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ワクチンだけは政治の玩具にしてはならない

by 黒岩留衣
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民主党はこの選挙で、偏狭な自己利益ではなく、実際に国家の利益を探究している唯一の政党であるという良識ある議論を展開しています。

それは火曜日の討論会で、2人の大統領候補が決定的な投票数を得るのに時間がかかる可能性についての質問に、どのように答えたかを考えるだけで足りるでしょう。

 

同日、司会進行役のクリス・ウォレス氏は「投票結果が確定するまでの間、市民が不穏に巻き込まれないように、支持者に落ち着いて行動するように促しますか?」と2人の大統領候補に問いました。

続けて彼は「そして今夜、選挙が独立して認定されるまで、勝利を宣言しないことを誓いますか?」とも問いました。

 

ジョー・バイデン氏は次のように答えました。

「すべての投票がカウントされた後に勝者は宣言されるべきです。すべての投票がカウントされ、そこで終わります。仮に勝者が私でなければ、私は結果をサポートするでしょう」

 

 

トランプ大統領は、同様の宣言をすることを断固として拒否しました。

悲しいことに、彼の反応は少しも意外なことではなく、むしろ政治アナリストたちが事前に十分に予想し得た言動であり、一部の有権者や同盟者が彼に期待しているがままの言動でした。

共和党はますます市民的価値を顧みず、トランプ一個人のエゴを保護することに汲々とする政党であるとの誹りを免れ難くなっていくでしょう。

 

逆に民主党は、反作用的な意味で、我々こそが真の「アメリカファースト」の政党であるという良い主張を維持することが容易になるでしょう。

ところで民主党は「投票日より前にワクチンが完成するかも知れない」というニュースが出るたびに「そのワクチンには何か問題があるかも知れない」と暗に示唆する発言をしています。

 

これには冷淡な政治的論理があります。

必ずしもそうとは限りませんが、進行中の最終治験の1つが、10月末までに、つまり投票日よりも前に、ワクチンが非常に効果的であると思われるというエキサイティングなニュースを届ける可能性はあります。

そのニュースは、おそらくトランプ氏に大きな政治的利益をもたらすでしょう。

逆に、民主党がそのような啓示がトランプ政権によって作られた『政治的欺瞞』である可能性が高いという考えを広めることができれば、トランプ氏に向かって動かされた可能性のある一部の有権者は、代わりにバイデン氏に向かうか、あるいは家にいるでしょう。

 

政治的影響力の認識は、特に米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したガイダンスの「朝令暮改」で明白でしたが、ヒドロキシクロロキンと回復期血漿の承認をめぐって非難が渦巻く食品医薬品局(FDA)にとっても同様に問題でした。

これらは疑わしいものでしたが、それでも擁護可能な決定でした。

 

最新のデータが、この薬は役に立たなかったようだと示した後、FDAはヒドロキシクロロキンの認可を速やかに取り下げました。

回復期の血漿は比較的リスクの低い治療法であり、少なくともある程度の利益をもたらす可能性があります。

これらは、確かに政治的影響を受けている可能性があります。

しかし、トランプ氏はCDCに「covid-19がただの重度の風邪である」とまでは主張させませんでした。

そして彼はFDAに、役に立たない又は危険なワクチンを承認させることはありえません。

 

理由の一つには、ワクチンの有効性と安全性を判断するための基準がすでに確立されているからです。

FDAが即時かつ大量の辞任者なしで、それら安全基準を放棄することを想像することは事実上不可能です。

道徳的および法的コストを考えるとき、製薬会社がこれに同調する可能性もないでしょう。

 

 

トランプ氏の繰り返される酷い行動は確かにそのような恐れをかき立てます。

そしてバイデン氏とハリス氏は民主党がすでに持っていた基本的な懸念を表明しているだけです。

ですが、一般の人々は、主に承認プロセスに関する懸念を理由に「速やかにワクチンを接種するだろう」と答えた人の割合が急減しています。

それこそが、バイデン氏やハリス氏などの政治家が彼らを安心させなければならない理由です。

 

トランプ氏が勝ったか負けたかのどちらかで、選挙後も社会的不安と恐怖は長引くでしょうが、同時に人々はトランプ氏が政治的影響下に置いたであろうと疑いの視線を向けるFDAがワクチン治験を監督したことを覚えています。

トランプ氏が大統領選挙に負けた場合、そして安全かつ効果的なワクチンが開発された場合、バイデン氏とハリス氏は利用可能なワクチンがすべて大丈夫であることを人々に保証することに熱心になるはずです。

 

「それは驚くほど効果的で、あなたが日曜日に愛犬を連れて公園を散歩したとしても安全ですよ」と国民に説明することになるでしょう。

しかし、それでは手遅れになるかも知れないのです。

 

政治家らが植えた疑念の種は既に満開になっているかもしれません。

そのような不信感は、その結果として病気になる個人だけでなく、米国をパンデミック後の世界に導こうとしている新政権にとっても致命的となる可能性があります。

 

バイデン氏もハリス氏も「トランプの言うことは信じるに値しないが、科学者と専門家の意見には従うべきだ」と既に述べています。

そうであれば、彼らはFDAの決定を信じて、無用な疑念を示唆するような発言は慎むべきです。

そしてFDAもまた、如何なる政治的圧力にも屈することなく、国民の信頼に全力で応えなければなりません。

 

 

Biden and Harris are playing a Trumpian game on vaccine safety

ミーガン・マッカードルのコラムから抜粋

The Washington Post


今日、私が彼女のコラムを選択した理由は意外なほど彼女のコラムが不評だったからです。

ワシントンポスト紙のサイトには読者投稿欄があると言う話を以前にしましたが、そこには彼女のコラムを否定するコメントが数多く並んでいました。

なぜでしょう?

それは彼女自身の表現を借りるならば『政治家らが植えた疑念の種は既に満開になっている』からです。

彼らは「FDAやCDCを信用しないこと」こそが自身と家族の健康を守るための賢明な判断であると信じています。


彼らは自由世界の真のリーダーであるアンゲラ・メルケルやジャスティン・トルドーが『大丈夫だ』と言うまで、ワクチンは接種すべきではないと主張しています。

米国民の政治に対する信頼の失墜は既に末期的様相を呈しているように思われ、今更ながら漂白剤を注射して洗浄しようと試みても、彼らの根強い不信感までは漂白できないのかも知れません。

 

管理者 黒岩留衣

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