新型コロナウイルスワクチンを巡る見通しは大幅に明るくなっています。
その結果、モデルナ社の株主たちは、自分たちの投資判断は正しかったと自画自賛していることでしょう。
モデルナのワクチンの暫定分析によれば、この薬がCovid-19の症例の予防に94.5%有効であることが示されました。
第三相臨床試験で観察された合計95例の感染者うち、90例はプラセボ(偽薬)を投与された患者でした。
さらに、重症とみなされた11例すべてがプラセボ群でした。
月曜日の市場前取引では、モデルナの株価が14%上昇し、主要株価指数も上昇しました。
このニュースは、ファイザーとバイオエヌテックがワクチンが同様の有効性の結果を示したと述べてからわずか1週間後に届きました。
安全性データが完成すると、規制当局は、今後数週間のうちに緊急使用の可能性があるかどうか、両方のワクチン候補を検討することになるでしょう。
モデルナによれば、時に副作用は重大であったと述べました。
一部の試験参加者は重度の倦怠感や、注射部位の痛み、発赤などの問題を報告しましたが、幸いなことに、そうした症状はほとんど一過性でした。
これらのマイナス点はさておき、バイオテクノロジーの新興企業は驚くべき速度で成熟しました。
わずか1年足らずで明らかに効果的なワクチンを市中に届ける予定であり、これは通常の開発期間よりもはるかに速い速度です。
その素晴らしい成果はどの製薬会社であっても印象的ですが、特にモデルナにとってはそうです。
それは2018年に株式上場されたばかりの新興企業であり、彼らはその歴史の中で後期臨床試験を行った実績さえもありませんでした。
モデルナは、今年末までに2,000万回分、2021年には少なくとも5億回分を製造できると述べました。
患者にワクチンを接種するには、2回の投与が必要です。
同社はまだ売上を上げておらず、400億ドルの市場価値がウォール街で物議を醸しているテーマとなっています。
しかし、月曜日の取引を包み込んだ市場の幸福感は短期的には収束する可能性がありますが、モデルナはその高水準な株式価値を正当化する上で大きな一歩を踏み出したといえるでしょう。
結局のところ、1回あたり20ドルで5億回投与すると、売上高は100億ドルになり、非常に魅力的な利益率が得られるはずだということです。
同社はCovid-19ワクチンについて他の製薬会社と提携していなかったため、これらの利益を共有する必要はありません。
患者が長期にわたってワクチンを接種する必要があるかはいまだに不明ですが、モデルナの成功は同様のメッセンジャーRNAテクノロジーを使用し、癌や自己免疫疾患の治療など、まだ開発中の他のワクチンや薬剤候補にとって望ましい兆候を示していると言えます。
モデルナは、現在40億ドルの手元資金を持っており、魅力的な価格水準で増資を行うことで、簡単に数十億ドルを調達することができるでしょう。
モデナのコロナウイルスワクチンに於ける優れた業績により、パンデミックが克服された後であっても、引き続き会社は成功を収める可能性があることが示唆されています。
Moderna’s Coronavirus Vaccine Breakthrough Has Shareholders Smiling
The Wall Street Journal
日本の厚生労働省と武田薬品は、許認可取得を前提として、モデルナ社の対新型コロナウイルスワクチン候補薬であるmRNA-1273の5,000万回分の購入に合意したと明らかにしました。
2021年上半期中のワクチン提供開始を目指して、モデルナ社はワクチン候補薬の製造と供給を行い、武田薬品が、厚生労働省、日本医療研究開発機構、およびモデルナ社の支援のもと輸入・許認可・開発・流通を担います。
また、着目すべき点として、冷蔵庫(2度から8度C)の環境下で約30日間、あるいは冷凍庫(マイナス20度C)で約半年間の保存が可能であり、接種前に希釈 (dilution)などの特別な処理は不要であると発表されており、先行するファイザーのワクチンと比べて、その取り扱いやすさも特徴として報告されています。
第三フェーズ中に報告された95名の感染者のうち、65歳以上は15名が含まれており、うち3名はアジア系でした。
モデルナ社は数週間のうちにFDAに緊急使用許可を申請する予定だと述べられています。
管理者 黒岩留衣