的で意図的に事実に反する死亡原因を報告しているのだと主張しました。

「この国の医者はとても賢い連中です」トランプ氏は金曜日、ミシガン州ウォーターフォードタウンシップでの集会で、何らの証拠も示さずに医師や医療従事者を攻撃しました。

 

対照的に、元副大統領のジョー・バイデンとカマラ・D・ハリス上院議員は、公の場で一貫してマスクを着用し、社会的距離のあるイベントを開催してきました。

10月にハリス氏の周辺の2人がコロナウイルスの検査で陽性を示したとき、彼女は数日間遊説をキャンセルしました。

彼らのアプローチの違いについて尋ねられたフォーチ氏は、バイデンの選挙キャンペーンは「公衆衛生の観点からそれを真剣に受け止めている」からであると述べました。

彼は「トランプ氏は別の視点から見ている」とも述べました。

「別の視点とは何か?」と問われたファウチ氏は、その視点とは「経済と国の再開」であると述べました。

 

かつて感染対策の主役を務め、国立アレルギー感染症研究所の所長としてほぼ毎日大統領に助言したファウチ博士は、仮に最良の状況下であってもワクチンの接種に数ヶ月もの時間がかかるため、パンデミックを即座に終わらせる『銀の弾丸』になる可能性は低いと警告していものの、今やホワイトハウスはほぼ完全にワクチン開発にのみに焦点を当てていると述べました。

 

ファウチ氏は、大統領とホワイトハウスの最高顧問が国の再開にのみ焦点を合わせているため、コロナウイルス対策本部はもはやほとんど機能しておらず、影響力も非常に低いと述べました。

ファウチ氏は、コロナウイルス対策本部のコーディネーターであるデボラ・バークス博士ですら、もはや大統領と定期的に連絡が取れておらず、10月初旬以来トランプ氏と話をしていないと語りました。

 

彼はまた、本来は放射線科医であり、ウイルスを若く健康な人々に拡散させ、何らの制限なしに国を再開することを提唱しているスコット・アトラス氏だけが、大統領が定期的に会う唯一の医療顧問であると説明しました。

「私は彼と多くの問題を抱えています」とファウチ氏はアトラス氏について語りました。

「彼は賢い人ですが、疫学の専門家ではなく、本当の意味での洞察力や知識や経験はないと私は信じています」

「彼は、私たちがデータを分析し解析するとき『そんなものには何の役にも立たない』といって話を退けます 」

 

ファウチ氏は、先週末のCNNの番組で『もはやトランプ政権はパンデミックを制御するつもりはない』と発言したマーク・メドウズ主席補佐官に非常に感謝していると述べました。

「彼は自分の考えを率直に伝えます。私は彼を称賛します」

 

一方、ホワイトハウスのスポークスマンであるジャッド・ディアー氏は、土曜日のワシントン・ポストへの声明の中で、ファウチ氏のコメントに対して猛烈な批判をしました。

ディアー氏によれば「ファウチ氏は、今日のコロナウイルスによるリスクは、ほんの数か月前よりも圧倒的に低いことを十分に理解しているはずです」と述べています。

 

「大統領のコロナウイルス対策本部の上級メンバーであり、このパンデミックを通じてトランプ大統領の行動を称賛し続けてきた人物であるファウチ博士が、選挙の3日前になって『政治』を行うことは到底容認できず、あらゆる規範に反しています」とディア氏は述べています。

「タスクフォースのメンバーとして、ファウチ 博士は懸念を表明したり、戦略の変更を推進したりする義務がありますが、彼はそうした義務を全く果たしていません」

 

ディアー氏は「代わりに、メディアでトランプ大統領を公然と批判し、彼の政治的ライバルを称賛するような行為は、まさにアメリカを泥沼に引き摺り込もうと企図するに等しい卑劣な言動です」と述べ、トランプ大統領こそが「常にアメリカ国民の幸福を最優先に考える」偉大な指導者であると付け加えました。

 

ウイルスの脅威に関するファウチ氏の率直な警告は、発生の初期から科学者を嘲笑した大統領を怒らせたようです。

「人々はファウチやこれらの『馬鹿ども』の話を聞くのにうんざりしている」とトランプは10月のある集会で言いました。

その結果、医者やその他の医療従事者は熱心なトランプ支持者の間で憎悪の対象になり、危険な嫌がらせにあいました。

ファウチ氏自身も、複数の殺人予告状を含めた嫌がらせと脅迫の急増を経験したと述べています。

 

何人かの元政府高官や外部顧問は、経済を抑制したり大統領の再選のチャンスを損なうことなくその広がりを抑えることができないことに無力感を感じており、パンデミックの制御を事実上放棄したホワイトハウスの現状について語りました。

「人々は一歩下がって、これについて謙虚になる必要があります」とトランプ政権の下で国内政策評議会の元議長を務めたジョー・グローガン氏は言いました。

「政党やイデオロギーに関係なく、誰もこれをどのように理解しているかについて傲慢になるべきではありません」

「私たちにできることは、メッセージを発信しようとすることです」とファウチ博士は言いました。

「彼らは私たちのメッセージが気に入らなかったようです。それは彼らがやりたいことではなかったからです」と彼は語りました。

「我々は、彼らが言っていることと本質的に一致する医療メッセージだけを持っていく必要がありました」

「それ故、デビー(デボラ・バークス博士)はもう大統領に会うことはほとんどありません。定期的に大統領に会う唯一の医療関係者はスコット・アトラスです。確かにデビーではありません」

コロナウイルスのコーディネーターであるデボラ・バークス博士は、ここ数週間はホワイトハウスを離れ、全国を旅して、感染症、入院、死亡の急増に取り組んでいる州や地方の指導者に率直なアドバイスを提供して回っています。

 

アトラス氏は、集団免疫戦略を推進しているという主張に対して公には反論しましたが、最近、マサチューセッツ州の町にちなんで名付けられた文書であるグレートバリントン宣言を承認しました。

それは経済のほとんどの側面を稼働させ続けながら、一方で健康な若者の間で「自然な速度」で感染が自由に広がることを容認する内容を含んでいます。

 

「彼は、集団免疫を推進してないと自分では主張しています」とファウチ博士はアトラス氏について語りました。

しかし彼が言う言葉を組み合わせ、つなぎ合わせてみると『人々が感染しても、死にさえしなければ問題ない』という概念に行き着くとファウチ氏は言いました。

ファウチ氏は、ウイルスに感染した多くの人々は『疫学的には』回復するが、いくつかの深刻な後遺症を含めて、慢性的な健康問題を抱える可能性があると述べました。

「死にさえしなければ、特に問題はないというこの誤った物語には到底同意できません」と彼は言いました。

「50年間医学を実践している私にとって、それは『口が裂けても言えない台詞』です 」

 

同様の評価は、トランプ政権の元国土安全保障顧問であるトム・ボサート氏によっても提供されました。

「それ(集団免疫)は魅力的に聞こえます」とボサート氏は言いました。

「集団免疫の獲得はとても魅惑的に聞こえますが、それは到底不可能です」

「数学はそれを口に出すことさえ無責任であることを明確に示しています」

 

 

‘A whole lot of hurt’: Fauci warns of covid-19 surge, offers blunt assessment of Trump’s response

The Washington Post

グレートバリントン宣言に関してはこちらをご覧ください。

同宣言の内容は、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのロックダウンが、公衆衛生(メンタルヘルスの悪化、その他の病気の検診の減少)や、雇用・教育に悪影響をもたらすことから、高齢者など重症化しやすい人々を保護しつつも、若年層などそれ以外の健康な人々は、通常通りの生活に戻ることで『集団免疫の獲得を目指す』というものです。

集団免疫の獲得を巡るこの考えは、元FDA長官のスコット・ゴットリーブ博士によって即座に反対されただけでなく、権威ある医学雑誌として知られているランセットでも疑問が寄せられています。

いずれにせよトランプ政権がコロナウイルスの拡散防止にもはや関心を失ったことは疑いなく、先日のCNNの番組内で、トランプ政権の主席補佐官マーク・メドウズが「トランプ政権はもはや感染拡大を制御する気はない」と発言したのは、彼の失言ではなかったことになります。

皮肉なことにトランプ氏が演説に力を入れているスイング・ステーツ(激戦州)と呼ばれる州には、いわゆる過疎地が多く、十分な設備も整っておらず、感染は急拡大しています。

これらの州や郡ではあっという間に医学的リソースを使い果たしてしまう恐れがあり、懸念が高まっています。

 

余談ですが、トランプ大統領のウェブページには彼の約4年間の任期中の成果として「コロナウイルスの感染拡大を阻止し、鎮静化させた」という一文が掲載されています。

 

管理者 黒岩留衣

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